• 1.02 Column



このシリーズではFA選手がどの球団に移籍すれば最も効果的な補強になるか、最適球団を探っていく。FA選手を獲得しても球団の戦力的なニーズに合っていなければ効果的な補強とはなりえない。すでに移籍が決定的な選手もいるが、彼らにとって最適な球団はどこだったのだろうか。今回は各論に入る前に各球団にどのようなニーズがあり、また実際に選手を獲得することが可能かペイロール(年俸予算)を確認していく。今回はセ・リーグ編だ。パ・リーグ編はこちら

各球団のニーズとペイロールを確認する


FA選手のポジション、ランクなどはパ・リーグ編を参考にしてほしい。今回の原稿では最適球団を探る前提としてセ・リーグ球団のニーズとペイロールを確認していく。いくらニーズと合っていても予算がなければ選手を獲得することはできず、いくら予算があってもニーズと合っていなければ上積みにはなりづらい。契約更改が終わっていないため、ペイロールにどれだけの空きがあるのか正確には分からないが、「今オフの残り予算を推測」した図では、手元にあるデータから予算状況を推測した。赤いグラフはすでに更改、新契約を終えた分、青いグラフは未更改選手分、白いグラフが空き予算を表している。未更改選手は1.02の個人成績から年俸を予測するProjectionを使い、どの程度年俸に変動があるかを推測した。


広島


FA及び主な退団選手:ブレイディン・ヘーゲンズ(7700万)、ライアン・ブレイシア(5500万)、梵英心(4000万)、江草仁貴(1600万)
ニーズ:強いて挙げるなら先発、救援

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唯一弱点となっていたのは三塁手の攻撃力だが、シーズン途中からは安部友裕と西川龍馬が定着し、一定の成績を残した。また西川は三塁手として出場した際に代打時ほどの好成績を残せなかったため三塁の成績が低くなっているが、これは単なる偏りだろう。来季以降大きな弱点になることはなさそうだ。強いてニーズを挙げるなら投手陣だろうか。今季は持ちこたえたがやや一軍レベルの層が薄い。投手陣が破綻することがないようリスクを小さくすることに集中すべきだ。


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昨オフは優勝直後にもかかわらず高額年俸の黒田博樹が引退となったことでペイロールに空きが出たが、今季は高額年俸選手の退団もないためペイロールの空きは昇給分で埋まりそうだ。25億程度を上限と見るならFA選手の獲得に動く可能性は低い。



阪神


FA及び主な退団選手:ルイス・メンドーサ(1億9000万)、安藤優也(8800万)、エリック・キャンベル(7000万)、狩野恵輔(2800万)、新井良太(2100万)
ニーズ:一塁、遊撃、左翼

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弱点となっているのは一塁、左翼だ。一塁は2016年にブレイクした原口文仁が調子を落とし、新人の大山悠輔を起用したが、現時点で一塁のレギュラーとしては力不足だ。左翼は高山俊にレギュラーの期待がかかるが、出塁能力、守備力に欠点があり大きな貢献を生み出せていない。福留孝介、糸井嘉男のほかにも俊介、中谷将大らが控えており選手層は飽和している。補強に踏み切るのは難しいかもしれない。また後半戦遊撃のレギュラーを務めた大和にもFAで退団の可能性がある。阪神は野手の守備面でのマイナスが非常に大きく、大和は複数ポジションでマイナスを抑えた貴重な選手だった。期待された北條史也も伸び悩んでおり、退団となれば遊撃も計算できる選手がいなくなってしまう。


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城島健司、金本知憲ら高額年俸選手を複数抱えていた時期と比べるとここ数年はペイロールが小さくなっている。2012年の38.2億円を上限と見た場合5.7億円の空き予算があるが、おそらくここ数年は30億円前後のペイロールで動いていると推測され、FA選手に投資する余裕はなさそうだ。仮に獲得に動いた場合ここ5年では最高の予算となるが、球団はそれを許容できるだろうか。



DeNA


FA及び主な退団選手:フィル・クライン(1億5000万)、久保康友(1億)、エリアン・エレラ(4500万)、林昌範(4100万)
ニーズ:二塁手、遊撃手


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投手陣は先発、救援ともにマイナスになっているが、本拠地が得点の入りやすい横浜スタジアムであることを補正すると及第点と言えそうだ。問題を抱えているのは二遊間。攻守ともに平均に至っておらず、さらに上位を狙うためには補強は必須だ。他のポジションに大きな弱点はなく、二遊間にリーグ平均レベルの選手を用意できればチーム力は大きく上昇しそうだ。


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2013年に記録した24.6億円の予算からすると、現在チームのペイロールはかなり圧迫されており補強の予算はない。しかしDeNAは営業面で成功を収めており、今オフもすでに複数のFA選手獲得に動いている。ここ数年で最高の予算を確保できたと見ても良さそうだ。



読売


FA及び主な退団選手:村田修一(2億2000万)、片岡治大(6000万)、相川亮二(4500万)、實松一成(3700万)
ニーズ:救援、一塁、左翼、右翼

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先発、遊撃は大きな強みになっているが、それ以外の多くのポジションでニーズがある状態だ。救援はスコット・マシソンの残留に成功したが層は薄い。他には阿部慎之助に衰えが見られる一塁と左翼、右翼も攻撃面で他球団に差をつけられるポジションとなっていた。また今季はケーシー・マギーが二塁、三塁の両方のレギュラーを務めたため数値は悪くないが、どちらかのポジションに専念するとなるともう一方のポジションは弱点になりそうだ。


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クルーズ、村田など高額年俸選手の退団があったためペイロールには空きができている。すでに野上亮磨の獲得が確実とされているが、それに加えて選手を獲得することも十分可能だろう。しかし今オフはチームが求めるFA野手が少なく、チームのニーズとは一致していない。FA選手の獲得に成功しても大幅な戦力アップは難しいだろう。



中日


FA及び主な退団選手:森野将彦(8400万)、エルビス・アラウホ(8000万)、ホルヘ・ロンドン(5000万)、ラウル・バルデス(4800万)
ニーズ:先発、救援、二塁

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投手陣は先発、救援ともに大きな弱点となっている。特に先発は得点の入りにくいナゴヤドームを本拠地としながら莫大なマイナスを計上している。今オフは規定投球回に到達したバルデスも退団し、さらに苦しい状況になるかもしれない。

先発のほかには二塁にもニーズがある。現状はベテランの荒木雅博がいまだに最も多く二塁を守っており、短期的にも長期的にも補強が必要なポジションとなっている。中堅と右翼はリーグ平均に比べ劣ってはいるが、今季は昨オフに長期契約を結んだ大島洋平、平田良介がともに負傷でフルシーズン出場することができなかった影響が大きい。今季は他球団にリードをつけられたものの、球団は2人を今後数年の中心選手と見ているはずでニーズがあるとは言えない。


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2012、2013年から比べると今オフは13.9億円もの空きが予想されるが、現在の中日は30億円を超える予算を用意することはできなさそうだ。仮に予算の上限を25億円とした場合、残り予算は5億円程度。外国人選手の獲得のほかにFA選手1名ならば獲得に動くことができるかもしれない。



ヤクルト


FA及び主な退団選手:ロス・オーレンドルフ(1億7600万)、今浪隆博(3000万)、飯原誉士(2700万)
ニーズ:先発、一塁、三塁、遊撃、中堅、右翼

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今季最下位となったチームには多くのニーズがある。投手陣は昨季に比べると改善されたが、まだ他球団に比べると弱い。一塁、三塁には畠山和洋、川端慎吾と2015年の優勝時に活躍した選手がいるが、今季はともに故障でほとんど出場機会がなかった。球団は複数年契約中である2人の復調を見込み、一塁、三塁の補強は他ポジションより優先順位を低くしているのではないだろうか。

最大の補強ポイントは攻守ともにリーグ平均から大きく引き離された遊撃だ。大引啓次にはすでに衰えが見え、若手選手も思うように育っていない。平均レベルの遊撃手を保有できれば大きな上積みになるだろう。中堅、右翼は故障のあった雄平の復帰で改善の見込みがあるため遊撃に比べれば問題は小さいが、外野のレギュラーはウラディミール・バレンティン、坂口智隆と全員がベテランの域に入っているため、中・長期的には手当てが必要だろう。


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チームの予算は30億円程度と見てよさそうだ。ここ2年チームは低迷しているにもかかわらずペイロールは膨らんでおり、今オフの残り予算も外国人選手の獲得で消えそうだ。FA選手の予算を捻出するのは難しく、身動きがとりやすくなるのは畠山、川端らの長期契約が切れ、ベテラン選手の年俸負担が軽くなってからになるだろう。



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