セ・リーグの2016年度ペナントレースは10/1を持って全日程が終了し、広島が1991年以来25年ぶりの優勝に輝きました。シーズン89勝は球団史上最多の勝ち星で、リーグでは1965年巨人の年間90勝には届きませんでしたが、2リーグ制以降の両リーグで9番目に多いものでした。また、勝率.631も1984年の.625を抜く球団歴代トップの数字。大混戦だった昨シーズンから一転して、リーグを独走したのには様々な要因がありました。



<ペナントレースのおさらい>


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今シーズンのセ・リーグは、巨人が開幕から10試合で7勝3敗とスタートダッシュを掛けましたが、13試合目には阪神が入れ替わりに首位へ浮上。その4日後には広島が阪神と並んで同率首位、ゴールデンウィークが終了した5/8には中日がトップに躍り出ました。首位といっても、貯金を大幅に増やす球団はなく、この頃苦戦していたDeNA以外は勝率5割を行ったり来たりで、このときは1年前と同じようにペナントレースが混戦になると想像する人は少なくなかったでしょう。


広島が首位に定着したのは交流戦の一週間前あたりから。それでも思うようには貯金は増えず、交流戦に入っても一進一退は続きました。広島にとってターニングポイントになったのは、交流戦最後の一週間。本拠地マツダスタジアムでの西武3連戦に全勝した後、同じく本拠地のオリックス3連戦で鈴木誠也選手がサヨナラ、逆転サヨナラ、勝ち越しと3本のアーチが全て決勝点になる働きで貯金を今シーズン初の2ケタに乗せ、ここから一気に走り出しました。


広島の連勝は6/29のヤクルト戦まで続き(11連勝)、他の5球団は全て勝率5割未満。勢いがついたチームは、7/12には貯金を20の大台に乗せ前半戦をトップで折り返しました。


後半戦がスタートすると、ようやく戦力を整えた巨人が7/29から8/6に掛けて7連勝。 8/5から始まった直接対決でも連勝し、この時点で広島とのゲーム差を4.5まで詰めてきました。しかし、8/7の3戦目は9回まで1点をリードしながら菊池涼介選手に同点アーチ、新井貴浩選手にサヨナラ安打を許してしまいゲーム差は再び5.5差に。以降、巨人がゲーム差をこれ以上詰めることなく後退。広島は再び勢いに乗り、8/24の巨人戦に勝ったこの日に優勝マジック「20」が点灯。選手たちはプレッシャーに襲われることなく、アッという前にマジックを減らし、9/10の巨人戦に6-4で勝ち25年ぶりの優勝を決めました。


終わって見れば2位巨人とのゲーム差は17.5で、これは1990年の巨人が記録した22.0差、1951年の巨人が18.0ゲーム差をつけた年に次ぐもの。さらに、2位以下の5球団が全て得失点差マイナスの珍現象も生まれ、交流戦での苦戦及び星の潰し合いが広島の独走を助けた形となりました。結果として歴史的な大差がついてしまいましたが、クライマックス・シリーズ(CS)では巨人もしくはDeNAが再び広島と対戦するチャンスが巡って来ます。最後まで目の離せない日本一争いを見せて欲しいものです。





<各球団の戦力値総括>

広島

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ここからは各球団の戦力値を見ながら今シーズンの戦いを振り返って見ましょう。広島は、攻撃面の数字でリーグトップに立ち、1.02のOffence数値は93.9と非常に高いレベルでした。昨シーズンとの比較では、菊池選手のバウンスバック(立ち直り)や新井選手の健在もありましたが、何といっても鈴木選手の台頭が得点力向上に大きく貢献しました。レギュラーとしての出場機会を得たため、Offence数値は2015年の3.5から49.9へとジャンプアップ。これは、2014年の山田哲人選手(ヤクルト)が残した数字(46.2)よりも高く、MVP級の攻撃力を誇る一流選手を加入させたのとほぼ同じ効果を生みました。昨シーズンまでは、外国人選手に依存する傾向があった長打力を鈴木選手が補完することで、チーム全体の得点力が格段に向上しました。


投手陣も平均失点、チーム防御率がリーグトップと健闘。一方でxFIP4.00、FIP3.86とポテンシャルの面では数字も順位も下がっています。チームにはジョンソン投手がカットボール、黒田博樹投手は2シームといった小さな変化量でゴロを打たせるピッチングを得意とする投手が主力で、加えて天然芝の内野グラウンドに、今シーズンも522補殺で年間歴代3位の記録を作った菊池選手(歴代1位、2位も独占)と、本拠地とチームの守備力を上手く利用した結果が低い失点率、防御率に影響を及ぼしたと見て良いかもしれません。ブルペンは、リードもしくは同点の場面での失敗が少なく、昨シーズンは幾度となく救援失敗した中崎翔太投手に対する、緒方孝市監督の辛抱強い采配が実りました。


守備の面でも広島は底力をまざまざと見せつけました。チーム全体のUZR29.3はリーグトップ、打球処理と併殺完成が強く、その他の指標でもこれといった弱点の無いところが総合評価を上げたものと思われます。丸佳浩選手は、守備範囲の広さが求められる中堅のポジションで打球処理、肩、堅実さ全てを兼ね備え、遊撃のレギュラーを獲得して2年目の田中広輔選手も、打球処理の面で大いに貢献。守備を重視したいポジションで打てる選手を揃えることが出来たことは、あらゆる面で他球団との差を広げる要因にもなりました。


ポストシーズンを前にチームの弱点を一つ挙げるなら、故障中の中崎投手がCSに間に合うのかという点と、ブルペンから先発に転向させたヘーゲンズ投手の穴。シーズン終盤では今村猛投手、大瀬良大地投手らがそれを埋めたものの、ややコマ不足なのが気に掛かります。どんなに戦力値が高くても、最後の詰めを誤れば勝利に導けないことは、昨シーズン何度も味わっているはずで、緒方監督がこの点をどうクリアするのかもこれからの注目点です。






巨人

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公式戦を2位でフィニッシュしたものの、今シーズンの巨人は例年以上に課題を多く残しました。攻撃面では、新外国人のギャレット選手を4番に据え開幕を迎えましたが、打線の繋がりに欠け5月の平均得点は2.33と、健闘する投手陣を支えることが出来ませんでした。ようやく本領を発揮したのは後半戦からで、前半戦では84試合で25打点だった村田修一選手が、以降は59試合で56打点と大暴れ。ただし、年間を通じてチームを引っ張ったのは坂本勇人選手。6月を除いた全ての月で打率3割以上、出塁率4割以上を記録し初の首位打者を獲得。スランプが殆ど無く、出塁するだけでなく、走者を還すバッティングで攻撃陣の生命線となりました。


投手では、菅野智之投手の大黒柱ぶりが際立ち、こちらは自身2度目の最優秀防御率と初の奪三振王を獲得。2013年のデビュー以来、年々下がっていたK%を今シーズンはキャリアハイの26.0%にまで上昇。4シームの球速が上がり、そのため空振り率も前年の9.4%から11.9%へと大きくアップ。しかし、菅野投手はプロ4年目にしてはじめて2ケタ勝利を逃し、沢村賞には遠く及ばないとの意見も出ています。今シーズン、菅野投手が先発した26試合で味方打線の援護は平均3.23点。年間平均3.60点に比べるとやや低いですが、菅野投手が登板した試合に限って点が取れないというほどでもないようです。他にも、勝利投手の権利を得ながら降板後追いつかれてしまったのが3度、6回以上2失点以下と勝ち星を手中に収めてもおかしくない内容で敗戦投手になったのが4度。これが全て勝ち星に変われば菅野投手の成績は16勝3敗という数字を残していたかもしれません(最多勝を獲得した野村祐輔投手は勝ち星消失無し、6回以上2失点以下で敗戦投手もなし)。



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こうした援護の有無や運、不運によって菅野投手の評価が若干でも下がってしまう恐れがあるのは残念としか言い様がありません。しかし、勝敗をサポートすべき他の選手たちに強みと弱みが同居していた場合、それによって競り合いを取ったり落としたりする可能性があるのは不思議ではありません。今シーズンの巨人野手陣は、坂本選手を除くと「攻撃面でプラスも守備面はマイナス」、「攻撃面でマイナスも守備面はプラス」という選手が非常に多く、チームの戦力値(特に守備)にバラつきが大きく、起用面の悩みが見えてきます。ブルペン陣にも同じことが言え、チームのセーブ数とホールド数は広島(136)に迫る数(133)を記録しながら、救援失敗率は後れを取ってしまいました。


巨人の戦力は徐々に低下しています。今シーズンは坂本選手、菅野投手の活躍でマイナス部分を食い止めるのに成功しましたが、野手に関しては広島のような攻守両面で働ける選手の育成&獲得が課題となるでしょう。





横浜DeNA

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2012年から球団を運営し始め、4年目で念願のCS進出を果たしたDeNA。営業面では数々の施策がヒットし、ビジネスにおいても注目を集めていますが、チームもこれに恥じない強さが徐々に備わって来ました。しかし、戦力面ではリーグ内で優位に立つ箇所は少なく、得失点差から見たピタゴラス勝率(.488)は巨人を抜くリーグ2番目の数字を残したものの、まだまだ課題があるチームです。


攻撃陣は、本塁打と打点の二冠を獲得した筒香嘉智選手とロペス選手、梶谷隆幸選手らが中心。5年目の桑原将志選手がレギュラーに定着し、4年目の宮崎敏郎選手もそれに近い成績を残しました。遊撃のポジションには2年目の倉本寿彦選手、捕手は新人の戸柱恭孝選手がポジションを勝ち取り、2塁と3塁を流動的に起用する以外は固定メンバーで戦う体勢が整いました。前年までの課題があまりにも多かったため、捕手のOffence数値などは前年よりも減点傾向(-21.9⇒-43.0)、攻撃力全般でも評価は高くありませんがひと試合での平均得点は3年ぶりに4点台を記録。2006年以降の10年間で平均4点以上が1度しかなかったDeNAにとって、打って勝つ試合の印象が強くなったのは明らかでした。


投手陣は月を追うごとに成績が悪化。6月終了時点でのチーム防御率は3.29だったものが、最終的には3.75と苦戦しました。しかし、これも9月は三浦大輔投手が引退試合を行った29日のヤクルト戦を除けば3.17と、改善の方向にはあるようです。広島、巨人と比較して防御率とxFIPの乖離幅は小さく、こちらは実力を反映した結果が残っています。8月に入ってから抑えの山﨑康晃投手が救援失敗を繰り返しましたが、年間を通じての救援失敗率はまずまずの数字に収まりました。


ただ、守備の面では数字以上に課題が残されています。チーム全体のUZRはプラスに展開しましたが、これを作り出していたのがARMに特化した部分、比較的名手といわれる選手の少ない1塁、左翼というポジションでロペス選手、筒香選手らのポイントが大きく作用していました。桑原選手(UZR1.9)が守る中堅は及第点として、二遊間の打球処理及び併殺完成力、捕手の盗塁阻止率が今後の課題となるでしょう。チームが残した戦力値について、ラミレス監督は主力選手が故障ないしは不調に陥る前に適宜休養を取らせる方針を持っていたようで、この決断が特定の選手の成績維持に貢献した反面、やや力の劣る選手を起用することで悪化を招いた可能性も無くはありません。ポストシーズンでは、戦力を絞り込んで戦うことになるため、ツボに入ったときの強さは対戦チームの誰もが認めていることでしょう。






阪神

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「超変革」の名の下に大々的な世代交代を打ち出した阪神。チームが今シーズン残した戦力値を見る限り、最下位になっても全く不思議ではありませんでした。最終的には4位で閉幕し、最後は7連勝で公式戦を締め括りました。DeNAと同じように若手中心のチームで課題がいくつもあり、オフには大補強に転ずるかもしれないとの噂も流れています。


攻撃は、どの数字も下位に低迷しています。シーズンを通して阪神をみたファンにとっても違和感を覚えない値で、特に6月はチーム全体の本塁打数が4本に留まり、積極的な若手起用が完全に裏目となりました。後半戦はやや持ち直したものの、不振が長引いた影響で打撃成績そのものの改善には至りませんでした。若手が多い打線にも関わらず、後半戦は56試合15盗塁と機動力も使えませんでした。数ある課題の中でも、リーグ最多を記録した三振数への見返りが無いのは大変厳しいところで、これが完成された打線なら「長打力(本塁打)」、「出塁率(四球)」のどちらかにプラス転換するものです。ところが、今シーズンの阪神打線は若手修行の舞台と化していたため、策らしい策も無くただ三振を重ねる印象だけが残りました。


これに対し、投手成績は素晴らしい数字が残っています。防御率とxFIPに乖離が見られるものの、どちらもリーグ2位以上と結果を残し、これ以外にもQS率61%は広島の62%に次いで2位、先発投手の平均イニング6.10はDeNAの6.22には及ばないもののやはり2位と、チームで最も頼れる部分でした。今シーズンは、3年目の岩貞祐太投手が台頭し、夏場は調子を崩したものの、9月以降は負け無しの5連勝。加えて、防御率は0.47と、月間MVPを獲得しています。4年目の藤浪晋太郎投手はスランプに喘ぎ、7勝11敗と大きく負け越しましたが、立ち上がりの悪さと球数の多さを克服すればリーグ屈指の好投手になれるポテンシャルに偽りはありません。救援失敗率は、守護神固定に後れを取り、貴重な外国人選手枠を費やしたことから、リーグ下位に沈んだのは致し方ありませんでした。


攻撃陣と同じくらいチームの課題とされているのは守備の面。連続フルイニング出場を続けていた鳥谷敬選手をスタメンから外したのは7/24の広島戦。以降は、北條史也選手が主に遊撃のポジションを守りました。明らかに精彩を欠いていた鳥谷選手を外したことで、ディフェンス力向上に期待も掛かりましたが、北條選手も打球処理などで苦労し、改善を果たしたとはいえませんでした。捕手では、育成登録から昇格した原口文仁選手が強打をアピールしレギュラーに近付きましたが、守りの方では盗塁阻止率23%と苦戦。捕逸は7つも記録してしまい、後半戦は1塁を兼任するようになりました。こちらも若手起用の代償といえますが、打撃はおろか守備力も完成されないまま1軍に上がって来た選手が多かったせいか、落球やファンブル、悪送球などのミスも目立ちました。


未完成な部分を抱えたまま戦ってきた阪神は、シーズン終了後も金本監督が育成方針を変えず来季も戦うと宣言しています。チームでも個人単位でも、来シーズン以降の成績は否応にでも比較され、既にサンプルもある状態です。もちろん、若手の育成以外にもチーム強化はオフのテーマで、来シーズンの戦いには期待半分、不安半分の気持ちでいるファンは多いことでしょう。






東京ヤクルト

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1年前にリーグを制覇したヤクルトでしたが、今シーズンは1度も首位に立つことなく5位でフィニッシュという残念な結果に終わりました。ただ、開幕前から打高投低の戦力状況に不安を抱えているのはある程度察しがついていたため、Bクラス転落も止むを得なかったところでしょうか。


計算違いが起きたのは、畠山和洋選手が腰痛などを抱え6/12以降は1軍出場無し。川端慎吾選手は、7/18に自打球を右足に当ててしまい1カ月半近くの欠場。雄平選手も、左脇腹痛などで後半戦の半数以上に出場することが出来ませんでした。一方で、昨シーズンのMVPに輝いた山田哲人選手は、7月終了時点で2年連続トリプルスリーをほぼ確定させ、バレンティン選手と共に打線を引っ張りましたが、死球による背中の痛みなどで終盤は失速。主力選手にこれだけ怪我がでれば、チームに勢いをつけることは困難でした。


それでもリーグ2位の得点力をキープしたのは、山田選手やバレンティン選手らの存在以外にも、夏場から後半戦にかけて西浦直亨選手や西田明央選手らが台頭。オリックスから移籍した坂口智隆選手も、年間を通じて3割近い打率を維持し、結果的に野手のデプスは厚みを増しました。積極的な起用策は守備面にも効果が表れ、西浦選手は3塁と遊撃でそれぞれプラスを出し、西田選手が先発マスクを被った試合はチーム防御率よりも優秀な結果が残っていたようです。


ところが、シーズン前から不安視されていた投手陣は予想以上に苦戦。リーグ最下位とはならなかったデータを探すのに苦労するくらい、あらゆる数値で課題を残しました。チーム防御率は、球場の不利を考慮したxFIPを持ってしても良い点を探すのが難しく、被本塁打、与死球、奪三振、一覧には載せていませんがフライ率の高さ(45.5%)、4シームの平均球速(138.4km)といったデータからも、投手の状態が厳しいのが分かります。球種の問題は、チーム全体でスライダーしか効果を発揮していなかった(wSL19.8)にも関わらず、この球種を多投出来なかった点(リーグ全体のスライダー投球率20.3%に対しヤクルト投手陣は19.7%)にも反省材料になるかもしれません。秋のキャンプから来シーズンの開幕まで、球速アップが投手陣の課題でもありますが、変化球の精度に磨きを掛け、配球で一層の工夫を凝らすことも現状を打開する要素になるのではないかと思います。


破壊力のある打線、堅実な守備、整備されたブルペンなど、チームには多くの強みがあるヤクルトだけに、先発陣を中心とした投手強化はチームの将来を左右するものになるでしょう。






中日

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8月上旬に谷繁元信監督が休養を命じられた中日は、1997年以来19年ぶりにリーグ最下位に転落。来シーズンは森繁和新監督の就任が決まりましたが、球団内部のゴタゴタが露出したせいもあり、チーム再建の士気が上がって来ない点は気になるところです。シーズン中の戦いは、選手の力不足以上に運用面で疑問を感じる場面が何度もあり、最下位は回避出来たのではないかという見方もあるようです。


攻撃面の数値は、阪神とリーグ最下位を競う形で停滞しましたが、本塁打の出難い本拠地ナゴヤドームで戦うことを考えれば、それほど大きな期待を掛けられるものではありません。平均3.50得点は昨シーズン(3.31)よりもアップしており、後半戦から福田永将選手、高橋周平選手、阿部寿樹選手らが率先して起用されました。こちらも阪神と同じように、期待を込めてと考えれば来シーズンの飛躍は多少なりとも計算出来るでしょう。しかし、主力の平田良介選手や大島洋平選手にFA流出の噂があり、来日1年目から活躍したビシエド選手の残留も確定していない模様。オフの補強次第では、今シーズン以上に戦力を欠く恐れもあります。


投手陣もかつての面影が感じられず、淋しい成績に終わりました。誤算だったのは、左右のエースと期待されていた大野雄大投手と若松駿太投手が成績を下げ、2リーグ制以降では球団初となる規定投球回及び2ケタ勝利投手ゼロの屈辱も味わっています。このチームは、落合博満GMの監督時代から投手陣のデプスに厚みを持たせ、比較的ゆとりのある陣容でペナントレースを勝ち抜いてきたのですが、近年は投手補強が上手く行かず、一部の投手に負担を強いる体制に変わって来ました。そのため、谷繁前監督は来日2年目のバルデス投手を中4日で起用するなど工夫を重ねましたが、戦力を絞り過ぎた戦い方では、人材が底を突くのも早く、長丁場のペナントレースに耐え切れなくなっています。


中日で今シーズン1軍登録されなかった投手は8人を数え、これはDeNAと並んでリーグ最多。しかし、引退試合を行った投手もカウントすれば10人となります。他球団では、来シーズン以降の戦いも考えテスト起用する光景もありましたが、中日に関しては1軍と2軍の色分けがハッキリし、翌年に備える起用もあまり見られませんでした。球団の育成方針はあるのでしょうが、若手に対する目が厳し過ぎるのではないかという懸念を感じることがあります。戦力的にはじゅうぶんな若返りを果たしつつあり、柔軟なチーム運用さえ行えば最下位に定着するようなチームでもありません。先ずは球団内部で、必要に応じた改革を進めるべきなのかもしれません。

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