1.02 Essence of Baseball

2017年新外国人選手紹介(リリーバー編)

水島 仁

2017/01/10



来シーズンに向けての戦力補強に各球団ともに励んでいる状況である。今年はFAとその人的補償、トレード、ドラフトもありシーズンオフも話題が満載であるがそれらに並んで効果的な戦力補強として外国人選手獲得がある。来年から日本プロ野球でプレーする新外国人選手の特徴と来シーズンの期待度を綴っていきたいと思う。


前回 の新外国人打者に続き、今回は新外国人の救援投手について分析したい。


今年は各球団とも救援投手獲得に余念がない。例年クローザー候補の新外国人投手を紹介するときには、「最速160km/hr」という景気のいい話がスポーツ紙を飾り、昨年もエリック・コーディエ(オリックス)、フアン・ハイメ(中日)といった速球に自信のある投手たちが来日したが、球速だけで実績を積み上げられる簡単な世界ではなく、志半ばで日本を去った。今年も最速150km/hrを超える投手たちが続々来日している。そんな投手たちを中心に紹介したい。




新外国人投手のメジャーリーグでの記録
pict

真っ先に注目を引くのが、読売に入団したアルキメデス・カミネロだ。最近3年間の速球の平均球速は97.5MPHで、最速チャップマンに次いでメジャーNo.2にあたる。今年はメジャーでもクローザーのFAが多かったが、参考までにその選手たちとも比較してみたい。



pict

カミネロの球速は素晴らしいが、被コンタクト率が比較的高く、空振り、そして三振は奪えず四球がかさんでいる。カミネロにはカットボールとスプリッターという威力のある変化球があることがデータから分かっており、速球のコントロールがつけば、それらの変化球も相手チームにとっては脅威となるだろう。カミネロの速球が「本物」に化けたとき、将来的にチャップマンやジェンセンのように巨額の契約を勝ち取れる日がくるかもしれない。


阪神が獲得したロマン・メンデスは昨年のラファエル・ドリスやマルコス・マテオと同郷のドミニカ共和国出身のリリーフ右腕だ。速球の平均球速はマテオを凌ぐスピードの持ち主である。平均球速はジェンセンと同じだが、コンタクト率も高く、結果的に三振を奪えていない。さらに、気になる点は、打者のレベルが上がっていくほど、スタッツが悪化していくことだ。さらには、昨年の主戦場だったインターナショナル・リーグ(IL)のポータケットは投手有利の球場であり、そこでの地の利を活かせていなかった。日本では投手有利の甲子園球場で活躍できるか。投球の1/4を占めるスライダーには威力があり、有効に使っていきたいところだ。


西武に入団したブライアン・シュリッターにも同様だろう。 2015年にAAA級パシフィック・コースト・リーグ(PCL)で23セーブをあげセーブ王に輝いたが、オフにロッキーズに移籍。ロッキーズの本拠地が高地にあり、有数の打者有利の球場であることは有名だ。そのシーズンはリリーフ陣の「投壊」が顕著で、防御率5.13(先発防御率4.79)だったが、結果的に最後までメジャーから声がかからなかった。AAA級通算防御率が2.92、そしてFIP 3.28であり、さらにはK/BB 2.11とあっては信頼度が低いのも致し方ないだろう。特徴はゴロボール投手であり、西武ドーム球場のマウンド改修や辻新監督が掲げる内野守備の強化によって打たせて取る投球に磨きがかかれば化ける可能性も秘めている。


楽天が獲得したハーバード大学出身のフランク・ハーマンの投球スタイルはパワーを前面に押し出すスタイルだ。2011年から2015年までは毎年奪三振数がイニング数を上回るだけでなく、特筆すべきことは、一昨年から与四球が著しく少なくなったことだ。AAA級合計で84イニングスを投げ、84奪三振、与四球16となっている。メジャーでは、コンタクトされることが多く、活躍する機会が少なかったが、近年は速球一筋の投球スタイルから、速球の割合も減りカーブ、スライダーの割合も増えるなどモデルチェンジしてきており、日本ではどのようなピッチングをするか興味深い。


オリックスが秋季キャンプでテストを行い獲得したのがゴンザレス・ヘルメンだ。スピードもあり、被コンタクト率もそこまで高くないが、K/9が限られ、BB/9が5を超えていることを踏まえると、コントロールに問題を抱えているのだろう。そんな中でも、スピードのある速球と威力のあるスライダーはメジャーでも評価されていたのか、昨年、今年とロッキーズで29試合、40試合と登板機会があった。一昨年はリリーフ防御率4.70のブルペンの中で防御率3.86を記録し奮闘したが、昨年は防御率5.33と期待に応えられなかった。変化球ではチェンジアップの威力があり、本来はゴロボール投手であることから、うまく速球に織り交ぜながらの投球術を見せたい。


オリックスが獲得したもうひとりのリリーバーのマット・ウエストはメジャー通算が5試合にとどまっており、傾向を把握するのは難しい。2014年にPCLでK/9 11.22を記録したものの、それ以降は数値が半減している。昨年はコントロールが良い投手のようで、早い速球がなくても制球力で勝負をしていけば、活躍の可能性が高まるだろう。


ヤクルトが獲得したプレストン・ギルメットは2013年ILにセーブ数3位にランクインした投手だ。同年の5位が今年からチームメイトになるジョシュ・ルーキだ。同年の同リーグで10セーブ以上あげた投手の中で、K/9 >9.0、K/BB > 5.0の指標を同時に満たした「制球力のある豪腕」はこのルーキとギルメットだけだった。二人ともメジャーではフライボール投手であり、昨年のルーキの日本での活躍を受けて獲得した形だろう。ルーキは神宮ではゴロボール投手に「変化」しており、日本では奪三振もそれほど多くは取れていなかった。ギルメットはルーキと比較すると、平均球速が5MPHほど遅い。三振を奪えずにフライボールを打ち上げられ続けると、狭い神宮球場では柵越えのリスクも孕んでおり、投球スタイルの変更を余儀なくされるかもしれない。


DeNAが獲得したスペンサー・パットンは2014年PCLセーブ2位にランクインした投手であり3年間のK/9が12.93、メジャー通算K/9も9超えをしている三振奪取能力に長けた投手だ。イメージとしては昨年途中にチームに加わったマイク・ザガースキーに似ており、メジャー、マイナーともにスタッツは似ている。





ザガースキー
pict


パットン
pict

ザガースキーは一昨年の広島在籍時と比較すると投球機会は倍増したが、AAA級時代ほどのスタッツは残せなかった。パットンはザガースキーのようではなく、AAA級の大活躍の再現を日本で狙いたいところだ。


中日が獲得したホルヘ・ロンドンはメジャー通算が19イニングスにとどまっているものの、そこで記録した速球の平均球速は95.5MPH(昨年 に限れば96.8MPH)と読売に入団したカミネロに劣らない数値だった。


しかし、これだけの速球を持ちながらもAAA級通算のK/9 6.81、BB/9が3.67ということは制球力が不足しているということだろう。ここ2年は持ち味の速球の割合を減らし、スライダーを多投するようになってきている。ゴロボール投手であり、投手有利のナゴヤドームで活躍できるか注目したい。


広島が獲得したライアン・ブレイジアのメジャー経験は2013年のわずか9イニングスにとどまっている。翌2014年にトミージョン手術を受け、一昨年に戦列に復帰。トミージョン手術後の昨年はPCLでK/9 10.38を記録した。もともとはメジャーで平均球速94.2MPHを記録していたほどだ。守護神中崎につなげるリリーバーとしてジャクソンと安定したコンビが組めるようだと、今年の広島の勝率も高くなるだろう。



タイトルリスト

掲載月別

執筆者別

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocketに追加
  • LINEにおくる
© Copyrights 2015 DELTA Inc.