RE24・REW
概要
RE24(Run Expectancy based on the 24 base-out states)は打席の前後で生じた得点期待値の変動を測定して集計した指標。その選手がどれだけ得点の見込みの増加(又は減少)をもたらしたかを表す。仮に打席に入った時点の走者・アウト状況からチームの得点期待値が0.400で、ヒットを打つことにより得点期待値を0.600に高めた場合、打者には0.200の評価が与えられる。反対に投手の評価は-0.200となる。このような評価の累積値がRE24であり、平均的な選手は±0となる。REWはRE24に基づいて単位を得点数ではなく勝利数に変換したものである。
セイバーメトリクスにおいて多くの指標はプレーした状況に依存せず成績を環境中立的に評価するように設計されているが、RE24・REWはあえてプレーした状況に依存する評価を行うことにより同じヒットでも重要な場面のヒットを高く評価する指標となっている。このため、数字の高低は評価対象の選手の働き以外の要素にも強く左右される。
計算式
RE24=「打席後の得点期待値-打席前の得点期待値+打席での得点」の合計値
REW=RE24÷RPW
背景
原則的に打者の評価に用いられるwRAA(あるいはその基礎であるwOBA)などは、選手の働きを環境中立的に評価するため、どのような場面で打ったものであろうと二塁打1本は二塁打1本として一定の価値(例えば0.78点)で評価される。
これに対してRE24は、打席に入った際の走者・アウト状況を加味した得点期待値の変動により選手の働きを評価するため、二塁打の価値はそれが生じた状況に依存して決まることとなる。これにより、結果として各選手がどれだけ得点の見込みを動かしたかという側面を数量化するものである。
例えば得点期待値の無死走者なし(期待値0.440)から二塁打を打って無死二塁(1.059)にした場合の価値は差分の0.619であり、2死満塁(0.758)から走者一掃の二塁打を打った場合(2死二塁:0.305)の価値は差分の-0.453に記録された得点の3を足した2.547である。
打者のRE24が正の値の場合、平均より得点を増やしていることを表す。打者は盗塁も評価に含まれる。そしてRE24は投手の評価に用いることもでき、投手のRE24が正の値の場合、平均より失点を防いでいることを表す。ここで、得点期待値の変動は全てが投手の責任とされ守備の影響は考慮されない。
打者の評価にRE24を用いる場合、特定の走者・アウト状況を想定した上で平均的な打者よりもどれだけ得点を増やしたかを評価することを意味する。得点の見込みを増やしやすい重要な局面で活躍した打者はwRAAに比べてRE24が高いこととなるが、このようないわゆる「勝負強さ」といったものは再現性に乏しく、選手の継続的な能力による部分は少ないと考えられている点には注意が必要である。
投手に関しては特に救援投手の評価でRE24が有用である。一般的な防御率・失点率のルールでは救援投手の働きをうまく表現できない場合があるが、RE24は直接的に得点期待値の変動を測定するため走者を引き継ぐ状況での継投の結果を評価しやすい。
RE24と同じく環境依存的な評価であるWPAとの違いは、WPAが勝利確率を対象にしていて単位が勝利数であるのに対してRE24が得点期待値を対象にしていて単位が得点数であること、またWPAは走者・アウト状況だけでなくイニング・点差を変数として考慮するのに対してRE24はイニング・点差を考慮しないことである。
RE24をRPWで割ると、単位が得点ではなく勝利であるREWと呼ばれる指標になる。
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