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私たちが多くの方々のご協力のもと昨年度よりスタートしましたセミナーシリーズ 「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ 」が2年目のシーズンを迎えています。6月10日(月)には、本年度第2回を北里大学一般教育部講師でスポーツ科学研究者の永見智行先生をお招きして開催いたします。

お席にはまだ若干の余裕があります。ご予約はこちらから。

講演に先立ちまして、5月13日(月)に福岡ソフトバンクホークスの三笠杉彦球団統括本部長(現在は取締役GMを兼任)においでいただいて開催した第1回の雰囲気をお伝えするリポートと、先日ご対応いただいた事前インタビューをもとに永見先生の講演予定内容について、少しご紹介させていただきます。


求めるのは複数の価値観や視点を持った“コラボ人材”――福岡ソフトバンク三笠杉彦球団統括本部長


三笠本部長には、昨年から始まった「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ」の第1回にもご登場いただきました。「優秀な人材に来てもらうには、自分たちがどんなことをやっているのか伝えていくことが大事。特に東京の方に、ホークスがどんな会社なのかを認識していただく機会はあまりないので」と2年連続での登壇を受諾した理由から講演は始まりました。

続いて、球団が目標とする「世界一」を実現するために、常勝と事業利益の増大の好循環をつくっていこうとしている福岡ソフトバンクホークスがどのような部門で成り立っているのか、どんな会議体がありどんな話し合いを行っているのか、といった組織の形の話に。


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さらに三笠本部長が立ち上げから関わり、ホークスのアイデンティティのひとつになっている「育成制度」のコンセプト、スカウティングの方針、どのような方向性で「HAWKSベースボールパーク筑後」などの施設を増強しているのかなどを解説。

また、データを活用しチーム強化への貢献を図っている「チーム戦略室」のコンセプトやメンバー構成、戦略室がリードするITやAIの活用、球界内ではほぼ標準化された弾道測定器「トラックマン」に続くトラッキングデータ取得&分析システムとして昨年導入され話題となった「ファストモーション/Fastmotion」の紹介も行われました。「ファストモーション」は映像データとAIを用いて選手の守備や走塁のトラッキングと分析を行うシステムで、昨年の「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ」にも登壇いただいた村澤清彰氏が代表を務めるライブリッツ社によって開発されたものです。

数々の機材を用いて得た分析結果を選手に届けるiOSアプリについての説明も。「いろいろな情報をどんどん入れている」(三笠本部長)。その中で選手が食いついてくれるものを感覚と結びつけてもらい活用しているとのことでした。また、選手のコンディショニングの強化のための取り組みなどに関する話もありました。


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そしてテーマはホークスが求める人材像へ。三笠本部長は、野球への強い関心は前提として、ポイントはプラスアルファだと述べ、スポーツ界では「縦割り」が多いが、異なる価値観や視点を行き来できる人材を「コラボ人材」と表現し求めているとし、「コラボ」の例をいくつか挙げてくださいました。これから球界を目指す人が武器をつくる上で、具体的なアドバイスとなったのではないでしょうか。

その後は質疑応答へ。限られた時間の中ではありましたが、参加者からの様々な質問に真摯に答えてくださいました。

講演が終わってまもなく、ホークスがMLBのドラフトでアトランタ・ブレーブスから1巡目での指名を受けながら入団に至っていなかったカーター・スチュワート・ジュニアとの契約を発表したのはご存知の通り。会見には三笠本部長の姿がありました。革新的なディールを進める一方で、これから野球界を目指す人々へのアドバイスも熱心に行う――三笠本部長自身が、“コラボ”ぶりを存分に体現されていることに感服いたしました。

今回も貴重なお話、本当にありがとうございました。


6月10日(月)の第2回は、投球のトラッキングデータなどの分析で知られる永見智行先生が登壇


さて、三笠本部長に続いて6月10日(月)19時より東京・品川で行われる「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ2019」第2回にご登壇いただくのは、北里大学講師でスポーツ科学研究者の永見智行先生です。


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永見先生の専門は、研究者だけでなくコアな野球ファンたちも熱い視線を送る身体動作やボール回転の分析。様々な機材で取得された投球のトラッキングデータを使った研究などに取り組んでおられます。現在はプロ野球チームからの依頼を受け研究というかたちでプロ野球選手たちのサポートを行っているそうです。

そんな永見先生ですが、もともとはトレーナーを志望していたといいます。

「高校時代から野球とケガのことを調べたりしていて、大学入学時点でトレーナーになりたいというイメージはありました。それで早稲田大学に進学し野球部の学生トレーナーになったのですが、部としても科学的なアプローチでの強化に力を入れていました。当時の方向性としては、データを集めて……というよりはコーチング、トレーニングを科学的なものに変えていこうというものでしたね」

そうした環境でトレーナーを務めていた永見先生は、「本当にパフォーマンスを高めるトレーニングとは何なのか」を知りたいという思いを抱くようになり、それを解明すべく、身体動作やボール回転の解析に興味を持つようになっていったとのこと。

「それで、トレーナーになる道を探りながら、修士課程、博士課程と研究の道に進むことになったんです。その頃には野球部の大先輩である小宮山悟さん(現・早稲田大学野球部監督)が同じ大学院に入学されるという幸運に恵まれ、様々なボールの回転数や回転軸を計測させてもらえました」

トレーナーを目指すのか、研究者になるのか。研究を通じて見えてきたこと、それによって得た自信、出会った人たちとの縁。そうしたものを総合し、どんな判断を下し、どんな強みをつくることで、研究者でありながらプロ野球の現場にも関わりインパクトを与えられるポジションを得たのか――。

6月10日(月)19時より東京・品川で開催される「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ2019」第2回では、このあたりについてのお話のほか、「投球解析に関する研究の現状」「解析内容の選手へのフィードバックにあたっての工夫」など、投球トラッキングデータ分析の最前線で活躍される永見先生ならではのお話もうかがえるはずです。

ご興味をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

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