07. 「総合的な評価(Wins Above Replacement)」
最後に、上記のような指標を総合してある選手が走攻守全て合わせてどれだけ貢献したかを評価するWAR(Wins Above Replacement)という指標がある。これは選手の貢献度評価指標としてはある種究極的なものだ。端的に、総合的な貢献度を知ることができる。誰がMVPにふさわしいかの議論や妥当な年俸についての議論の場面で特に威力を発揮する。
WARは「控えレベルの選手が出場する場合に比べてどれだけチームの勝利を増やしたか」という意味で使われる一般的な用語であり、具体的な計算方法については、MLB界隈でも複数の研究機関がそれぞれに異なる方法を発表している。詳細な説明をすると長くなるが、基本的にはwOBA・FIP・UZRといった指標を基本として各種の補正を加えて計算していくものだ。
数字としてのWARの特徴は「得点」が単位ではなく「勝利」が単位であること。評価の基準がリーグ平均ではなく代替水準(控えレベル)との対比であることだ。つまりWARが4.5ならそれは4.5「点」の貢献ではなく4.5「勝」分の貢献だということであり、かつそれは最低限の年俸で確保できる控えのレベルの選手が出場する場合に比べて4.5勝分優れた働きであることを意味する。