RC(Runs Created)


【概要】

打者が攻撃においてどれだけの得点を創出したかを表す指標。打者のRCの値が60ならチームの得点のうち60点を対象の打者が生み出したという意味で、値が大きいほど多くの得点を創出しチームに貢献していることとなる。



【計算式】

RC={(A+2.4×C)×(B+3×C)÷(9×C)}-0.9×C

 A=安打+四球+死球-盗塁死-併殺打

 B=塁打+{0.24×(四球-故意四球+死球)}+0.62×盗塁+{0.5×(犠打+犠飛)}-0.03×三振

 C=打数+四球+死球+犠打+犠飛


※計算式は多数のバージョンが存在する



【背景】

RCはビル・ジェイムズが開発した得点推定式であり、セイバーメトリクスの世界において古典的かつ重要な指標のひとつである。


ビル・ジェイムズは、打者の仕事は安打を打つことでも本塁打を打つことでもなく、得点を生み出すことであると論じている。得点が失点を上回ったときに勝利となるのが野球であるから、打者の貢献は得点をどれだけ生み出したかで評価されるべきこととなる。そしてまさにこのことを評価するのがRCである。


従来の記録には打点や得点(ホームを踏んだ回数)が存在するが、それらは結果としてどれだけの点数が発生したかを数えているにすぎず、安打や四球がどのように得点を生み出すのかを表したモデルではないし、個人の評価指標としてもチームメイトの打力や運に左右されるため妥当ではない。RCであれば打撃成績を得点に換算し、野球の目的に照らして意味のある数字で打者個人の貢献度を評価することができる。


最も基本的な形のRCの式は「RC(ベーシックバージョン)=(安打+四球)×塁打÷(打数+四球)」であり、抽象的に表せば「出塁×進塁÷機会」という基本構造をしている。これは得点の構造を出塁と進塁の掛け算によって決まるものとモデル化しているのである。現在のバージョンも細かい係数による補正などが加えられてはいるが上記の基本構造は変わっていない(RCのベーシックバージョンは書籍『マネー・ボール』でも「得点公式」という呼び方で登場している)。


RCは盗塁や犠打を含めないベーシックバージョンでもチームの得点を高い精度で予測することができる。これは総得点の増大という意味で重要なのは出塁率と塁打数であり、盗塁や犠打はさして影響を及ぼさないことを示唆する。このようなRCのモデルが出塁率と長打率の重要性など得点が生まれる構造の理解を進めることとなり、また打者を得点という観点から的確に評価することも可能とした。


打撃成績から得点を推定する式(このような式は他にも何種類か存在する)としてのRCの特色は、打撃事象の掛け算によって最終値が計算されるため、打撃事象相互間の相乗効果を反映することである。すなわち、安打や四球などの事象が多く発生するほど、より効率的に得点数が増大することとなる。実際の野球では出塁が増えるほど塁上の走者が増えて出塁ひとつあたりに発生する得点が多くなるから、RCはこのような野球の仕組みを捉えている。こういった相乗効果は、wOBAなどLWTSに基づく指標は考慮しない。もっともRCのこの特性がうまく機能するのは一般的な出塁率に近い範囲であり、極端に高いまたは低い出塁率の環境では妥当でない推定を示すことが知られている。


なお、打者評価指標としてのRCは、打席数が多ければそれだけ得点を多く生み出す機会が与えられており有利であるから、そのままでは打席数が異なる打者同士の生産性を比較することはできない。そこで機会を揃えて比較するときにはRCをアウト数で割ったRC/GあるいはRC27が用いられる。



RC/G=RC×27÷(打数-安打+盗塁刺+犠打+犠飛+併殺打)



【参考文献】

「得点推定式を読み解く」蛭川皓平(『セイバーメトリクス・リポート4』水曜社2015)




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