評価を終えた採点者に、結果と分析に対する感想をもらいました。外野手、内野手、捕手ごとにまとめ、特集の締めとしたく思います。
外野手(ライト・センター・レフト)
「センターはパ・リーグで勢力図が変わった。駿太(オリックス)などが数字を伸ばし、秋山翔吾(西武)などは数字を落とした」(Jonah)
「秋山はチームの戦術(シフト)の影響も?
数字に力が反映されていたかどうかは気になる部分も」(岡田)
「秋山は少し前方の打球が捕れていない様子がある」(大南)
「そうした積極性には、ミスした際のコーチからの指導なども影響するようにも思う」(Jonah)
「今回基準にした500イニングに達してはいないが、江越大賀(阪神)は高いポテンシャルがあるのでは。そこまで評価されていないが」(大南)
「糸井嘉男(阪神)の加入でどうなるか。糸井は阪神でセンターをやるのだろうか。ライトで数字が出ていないとなると厳しいようにも」(Jonah)
「外野の守備は、反応速度や身体能力に加えて、コース取りなども大きく影響しているように感じる。(入力を通じて)それがうまい選手とそうでない選手は、はっきりと違いがあると感じた」(大南)
「空間把握能力とでもいうべきか?
落下地点に一直線にいくような動きができるかどうか」(岡田)
「ハングタイムなどが出るようになって、アウトの期待値の計算などがきめ細やかにできるようになりそう。UZRが示している数字と大きく変わりはしないだろうが、指標としては洗練されるように思う」(蛭川)
「距離、時間に加えて、選手が走る方向のベクトルの情報を入れると、前に強いとか、後ろは弱いといったことも出せるかもしれない」(岡田)
内野手(ショート・サード・セカンド・ファースト)
「若い選手が数字を出すという傾向は一貫していたように思う。そして安達了一(オリックス)は大きな病気がありながら本当にすごい」(岡田)
「年齢については、守備についてやればやるほどそう思わされる」(蛭川)
「今宮健太(ソフトバンク)が数字を落とした。肉体強化などの影響か。それと、茂木英五郎(楽天)がショートを担えると考えていた人は、あまりいなかったと思う」(Jonah)
「プロのスカウトや関係者がショートの適性を考えるとき、別の要素を重視して見ているのかもしれない」(岡田)
「茂木は、打球にはよく追いついている。今後数字を伸ばす可能性を感じる」(大南)
「143試合という長丁場に、最初から適応するのは難しい面もあると思う。安達も1年目から高い守備能力を見せていたわけではなかった。茂木も守備の数字での上積みはあるのでは」(岡田)
「西野真弘(オリックス)が年間を通して働き、どんな数字になるか興味を持っていたが、UZRでは平均レベルに収まった。ポジショニングがよいといった話もあるが」(Jonah)
「西野はセンター方向に強いと思う。ただ一般的に、(入力していると)どちらかに守備位置を寄せた結果、定位置なら十分捕れる打球を逃すというケースも見かける。それだけで数字を上げるのは難しいとも思う。それから、走者が出て併殺を狙う場面などでは守備位置が変わる。その結果、難易度の高い打球が処理できたりすることもあるが、それは選手ごとに機会に差がでる部分。少し考える必要があるかもしれない」(大南)
「今回は取り組めなかったが、内野手の後方「距離4」のフライの処理を考慮した評価にも取り組んでみたい。絶対数が少なく、大きな影響はないとは思うのだが、ファインプレーとして記憶に残りやすかったりもするので」(市川)
「内野手については、正面に近い打球を、堅実にアウトにできる選手の評価が、少し高めに出るような計算を行った。内野のハングタイムについては、対数変換すると難易度の設定を洗練させることができるかもしれない。ハングタイムのデータも蓄積されてきたとのことなので、機会があれば少しやってみたい」(Student)
「ハングタイムなどが集まるようになり、純粋に面白くなってきたと思う。以前は主観か客観かというような大雑把な対立軸で、漠然とした議論が多かったが、中に入って考えることができるようになってきた。守備の評価にあたって、何をしていて何をしていないのかは、これからも説明していかないといけない」(蛭川)
キャッチャー
「盗塁阻止や捕逸など一般的な要素を、重み、相対化を考えて独自に貢献を算出した」(Jonah)
「極めてオーソドックスに、盗塁阻止や捕逸に得点価値をかけて算出している」(蛭川)
「ファーストで行ったようにバント処理での貢献も考慮した」(岡田)
「盗塁阻止率が高いという情報が事前にあれば、盗塁企図は少なくなる。その結果盗塁得点値が稼げなくなるという可能性を考慮して計算した」(Student)
「順位としてはばらいついたが、捕手の守備が失点抑止に与えるインパクトはそもそも小さい。アナリスト間でとらえ方にそこまで大きな違いがあったということでもないように思う」(岡田)
「フレーミングの導入は、機械的に集計されたデータが公開されていないので当面は難しい。でもインパクトはあるだろう」(大南)
「ただ1試合換算だと、そこまで大きくはなさそうではある」(Jonah)
「フレーミング以外にも、投球のコースなど難易度を考慮した捕球能力の評価など、踏み込んでいくべき要素はある」(岡田)
「やはり気になるのは森友哉(西武)」(Jonah)
「バランスブレイカーになりうる存在。ただ炭谷銀仁朗(西武)の評価は本当に高いと聞く。どうなるか」(岡田)