4月12日の公示登録でオリックスの安達選手が今季はじめて一軍に登録され、スタメン起用された。1月23日に厚生労働省指定の難病「潰瘍性大腸炎」で西宮市内の病院に入院していることが判明してから、3か月足らずで一軍復帰となった。


ただ、実戦復帰は4月2日のウエスタンリーグのソフトバンク戦からで、ファームで4試合14打席を消化したにすぎない。




復帰を急ぐ理由



福良監督が実戦復帰間もない安達選手の一軍昇格を決めたのは、内野守備への不安からだろう。


pict



現在のゴロ処理割合は、サンプルが少ない点を差し引いても看過できないレベルだ。

正直、首脳陣もファンもここまで守備面でほころびが出るとは想定していなかったかもしれない。パ・リーグワーストの失点85(4/11時点)は、投手の不調もあるが、 守備面でのマイナスも大きい。




オリックスのゾーン別ゴロ処理



ゾーン別に打球処理の割合を見ると、安達選手不在の影響が良くわかる。


pict



2015年オリックスの内野守備は、基本的に安達が他ポジションのマイナスを相殺するだけでなく、ゴロ処理をリーグ平均以上に押し上げている。12球団の平均的な遊撃手に比べ、二遊間・三遊間いずれの打球にも強く、多くのアウトを稼いでいるのが分かる。


反面、1B/2B/3Bの守備に問題を抱えていたが、それを安達の守備が覆い隠してしまった側面もある。




pict


福良監督をはじめ首脳陣は、安達選手の不在を中島選手の遊撃再コンバートや縞田、ルーキー大城などの起用で乗り切ろうとした。しかし、開幕からの12試合は、安達の守備力がいかに優れていたか確認する期間となった。これまで強みだった二遊間・三遊間の処理は落ち込み、アウトを効率的に取れなくなった。


内野の顔ぶれは新外国人選手の加入や有望株が故障から復帰し変化したが、1B/2B/3Bともに守備面は前年と同じような傾向が出ており、投手にとって極めて厳しい状況になっている。


首脳陣もファンも短期間でここまで影響があるとは、思っていなかっただろう。





遊撃手・安達の価値と健康



pict



pict



健康であれば、安達は遊撃手として


・遊撃平均を上回る攻撃力


・球界屈指の守備力


・平均以上のスピード


を持つ選手といえる。


昨年までの安達選手は、現在の日本球界で最も過小評価されている選手 だった。しかし、皮肉にも、グラウンドではなく、安達選手の不在期間にその価値がクローズアップされた。


ただ、これは健康でプレーできるのが前提だ。今回の病気は、安達選手からその能力を奪ってしまう可能性もある。これからの試合を通じて、安達選手がその力を維持できているのか注視しなければならない。


復帰時期に関しては、安達選手が今季はじめてファームの試合に出場した際、 復帰時点で健康への不安があることを語り、本人も12日の復帰は早いと話している 。首脳陣も余裕があれば、万全の体調となるまで復帰を待てたのだろうが、チーム状況がそれを許さなかった。安達選手の復帰を起爆剤としたいオリックスだが、思惑通りにいくのだろうか。早期復帰に懐疑的な意見もあるだろうが、本人と首脳陣が合意しているのなら、それをサポートする以外ないだろう。


安達選手・首脳陣・球団・ファンにとって最も良いシナリオとなる、試合に出ながら体調を回復し、例年通りの活躍をすることを願う。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocketに追加

  • アーカイブ

執筆者から探す

月別に探す

もっと見る