3月29日、ついに2019年のプロ野球が開幕する。1.02では開幕に先立ってDELTAアナリストに順位予想を依頼した。予想を行う手法は各自自由に選んでもらい、簡単なコメントをもらい掲載している。今回はパ・リーグ編となる。セ・リーグ編はこちらから。

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機械的なプロジェクションを用いて今季の得点・失点を予想(予想者:岡田友輔)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 埼玉西武ライオンズ
3位 北海道日本ハムファイターズ
4位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5位 千葉ロッテマリーンズ
6位 オリックス・バファローズ

プロジェクションという成績を予測する機械的な手法を用いて、今季予想される各球団の得点・失点を算出。その得失点差の状況から妥当な勝率を算出した。今回使用したプロジェクションの仕組みは各選手の過去5年の成績をベースとし、新しい年ほど今季の数字に影響しやすいよう重みづけがされている。成績のほかには、年齢や球場の環境も加味して算出されたものだ。

優勝チームの西武から主力が抜け下位球団の補強が進んだため、リーグ間の実力差が均衡状態に近づいている。相対的にはソフトバンクが上位にいるが、野手の高齢化などによりチームの力は下降傾向にある。

西武は菊池雄星、浅村栄斗の移籍があったものの、引き続きリーグトップの得点力でAクラスを確保しそうだ。もう1つサプライズがあればソフトバンクをとらえられるかもしれない。

日本ハムは予想勝率では.499とほぼ5割となった。だがこのプロジェクションの仕組みは若手選手の活躍を過小評価する可能性がある。若手が多い日本ハムに対してはやや抑えめな評価となっているかもしれない。現実としては前年からの上積みが最も大きい球団であるため、ソフトバンクに届く可能性は最も高いだろう。

楽天は浅村の加入があり得点力の回復が予想される。昨季は不調の選手が多かったため、その反動も予測され評価が高まった。ロッテは得点力が上昇しているものの、まだもの足りない状況。オリックスは西勇輝、金子弌大の退団に加え、野手の小粒さを解消できないのではないだろうか。


西武は強力打線健在も故障リスクが大きい編成(予想者:道作)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 北海道日本ハムファイターズ
3位 埼玉西武ライオンズ
4位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5位 オリックス・バファローズ
6位 千葉ロッテマリーンズ

西武は浅村が退団となったが、それでもなお強力打線健在といえるレベルにある。ただ負傷者が出た場合、攻守ともに最も影響を被りそうな球団だ。なかでも中村剛也の健康状態は重要なカギを握るだろう。菊池の抜けた穴を投手陣全体でカバーできたとしても、主力野手の故障でその貢献が吹き飛んでしまうということもありうる。ここでは3位と予想した。

ソフトバンクは1位には推したが、攻撃面における柳田の一本かぶりが年々進行しているのが不安である。日本ハムは長打力の面で不安がある。出塁能力を前面に出して戦うことになりそうだが、新加入の王柏融がそれほど四球を獲得できなさそうな点で、出塁面においても若干の不安がある。


日本ハムが失点抑止力で優位に立つと予想(予想者:蛭川皓平)


1位 北海道日本ハムファイターズ
2位 福岡ソフトバンクホークス
3位 埼玉西武ライオンズ
4位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5位 オリックス・バファローズ
6位 千葉ロッテマリーンズ

昨季の優勝チーム・西武に下降要素が多い。西武が落ちるとソフトバンクと日本ハムの争いになるが、日本ハムが失点抑止面でより多くの利得を稼ぎ首位になると予想した。




解説者の順位予想を集計して自らの予想に利用(予想者:佐藤文彦)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 東北楽天ゴールデンイーグルス
3位 埼玉西武ライオンズ
4位 千葉ロッテマリーンズ
5位 北海道日本ハムファイターズ
6位 オリックス・バファローズ

『週刊ベースボール2019年3月11日号No.9』に掲載されている解説者12名の順位予想と過去の的中状況のデータを集計し、自らの予想を組み立てた。手順としては各順位で予想している解説者の多いチームをその順位として仮の順位をつくり、過去3度以上順位予想のデータがある解説者の予想は、過去の的中率をもとに加点、減点を加え集計した。

2年前に行った『「プロ野球解説者の予想」をベースに順位予想を行ってみる』とはまた別の手法を用いている。


総合力が高いソフトバンク。日本ハムは清宮離脱が痛い(予想者:水島仁)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 北海道日本ハムファイターズ
3位 オリックス・バファローズ
4位 埼玉西武ライオンズ
5位 東北楽天ゴールデンイーグルス
6位 千葉ロッテマリーンズ

ソフトバンクは故障者続出の昨季でも日本シリーズ優勝を果たすなど、総合力の高さが際立っている。日本ハムは昨季26本塁打のブランドン・レアード、14本塁打のオズワルド・アルシアが退団したが、代わりの外国人野手として台湾の「大王」こと王柏融を獲得。外国人野手の獲得を王のみにとどめたところに期待の高さがうかがえる。ただ清宮幸太郎が有鈎骨骨折で出遅れたのは痛い。

オリックスは金子、西とエース級の2投手が退団したが、山本由伸、山岡泰輔らが成長しローテーションを引っ張るだろう。西武はエース・菊池が抜けた穴を埋めるのは容易ではない。投手に関しては試行錯誤がしばらく続きそうだ。

楽天は浅村、ジャバリ・ブラッシュを獲得するなど打線を強化したが、エース・則本昂大の離脱が痛いところ。ロッテは新外国人選手のケニス・バルガス、日本ハムから獲得したレアードと元WBC代表を揃えて打線を強化した。球場もリニューアルし、打ち勝つ野球で上位進出を狙いたい。


ソフトバンクは野手の能力が高く、首位の最有力候補(予想者:市川博久)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 北海道日本ハムファイターズ
3位 埼玉西武ライオンズ
4位 オリックス・バファローズ
5位 千葉ロッテマリーンズ
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス

昨季からソフトバンクの戦力に大きな変動が生じる要因は少ない。松田宣浩が35歳、柳田悠岐も30歳と故障リスクが気になる年齢であるが、他球団に比べると主力への依存度は高くない。他の野手によるカバーも期待でき、野手陣の能力はリーグトップクラスだろう。投手陣は昨季、千賀滉大やリック・バンデンハーク、東浜巨らが2017年に比べて成績を落とした。これにより多くの投手が3番手クラスの成績にとどまり、投手陣全体の成績もリーグ平均以下のレベルにまで落ちた。今季もこのような状況に陥る可能性はありうる。ただし、野手による貢献で大きく差をつけることが見込まれるため、現時点では首位の最有力候補である。

日本ハムはソフトバンクや西武には及ばないものの強力な野手陣を有している。また、主力級の選手に20代の選手が多いため、故障や成績下降によるリスクは他のチームよりも低い。勝ちパターンの救援にやや物足りなさを感じるものの、全体的に見ればリーグでも上位の戦力といえる。他のAクラス予想チームの状況次第では優勝も現実的な可能性として考えられる。

西武は昨季、投手、野手それぞれでチームトップのWAR(Wins Above Replacement)を記録した菊池、浅村退団による戦力低下が大きい。野手については、浅村を欠いても主力級の選手が多数いるためソフトバンクと並んでリーグトップクラスの戦力を維持できるだろう。ただ投手は多和田真三郎がエース級の活躍をしたものの、これ以降の投手の貢献は他球団と比較してかなり低かった。昨季はリーグ平均よりわずかに低い投手力にとどめたが、うまく対処できなければ、リーグワーストの投手力となる可能性すらある。

ロッテは最下位に沈んだ2017年からある程度チーム状態を回復させつつある。中村奨吾、井上晴哉らの成長があった内野は強みだ。一方の外野はかつての主力が年齢とともに徐々に力を落としてきており弱点に。投手陣は先発には大きな問題はないものの、救援は弱い。戦力的には上位3チームとはいまだ差が大きく、再建中のチームといえる。優勝に迫るのは厳しいだろう。

オリックスは野手陣に大きな問題を抱えている。昨季は吉田正尚の成長があったものの、T-岡田ら活躍を見込まれていた選手が期待に応えられず他球団に大きな差をつけられた。昨季大きく成績を落とした選手が多いため、今季はある程度回復することが予想されるが、それでも野手陣が弱点となる可能性は高い。投手陣は西、金子の退団があったものの、リーグでも上位の能力は維持できるだろう。ただし救援投手の勤続疲労は懸念材料である。

楽天は、浅村の獲得で内野の大幅な強化が見込まれる。ただし、昨季の野手の貢献は、リーグ平均から大きく離れた最下位であった。浅村が加入しても弱点が完全に埋まるとは考えづらい。投手陣ではチームトップの貢献度を示していた則本昂が故障。前半戦のうちに復帰する目処が立たないという報道も出ており、大きな戦力低下が見込まれる。優秀であった投手力がリーグ平均程度まで低下することも考えられ、野手がつくるであろうマイナスを覆すことは難くなった。



年齢曲線を用いた成績予測により機械的に順位を予想(予想者:八代久通)


1位 50.4WAR 勝率.576 福岡ソフトバンクホークス
2位 45.1WAR 勝率.539 東北楽天ゴールデンイーグルス
3位 44.1WAR 勝率.532 埼玉西武ライオンズ
4位 38.3WAR 勝率.491 北海道日本ハムファイターズ
5位 34.1WAR 勝率.462 オリックス・バファローズ
6位 31.2WAR 勝率.441 千葉ロッテマリーンズ

過去3年の個人成績から算出した成績予測に年齢曲線を用いた補正を加え、機械的にチームWARを推定した。その値から勝率を予測し順位予想を行っている。年齢曲線についてはこちらの記事を参考にしてほしい。

巨大戦力のソフトバンクが予測の上でも優位に立った。WARの内訳では、前年からの投手WARの増加が予測されている。昨季故障離脱により成績を落とした投手の回帰が予測されたようだ。ただそれらの投手が健康を維持できていないなら状況は変わってくる。一方、野手WARは前年から低下を示した。ベテランが多く一定以上の結果を期待できるが、故障や加齢による成績低下リスクを抱えている点が影響したようだ。想定通りの結果を残した場合とリスクが顕在化した場合で戦力にかなりの差が出るだろう。総合的に見ると、多くの選手が順調にシーズンを送った場合のポテンシャルは非常に大きい一方、不安定な戦力とも評価できる。

オフに浅村栄斗を獲得した楽天は野手WARの大きな増加が見込まれており、一定レベルの野手戦力となる見込みだ。投手は例年通り盤石の態勢だったが、則本昂の開幕離脱は大きなダメージである。復帰までに優秀な先発を用意できなければ、目論見通りのシーズンを送れないかもしれない。

浅村、菊池が退団した西武は戦力低下が避けられないものの、充実した野手陣が上位争いに食い込む戦力を保証している。投手陣の課題を解決できれば優勝への道筋が見えてくる。

2019年のパ・リーグは上位に予測された球団であっても、選手の年齢やコンディション、選手層などの不安要素が大きい。戦力のポテンシャルを余すことなく発揮させられるかが重要となるため、フロントやベンチの運用手腕にも注目すべきである。


優勝予想はソフトバンク。ただ数年前に比べると脆さも見える(予想者:山崎和音)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 埼玉西武ライオンズ
3位 北海道日本ハムファイターズ
4位 オリックス・バファローズ
5位 東北楽天ゴールデンイーグルス
6位 千葉ロッテマリーンズ

()内の数字は恣意的に算出した優勝確率を表している。

ソフトバンク(38.0%)

昨季、過去8年間で5度目となる日本一を達成したが、牙城は数年前に比べて確実に脆くなっている。5月に36歳を迎える松田宣がどこまで数字をキープできるかが大きなカギとなる。昨季のように投手陣に故障者が続出すると厳しい。

西武(29.0%)

浅村、炭谷銀仁朗、菊池が抜けた穴は大きいが、優勝の可能性を皆無にするほど壊滅的な損失にはなっていない。若手が上手く成長すれば主力退団の穴を埋めることは可能だ。中村は年齢的に全盛期の成績をおかわりすることは厳しい。

日本ハム(25.2%)

主力の大半が20代中盤~後半と全盛期を迎えているため、そろって成績が大きく落ちるということはなさそう。ただ流動的な二遊間を固めることは必要になる。清水優心の怪我の具合が不安であるため、バックアップ捕手の活躍も必須だ。

オリックス(6.5%)

吉田正以外に確実にインパクトを与えられる打者がいないのは痛い。逆に投手陣は西と金子が抜けたものの、若手の駒が揃ってきており期待が持てる。山本が先発復帰1年目からエース級の成績を残せればCS進出も非現実的な話ではないだろう。

楽天(0.9%)

則本昂がオールスター前に復帰し、後半戦はNPBの全先発投手のうち断トツでベストの数字を残す、という奇跡が起こらない限り優勝は夢のまた夢だろう。それに加えて、茂木栄五郎が2017年の80%程度まで成績を戻すほか、オコエ瑠偉を筆頭とした若手のブレイクも必要だ。新加入のブラッシュがどこまで日本野球に適応できるかもカギを握る。

ロッテ(0.4%)

毎年のことながら、インパクトを残せる選手(20-80スケールで55以上)に欠けるため、すべてが上手くかみ合わない限り、優勝はおろか勝率.500も厳しい。投手陣の柱であるマイク・ボルシンガーも、昨季から成績の揺り戻しが来るはずだ。平沢大河、安田尚憲らがインパクトを残す選手になれるか、成長を見守るシーズンになる。




ソフトバンクを追う打撃の西武、投手の日本ハム(予想者:Dean Steinman)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 北海道日本ハムファイターズ
3位 埼玉西武ライオンズ
4位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5位 千葉ロッテマリーンズ
6位 オリックス・バファローズ

ソフトバンクは昨季多くの故障に見舞われたが、デニス・サファテや柳田といった主力選手が年間を通してプレーができれば、日本シリーズ連覇も十分可能だ。西武は昨季、防御率がリーグワーストの4.24と投球面で苦しんだ。今季はそこから菊池も抜けるが、内海哲也、今井達也、伊藤翔、松本航などが上積みをつくり、昨季のように打撃陣が躍動すればAクラスは堅いだろう。

日本ハムの投手陣は、昨季NPBで最も低いBB%(打者あたりの四球割合)6.9%、HR/9(9イニングあたりの被本塁打)0.85を記録した。これに今季からは金子、ジョニー・バーベイト、ジャスティン・ハンコックが加入する。王や清宮といった若手打者が期待に応えることができればこちらもAクラスは堅い。

読売圧勝としたセとは異なり、パは混戦と予想(予想者:大南淳)


1位 福岡ソフトバンクホークス
2位 埼玉西武ライオンズ
3位 北海道日本ハムファイターズ
4位 東北楽天ゴールデンイーグルス
5位 オリックス・バファローズ
6位 千葉ロッテマリーンズ

優勝はソフトバンクと予想した。ただ読売の圧勝と予想したセ・リーグとは異なり、パ・リーグは混戦になる可能性が高いと考えている。予想は最後まで迷った。西武は浅村が退団となったものの、森友哉の捕手としての出場機会増加、金子侑司の成績回復などで得点力をある程度維持するだろう。先発事情は苦しいが、新たに台頭する投手が出てくる、あるいは運用の工夫で乗り切ることができれば十分優勝争いに加わることができる。

日本ハムは精力的な補強を行ったが、捕手、二塁、遊撃の攻撃力が足を引っ張りそうだ。これらのポジションに改善が見られれば優勝争いに絡んでくるのではないだろうか。これら2球団に優勝の可能性はあるが、やはりソフトバンクのほうが優勝の確率は高そうだ。柳田、千賀、上林誠知といった主力の長期離脱があった場合や、ベテラン野手の衰えが顕著となった場合、優勝争いは混戦になるだろう。開幕直前に飛び込んできた中村晃離脱のニュースはかなりの不安材料である。

4位に予想した楽天は則本昂の故障さえなければ上位に食い込む可能性もあった。ただここ数年強みとなってきた先発陣に不安が見える中でのエース離脱は痛い。浅村と茂木の二遊間が揃ってキャリアハイの成績を残すなどがなければ上位進出は難しそうだ。

オリックスは金子と西の退団が痛いが、投手陣は一定のレベルを維持するだろう。大きな弱点となっている捕手や中堅の攻撃力に改善がなければ上位進出は難しい。ロッテは弱点である外野の状況が大きく変わっておらず、昨季からの上積みがそれほど大きくないとみる。また球場の改修は奪三振とゴロが少ない投手陣にとって不利にはたらきそうだ。得点以上に失点が増えてしまうのではないだろうか。


セ・リーグ編はこちらから

2018年順位予想 セ・リーグ編パ・リーグ編
2017年順位予想 セ・リーグ編パ・リーグ編
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