年齢曲線
年齢曲線(Aging Curve)とは、選手のパフォーマンスが年齢にしたがってどう変化していくかの傾向をいう。年齢を横軸、パフォーマンスの高さを縦軸にとってグラフを描くと一般的に若いうちは年齢とともに能力が上昇していきある一定の年齢を超えると下降していく放物線のような形の曲線となることから年齢曲線という呼び名がある。
統計データから年齢曲線を描くのは複雑なプロセスであり、研究者によって手法は異なる。まず、単に全選手の成績を年齢別に集計するだけでは能力の異なる選手同士の比較になってしまい、年齢の違いだけによる成績の差を抽出できない。そこで2つの連続する年(例えば2016年と2017年)で出場した選手のデータを集め、前後の変化だけを集計していき一般的な傾向を探るという操作が必要になる。その他年齢の要素のみを抽出するため各種の補正が行われる。
上記の都合により参照する研究によって細部は異なるが、大まかな結論は概ね次の通りである。まず、打者に関してはwOBAのような打撃指標を対象としてデータをとると27歳が最もパフォーマンスが高い年齢であるという結論になることが多い。守備についてはもう少し若い年齢がピークであるとする説が多く、遊撃手について23~28歳をピーク年齢と推定した研究がある。
投手に関しては野手のような年齢曲線が描かれず、若いうちから年齢を重ねるほどにパフォーマンスが低下していくという結果が示されることが多い。これに関しては実際に投手は消耗品的な側面が強いためデータが正しいとする見解と、統計処理上の問題であり適切な補正を加えればもう少し野手に近い曲線が描かれるはずだとする見解がある。
参考サイト
・How do baseball players age? (Part 1)
・How do baseball players age? (Part 2)
・Fielding aging curves
・How Do Pitchers Age?
参考文献
「年齢の変化と成績の関係」(岡田友輔他『セイバーメトリクス・リポート1』水曜社2012)