総合指標WAR(Wins Above Replacement)には守備位置補正が加えられる。WARが採用する守備指標UZR(Ultimate Zone Rating)は、同じ守備位置の選手の守備貢献の優劣を比較するため、異なるポジション間の選手を比較するWARではそれを補正する必要がある。今回はこの補正値のアップデートを行う。

蛭川皓平(@bbconcrete)氏提案の守備位置補正にアップデート!

DELTA算出のWARでは、これまで『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート3』で提案した、過去のNPBにおける守備位置ごとの打撃成績を集計し、補正値の根拠とする手法をとってきた。

しかし、2019年12月に出版された『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート3』の「守備位置補正の検討」において、蛭川皓平氏が新たな守備位置補正値の提案を行った。手法としては、打撃指標による算出と守備指標による算出を併用し、それぞれの長所を生かすというものだ。

DELTAでは現状この手法・補正値がベストであると考え、1.02掲載のWARをアップデートする。これからはじまる2020年シーズンだけでなく、すでに掲載されていた2014年シーズン以降のデータもすべてこの補正値によるアップデートが行われている。各選手の値がどのように変化したか確認してみてほしい。各算出機関との値の違いを示しておく。

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守備位置補正についてはこれが定まった結論というわけではない。補正は環境や時代によって変わるべきものだ。DELTAでは今後も議論を重ねながら必要があればアップデートを行っていく。

2014、2015、2019年のUZRを修正し再配信

また、すでに公開されていた2014・2015・2019年の入力データに不備があり、誤ったUZRが配信されていたため、こちらについても修正し再度配信を行っている。


岡田 友輔
1975年生まれ。2002年より日本テレビのプロ野球中継スタッフを務める。2006年にデータスタジアム株式会社に入社。統計的な見地から野球の構造・戦略を探求するセイバーメトリクスを専門に分析活動をおこなう。2011年に合同会社DELTA(2015年に株式会社化)を設立。プロ野球球団の編成サポートを行うとともに、アメリカで一般化しつつあった守備指標や総合指標の算出・公開など日本の野球分析を米国規格に近づけるための土台づくりにも取り組んでいる。球団との関係は年々深まっており、データ面からのサポートを中心に現在多くの球団とビジネスを行っている。
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