国内リーグ選手が中心 メジャーリーガー2名擁するブルペンが強み
第4回WBCの火蓋が切って落とされた。打ち合いとなったキューバとの初戦を制した日本代表は、本日8日19時からオーストラリアと、10日19時から中国と対戦する。勝てば一次リーグ突破に大きく前進する今晩の試合に向けて、オーストラリア代表がどんなチームなのかを整理しておきたい。
代表メンバーの中心となるのはオーストラリアのプロリーグであるAustralian Baseball League(ABL)に所属する選手たちだ。このABLには毎年、各NPB球団、独立リーグや社会人チームから派遣された若手日本人選手が武者修行に出るなど、日本とも浅からぬつながりがある。実は筆者も、ABLのチームのひとつであるSydney Blue Sox(シドニー・ブルーソックス )のアドバンスド・スカウト、日本でいうところのスコアラーとしてリーグに関わっている。その経験も踏まえてオーストラリアの野球、そして代表チームを紹介しよう。
まず、オーストラリア全般のプレースタイルだが、外国人選手に対して多くの日本人が思い描くかもしれない、パワーと剛速球で圧倒する野球ではない。今回の代表に名を連ねているメジャー投手、ウォーイック・ソーポルドなどは、ストレートの平均球速が150キロとスピードを備えているが、他の投手は140キロ台前半から中盤がほとんどで、ABLを見渡しても多くの投手は投球術とコントロールを生命線とすることが多い。
昨年ロイヤルズで50試合に登板したピーター・モイランらを擁するブルペンは、今回のオーストラリア代表の最大の強みだろう。2015年までアスレチックス傘下のマイナーに在籍し、 ABLでは26.1イニングで29奪三振、6四球、防御率1.37と抜群の成績を残したティム・アサートンも侮れない。
先発陣も、ブルペンに比べれば見劣りするものの、元マリナーズのライアン・ローランドスミスに元楽天のトラビス・ブラックリーとまずまずの布陣。先に述べた右腕のソーポルドもいるものの、彼は先発するより中盤の数イニングを投げる第二先発的な役割のほうがよりフィットするのではないか、というのが個人的な見解だ。予備登録投手としてだが、2006年に阪神に在籍したナックルボーラー、クリス・オクスプリングもロースターに名を連ねている。
実績は少ないものの一発がある打線にも要警戒
野手の中心となるのは2015年にヤクルトでプレーしたミッチ・デニング(外野手)やメジャー経験のあるルーク・ヒューズ(内野手)とトレント・オルチェン(外野手)、そしていずれもマイナーでのプレー経験のあるミッチ・ニルソン(捕手)、ティム・ケネリー(外野手)といったところだろう。基本的には単打、二塁打を繋いで得点につなげるという攻撃スタイルが予想されるが、このあたりの打者はスタンドに放り込むパワーを備えており、日本代表も油断すると手痛い一発を浴びる可能性がある。
ニルソンは捕手として登録されているが、今季はABLで主に二塁手と指名打者として出場しており、ベテランのアラン・デサンミゲルかロッキーズ傘下のマイナーに所属する22歳のロビー・パーキンスが捕手を務めることになりそうだ。
他には堅守を誇る遊撃手のローガン・ウェイド、2016年にメジャーデビューを果たしたジェームス・ベアレスファードにも注目したい。
ネームバリュー、実力ともに日本と比べると見劣りするオーストラリア。ただ決して安全パイではなく、場合によっては2004年のアテネオリンピック準決勝のように、手痛い敗戦を喫する可能性もある。日本としては、メジャーリーガーが控えるブルペンに継投される前に、いかに先発を打ち崩せるかがカギとなるだろう。