• 1.02 Column



五輪と高校野球で盛り上がる今月、プロ野球の動向も目が離せない状況になって来ました。セ、パ両リーグともに優勝マジックは点灯せず、2位以下の球団に力の差が出てきています。対戦カードの温度差があることは確かですが、その分ペナント争いに直接関わる試合も増えています。ここから先、一気に抜け出す球団が出て来なければ9月以降の対戦はかなり激しいものになるでしょう。



<セ、パ両リーグの順位おさらい>



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セ・リーグは、2位巨人の好調が続いており、後半戦で中々貯金を増やせない広島とのゲーム差は、前半戦終了時点の10.0ゲームから6.5ゲーム差まで縮まって来ました。8/5からの直接対決では惜しくも3連勝を逃しましたが、ビジターの試合が多かったこの2週間も順調に勝ち星を増やし、夏場に強い球団のイメージ通りの戦いが出来ています。一方、首位広島は苦しみながらも後半戦勝率5割のラインをなんとかキープし、最短で8/18に優勝マジックが点灯する可能性が出てきました。ただ、今週から来週にかけてはビジターの試合が多く、優勝に向けて一つの山場とも言えそうです。


この2球団を追いかけたいDeNAは、勝率5割のラインには何度か届くものの、そこから先の戦いで課題があります。今月に入ってから、7回までリードしながら逆転負けを喫した試合が3つを数えるのも貯金を作れない理由ですが、投手陣全体の調子は少しずつ落ちています。4位以下の3球団では、阪神が復調の兆しを見せており、8/12からの中日3連戦に全勝し、借金を1ケタに戻しています。高校野球の開催中は本拠地甲子園球場を空け渡す必要があるため、この時期は「死のロード」と呼ばれていますが、チームは今のところ7勝5敗と白星が先行しています。


ヤクルトと中日は今後も厳しい戦いが続きそうです。山田哲人選手を欠いているヤクルトは、代役選手の活躍により4カード連続で勝ち越し中ですが、戦力が低下していることに変わりは無く、この調子をどこまで続けられるかは疑問が残るところ。今週と来週にかけてはホーム、アウェイ全てのカードが屋外球場というのもやや不利な条件です。中日は、8/9に谷繁元信監督の休養を発表。現在は森繁和ヘッドコーチが監督代行を務めていますが、チームは目下5連敗中。今後は若手中心の起用に切り替えるようですが、チームのモチベーションが低下したままだと借金がさらに増えてしまう可能性もあります。


パ・リーグは、首位ソフトバンクが8/6から8/12にかけて5連敗。先週末のロッテ戦は、2点をリードした9回に拙守で追いつかれ、延長戦の末サヨナラ負けを喫するなど、チーム状況が怪しくなってきました。後半戦だけを見ると10勝13敗と勝率5割を切り、リーグ内でこれを下回るのは西武のみ。1ヶ月も不調が続いていますが、8/19からの日本ハム3連戦を前になんとか調子を戻したいところでしょう。その日本ハムも一頃の連勝の勢いが消え、この2週間は五分の成績。ソフトバンクに負けが込み始めた時点で追いつくチャンスもありましたが、ゲーム差を2.0にまで詰めるのが精一杯でした。


ロッテはチームを支えてきたブルペン陣が一気に欠けてしまい、優勝争いから脱落し掛けました。しかし、8/11の楽天戦で唐川侑己投手、8/21のソフトバンク戦で石川歩投手が完封勝利と、チームの危機を救う働きで首位とのゲーム差を7.0にまで縮めて来ました。楽天は、投手陣が立ち直る傾向が見られ4位に踏みとどまっていますが、打線の援護なしでは浮上も難しいでしょう。オリックスは8/9からのソフトバンク戦に3連勝し、意地を見せましたが、こちらも打線が課題。最下位に沈んでしまった西武は、8/5の楽天戦から菊池雄星投手が戦列に戻り、ここからの巻き返しが期待されます。




<各球団の戦力値>

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セ・リーグの戦力値比較は、広島の優位に変わりはありませんが、後半戦好調の巨人が平均得失点差でついにプラスに転換。前半戦終了時点ではマイナス56点だったので、チームの勢いは相当なものと見て良いでしょう。チーム打率はこの2週間で.249から.254へと上昇、救援防御率もリーグ平均を上回るようになったことが急激に回復した要因です。反対に、中日は平均得点、失点ともに悪化し、後半戦開始時点でリーグ2番目だったこの数字も一気に下がってしまいました。


救援失敗が目立ったDeNAですが、チーム全体の戦力値は前回とほぼ変わらず、阪神とヤクルトも得失点差に大きな変化は見られません。公式戦を100試合以上消化したこの時点での数字をチームの力量とみるなら、今後のペナントレースは得失点差に沿った戦いとなりますが、故障者が続出する球団や若手起用に切り替える球団が出てくるようだと、このバランスがさらに動くこともありそうです。




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パ・リーグは、日本ハムがソフトバンクの戦力値を上回る状況が続いており、この数字が優勝争いを面白くしそうな要因となっています。打線の不調に悩むソフトバンクは、この2週間で本塁打は2本しか出ず、チーム打率はリーグ平均値近くまで下がっています。先発陣は相変わらず好調で、長いイニングの負担にも耐えていますが、そろそろ打線が復調しないと投打のバランスにも悪い影響を与えてしまいそうです。


今後は、ロッテが再浮上してきたことにより三つ巴の展開も予想されます。今週から来週にかけ、この3球団は全て直接対決が組まれており、8/19からのソフトバンク-日本ハム戦の結果も気になるところですが、その間にロッテが貯金を増やすようだと、今度は8/23からロッテ-日本ハム3連戦、8/26からのソフトバンク-ロッテ3連戦も注目のカードとなります。従って、ここからの2週間でパ・リーグの優勝争いはソフトバンクか日本ハムが抜け出すか、それともさらに混戦模様が続くかの分かれ目となりそうです。




<ブルペンの稼働率について>

8月のプロ野球は猛暑に加え6連戦が続く日程により、選手のスタミナを消耗する時期でもあります。また、過密スケジュールによりブルペンに配置された投手の酷使も心配なところ。優勝争いをするしないに関わらず、ブルペンをシーズン最後まで機能させるには、登板過多に気をつけることが大事です。しかし、試合展開や選手層次第では、それがままならないチームも出てきます。先週末の時点で、各球団の救援投手たちがどんな起用をされているか、プルペン稼働率の点から見ていきましょう。




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一覧はシーズン30試合以上に登板、先発経験のある投手はブルペン待機日数を想定した上で、登板数を1軍登録された試合数から算出したものです。シーズン全てにベンチ入りすると仮定し、年間60試合に登板する投手は42%の割合でマウンドに登る計算になります。


現時点で年間最多登板数を記録するのは、セ・リーグは秋吉亮投手とルーキ投手(ともにヤクルト)の58試合。年間では74登板ペースと、かなり負担が掛かっているようです。パ・リーグは益田直也投手(ロッテ)の51試合で、こちらは年間68登板ペース。ただ、消化試合数の関係で福山博之投手(楽天)も同じく68試合ペースで、年間60試合を超える予想が立てられているのは両リーグを通じて18人です。


ただ、稼働率という点から見ると、福谷浩司投手と又吉克樹投手(ともに中日)が56%で全体のトップに。どちらも不調で1軍登録を外されましたが、年間全ての試合にベンチ入りしていれば80試合に登板する可能性もありました。又吉投手は先日1軍復帰を果たし、福谷投手は現在もファームで調整中。稼働率が50%を超えるから、必ずしも故障するわけではありませんが、年間を通じ安定した働きを求めるのなら、登板機会をもう少し配慮が必要だったかもしれません。一時はチームの守護神として信頼を得たドリス投手(阪神)も、一時は稼働率が60%近くにもなり、現在はファームでリハビリを行っています。


ソフトバンクの工藤公康監督は以前、救援投手の登板数を60試合以内に抑えたいと語っていたことがあります。サファテ(稼働率47%で、67登板ペース)以外は、60登板を超える起用見込みの投手はいません。しかし、これも強固な先発陣を抱えているからこその話で、他球団の事情を見る限りブルペンの中心投手は60試合以上投げる覚悟が必要です。


先発投手とは違い、救援投手の登板機会はチームの戦いに影響を受けます。クローザーやセットアッパーは、チームがリードしていれば惜しみなくマウンドに向かい、役目を果たすのが当然と見られますが、同じ展開が5試合も6試合も続けば連投が続くことになります。勝ちパターンの終盤に出て来る投手は毎回必ず決まっているという心理的感覚から抜け出さないと、ブルペンの負担を軽減することは難しいでしょう。


8/12に行われたヤクルト-巨人戦で、1点をリードした巨人は7回から高木勇人投手をマウンドに送り出しました。ところが、高木投手は西田明央選手にタイムリーを浴び同点に追いつかれると、続投した8回にも西浦直亨選手に本塁打を許しチームは逆転負け。本来なら、8回からセットアッパーのマシソン投手が出て来るところでしたが、高橋由伸監督は登板過多の傾向があったマシソン投手を休養させ、勝ちパターンの継投策にバリエーションを持たせようとしていました。


この継投策は裏目に出てしまい、高橋監督の起用法に批判もありましたが、こうした起用法はシーズンのどこかで試さないと故障のリスクを増すだけでなく、チームの戦力に厚みを持たせることも出来なくなります。先発投手もローテーションを組み、一部の投手に負荷をかけるのを避けるようになった今の時代、救援投手のコンディションも見直す時期が来ています。

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