Introduction 04. 「打者の評価(weighted On-Base Average)」

得点への貢献度を重要視、相関関係を向上
得点への貢献度を重要視、相関関係を向上

打者の評価指標は歴史上多く提唱されてきたところで、一般的にはセイバーメトリクスの指標としてOPSが有名だ。だが現在MLBのセイバーメトリクス界隈ではwOBA(weighted On-Base Average)が主流となっている。 wOBA(NPB版)={0.692×(四球−故意四球)+0.73×死球+0.966×失策出塁+0.865×単打+1.334×二塁打+1.725×三塁打+2.065×本塁打}÷(打数+四球−故意四球+死球+犠飛)

wOBAは四死球・単打・二塁打・三塁打・本塁打それぞれに得点期待値から得点の価値を割り振り、それによって打者を評価する指標だ。出塁率と同じ感覚で扱えるようになっており、平均値は.330くらいになる。なお、盗塁を加味して計算する場合もある。

一言で表現すればwOBAは打者が打席あたりにどれだけ得点の増加に貢献する打撃をしているかを表す指標であり、四死球を評価に含める点、さらに長打の価値を区別する点で打率よりも的確に打者の得点への貢献度を表す指標といえる。OPSとの比較では、各項目への加重が得点への影響度の実態に即しているという点でより優れている。

wOBAを見る際のポイントとしては、それが出塁率のように打席あたりの率という形をしていることと、それ自体が直接に得点の単位をしているわけではないということだ。つまり同じwOBAでも打席数が多いほうが創出した得点の絶対量は多いことになる。得点との関係で言えば、各項目の加重の比率は得点価値に即したものとなっているが、例えばwOBAが.400だからといって「1打席で0.4点を創出する」といった読み方ができるわけではない。

具体的に得点数の意味でどれだけ貢献をしているかを把握するためには、wOBAに少し手を加えてwRAA(weighted Runs Above Average)に変換する必要がある。 wRAA=(wOBA−リーグ平均wOBA)÷1.24×打席

そもそもwOBAは出塁率に数字の大きさを合わせるため、各項目の係数は得点価値に対して1.24倍になっている。そこで平均値を減算して1.24で割り返すことによって打席あたりで平均的な打者に比べてどれだけ多くの得点をもたらすかを計算し、最後に打席数を乗じて「同じ打席数をリーグの平均的な打者が打つ場合に比べてどれだけチームの得点を増やしたか」を評価する。それがwRAAだ。+20であれば同じ打席数を平均的な打者が打つ場合に比べてチームの得点を20増やしたと評価できることになる。

wRAAは端的にリーグ内での打者の優秀度・貢献度を表すことができるため打撃の評価としては非常に有用だ。wOBAの高さが同じでも打席数が多いほうがwRAAは大きくなり、wOBAが表す仕事の能率に加えて仕事の量も表すことができる。

さらに少し見方を変えて、創出した得点の絶対量を表すのがwRC(weighted Runs Created)だ。 wRC={(wOBA−リーグ平均wOBA)÷1.24+リーグ総得点÷リーグ総打席}×打席

これは平均との対比ではなく、その打者が絶対的にどれだけの得点を生み出したかを数字で表す指標だ。例えば500打席でwRAAが+20の打者がいるとする。平均的な打者が500打席で55点程度の得点を生み出すと仮定すると、この打者は絶対的には75点の得点を生み出していることになる。仮にwRAAが0でも、50打席の場合と500打席の場合とでは選手の働きを評価するときには意味合いが異なる。仮に平均に比べて傑出はしていなくても仕事量を積み重ねたことを評価することができるのがwRCだ。

これらwOBA・wRAA・wRCは相互に関係している。というよりも同じ事柄をどういう見方で見るかという違いに過ぎない。どれが正しいという問題ではなく、質を評価したいならwOBAを、量を評価したいならwRCを、傑出している部分を評価したいならwRAAを、といったように分析の目的に応じて見方を変えることになる。これらの指標の計算方法を暗記する必要はなく、そういった見方の違いがあるということを理解しておくのが大切だ。

wOBA
質を評価するのに向いた指標
wRAA
傑出している部分を評価するのに向いた指標
wRC
得点に対しての仕事量を評価するのに向いた指標
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocketに追加
  • LINEにおくる
©2015-2018 Copyrights Allright Reserved DELTA, Inc.