LI(Leverage Index)
概要
特定の試合状況(イニング・点差・走者・アウトカウント)について、その状況が勝敗に与える影響度という意味でどれだけ重要かを表す指数。1.00が標準的な局面であり、LIが2.00であれば、その局面でのプレーが勝利確率に与える影響は通常の試合局面に比べて2倍大きいことを意味する。
背景
LIは勝利確率から導出される概念である。LIは単に試合展開に対してその局面がどれだけ重要かを表すものであり、それ自体が選手を評価する指標ではない。選手のWPAやWARといった評価指標がどのような文脈で記録されたものかを知る参考として、あるいは観戦のお供として用いられる指標である。
LIの計算の仕組みは、どれだけ勝利確率が変動しやすいかを指数化したものである。具体的にはその打席で起こり得る各事象について勝利確率の変動幅を発生割合に応じて加重平均し、それを平均的な状況の変動幅で除すことによって求められる。直観的には「勝負の分かれ目」と言えるような状況でLIが高くなる。
例えば5点負けている9回裏のツーアウトで迎えた打席の場合、そもそもそこから逆転勝ちできる見込みは低く、その打者がヒットを打とうが三振に倒れようが勝利確率はほとんど変動しない。実際このような局面ではホームチームの勝利確率は0.1%であり、本塁打を打ったとしても勝利期待値は0.2%に上がるだけで、三振でも0.1%が0%になるに過ぎない。この局面のLIは0.02である(数字はFanGraphsのWPA Inquirerより)。
他方で同点の9回裏ノーアウトで迎えた打席であれば、先頭打者が出塁するかどうかは勝敗を決する上で極めて重要である。その時点でのホームチームの勝利確率は63.7%だが、本塁打を打てばこれが100%になるし、凡退すれば58.0%へと減少する。このようにその打席で起こる事象によって勝利確率が変動しやすい局面でLIは高くなるのであり、この局面のLIは2.26である。
各選手がどのようなLI局面でプレーしてきたかを知るために、次のような集計項目がある。
- pLI
- 選手の全プレーのLI平均値
- phLI
- 打者の代打出場した場面に限定したLI平均値
- gmLI
- 投手の各試合登板時点のLI平均値
- inLI
- 投手の各イニング開始時点のLI平均値
- exLI
- 投手の各試合降板時点のLI平均値
LIはまた、選手の評価を離れて一般的に有効なリリーフの起用戦略を考える際なども有益な情報を提供する。優秀な投手を局面を選んで投入するのであれば、LIが高い局面に投入した方が高い効果を得られるからである。そのような意味でもどういった場面でLIが高くなるのかを知ることは重要である。
シーズンのLIはこちらから