• 1.02 Column



30日に開幕した交流戦は今季もパ・リーグが有利な状況が続いている。セ・リーグでは読売が大型連敗。パ・リーグでは則本昂大(楽天)が連続試合2ケタ奪三振新記録を樹立するなど、チーム、個人ともに話題の多い2週間だった。前回は こちらから。(データはすべて6月5日時点)

セ・パ両リーグの順位おさらい


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5月30日から交流戦が始まり、ここまで13勝22敗1分と今季も苦戦しているセ・リーグですが、上位2球団と下位4球団の間で混戦模様が生じています。広島は28日に阪神を抜いて首位に立ち、交流戦でも4勝2敗と好スタートを切りました。先発の柱でもある野村祐輔が一時チームを離脱したものの、中継ぎから転向の薮田和樹が好投。6月3日には育成枠としてプレーしていたサビエル・バティスタが支配下登録。即一軍に昇格して2試合連続代打本塁打と、さらなる攻撃力の上積みに成功しています。

阪神は首位から陥落したものの、交流戦ではロッテと日本ハムそれぞれに勝ち越し、貯金を2ケタの大台に戻しています。30日のロッテ戦で藤川球児が史上最速ペースで通算1000奪三振を達成。3日の日本ハム戦では、13年目の岡崎太一がプロ初本塁打を放って逆転勝利。翌日の試合でも岡崎は延長11回にこれまたプロ初のサヨナラ安打を決め、一軍定着のきっかけをつくった金本知憲監督を喜ばせました。

30日に3位へと浮上したDeNAは、その後4連敗を喫しましたが何とかAクラスはキープ。期間中は筒香嘉智が33打席連続無安打の大スランプに陥りましたが、5番を打つ宮崎敏郎と6番を任された戸柱恭孝らが勝負強い打撃を見せました。まずまずの戦いぶりを見せながら、連勝は最高でも3連勝どまり。一気に上位に肉薄していくことを願うファンは、歯がゆく感じているかもしれませんが、一方で4連敗以上を記録したのも先週が初めてと、Bクラスの常連だった頃とは比較にならないほど安定した戦いをしており、チームの成長を評価すべき戦況といえるかもしれません。

読売は25日の阪神戦に1-6で敗れた後、広島、楽天、オリックスとの3連戦全てスイープされてしまい、球団ワースト記録に迫る10連敗を喫しています。事態を重く見た首脳陣は、13セーブを挙げていたアルキメデス・カミネロの登録を抹消し、ファームで8本塁打と長打力を発揮していたルイス・クルーズと入れ替える思い切った手を打ちました。得点力不足を解消しようという狙いは明らかでしたが、期待されたクルーズは12打数無安打、カミネロ不在中にクローザーを任されたスコット・マシソンは、2日のオリックス戦で3点差を追いつかれてしまい、この決断は今のところ裏目に出ています。連敗脱出はもちろん大事ですが、目先の1勝を追いかけてしまった感は否めません。陽岱鋼の復帰まで我慢する選択をしてもよかったのではないでしょうか。

中日は27日に最下位を脱出。その後再び最下位に転落しましたが、ソフトバンクと楽天を相手にした交流戦を3勝3敗の五分で乗り切り、現在は5位につけています。賛否両論が分かれる森繁和監督の投手起用は、鈴木翔太が2試合連続クオリティ・スタート(先発6イニング以上、3自責点以内)の好投、2日の楽天戦で小笠原慎之介が今季初勝利と、先発のコマを着実に増やしてきました。打線では、ゲレーロがNPB歴代2位タイとなる6試合連続本塁打をマーク。年間では44本ペースで、球団が期待した通りの長打力を発揮してきました。今後の課題としては、先発陣のさらなる安定のため中6日で運用できるスタッフの固定が重要です。

リーグ最下位に転落してしまったヤクルトは、投手陣に故障者が続出。左内腹斜筋肉離れにより一軍登録を抹消された小川泰弘のほか、山中浩史も下半身の張りで戦列を離脱。ブルペン陣もほころびが出始め、4日には投手3名と攻撃力改善のためディーン・グリーンを初昇格させました。その甲斐あってか、同日の西武戦は6回まで2-8と大量リードされたものの、グリーンの連続タイムリーなどで同点に持ち込み、交流戦での連敗をストップ。それでも今週は全て苦手なビジターのゲームと、厳しい戦いは続きそうです。


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交流戦に入っても好調な楽天は31日の読売戦に6-0で勝ち、貯金20に到達。その後の中日3連戦には負け越したものの、2位ソフトバンクとは3.5ゲーム差でまだまだ優位を保っています。打線では、完全復調したゼラス・ウィーラーが、30日の読売戦で2本塁打6打点と大暴れ。外国人野手トリオで取り残され気味だったジャフェット・アマダーも、1日の読売戦で同点2ランを放ちました。首脳陣からすると今月こそ復調してほしいところでしょう。エースの則本昂大は、7試合連続2ケタ奪三振のプロ野球新記録を達成。ストレートの平均球速だけをとっても、昨季の146.1km/hから148.6km/hとアップしており、オフの間に取り組んだ筋力トレーニングの成果が出ているようです。

ソフトバンクは、またしても主力選手が故障でチームを離脱。2日のDeNA戦で内川聖一がスイング中に首を痛め、翌日には一軍登録を抹消。4番の穴はアルフレド・デスパイネが埋めています。投手陣は依然として苦しいやりくりを続けていますが、31日の中日戦に先発として起用された石川柊太、3日のDeNA戦で松本裕樹がそれぞれプロ初勝利をマーク。家族の事情で帰国していたデニス・サファテも無事復帰を果たし、チームはこの間守護神不在の影響を受けず、順調に貯金を増やしたことは大きなプラスでした。

西武は先発陣の再整備に懸命です。開幕からローテーションはほぼ5人で足りる日程を過ごしてきましたが、6連戦形式の交流戦ではどこまで質を落とさずに戦えるかが重要なポイントです。今やエースと呼んで差し支えない菊池雄星、4日のヤクルト戦で戦列に復帰したブライアン・ウルフは安心できるとして、これに続く投手が何人でてくるか。野手の方では、右シンスプリント(脛骨=けいこつ=過労性骨膜炎)による右すねの痛みから金子侑司が復帰。ファームの調整では8試合で7盗塁、一軍合流後もすでに3盗塁と足の具合も心配ないでしょう。これにより秋山翔吾が3番に入る形となりましたが、先月後半から本塁打を量産。新しい攻撃スタイルができあがろうとしています。

5月は負けが込んでしまったオリックスでしたが、交流戦に入ってから6連勝、通算でも現在7連勝中と勝率5割復帰も目前に迫って来ました。連勝の立役者は、平野佳寿と黒木優太を中心としたブルペン陣、30日から復帰したステフェン・ロメロの働きも大きいのですが、今季から一軍に定着した武田健吾の守備力も忘れてはいけません。ライトの守備は両リーグトップのUZR(Ultimate Zone Rating)2.8を記録中。4日の読売戦では、8回坂本勇人が放ったヒット性の打球を好捕。打球に追いつくため、あえて打球の正面に入らずキャッチしたこのプレーは、これぞプロといえるような素晴らしい美技でした。

一時的に4位に浮上したものの、再び5位に戻り4位のオリックスとの差が再び開いてしまった日本ハムは投打の柱が不安定。27日のソフトバンク戦で3回8失点と炎上した有原航平はファームに降格。打線は、中田翔とブランドン・レアードの中軸に波があり、50試合を超えても打率4割をキープする近藤健介の出塁能力を生かし切れていません。2日の阪神戦から中島卓也が一軍に復帰。攻守両面で活躍を期待したいところですが、復帰からの13打席でいまだ安打はなく、打撃の調子が上向くにはもう少し時間を要しそうな雰囲気もないとはいえません。

絶望的な状況から抜け出したロッテは、1番の大嶺翔太と3番で清田育宏が定着。27日のオリックス戦で1失点完投勝利を演じた二木康太、1日の阪神戦で今季2勝目を挙げた唐川侑己と、投手陣にも計算できるスタッフが出てきました。一方で、ジミー・パラデスとマット・ダフィーの外国人コンビは相変わらず低空飛行。角中勝也、石川歩といった主力クラスも、一軍復帰後はなかなか結果が出ず苦しんでいます。短期間で借金を一気に返すことは難しく、勝てそうな試合を確実に拾っていくことが最も現実的ですが、それにはローテーションの変更といった細かな工夫も必要かもしれません。


一・二軍デプスチャート(6月5日時点)



画像にマウスをのせる(スマートフォンの場合タップする)と一・二軍が切り替わります。

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日本ハムは一軍の先発陣確保が急務とされていますが、31日のDeNA戦で今季初勝利を挙げた斎藤佑樹と、ファームで防御率1.62の好成績を残しプロ初昇格を果たした玉井大翔以外はなかなか結果を出せずにいます。チームは4日の阪神戦に先発した村田透をそのまま一軍に残し、今週予定されている6試合の中で玉井を先発として起用するプランも考えられます。野手は一軍、ファームともに固定化する傾向にあり、故障者が出ない限り大胆な入れ替えはなさそうです。ソフトバンクは、右肩痛に悩んでいた武田翔太が3日に行われたファーム交流戦で約1カ月半振りの実戦登板。3回43球とまだ球数を抑えた状況であるため、一軍復帰は早くても来週以降になるでしょう。また、内川聖一不在の穴埋めとして6日にカイル・ジェンセンが昇格しています。


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ロッテは、ファームで調整中のジェイソン・スタンリッジが2試合に先発して防御率2.08と結果を残していますが、今のところ一軍のローテーションを空けることはしていません。可能性があるとするなら中6日で水曜日に登録するのがベストですが、判断は難しいところです。西武のファームでは、新人の鈴木将平が5月に打率.349の好成績を残し、高校時代から評価されていた打撃センスを早くも披露。3年目の山田遥輝、2年目の呉念庭も月間3割を記録し、野手の育成が順調に進んでいます。また、足の故障で実戦から遠ざかっていた2年目の愛斗が、2日のイースタンDeNA戦からスタメンに復帰。今季はファーム開幕から故障離脱まで打率4割をキープし、期待を集めていました。今週からは守備にもつき、打撃状態は故障前と変わらず思い切りの良いスイングを見せています。


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一軍と同様に快進撃を続けていた楽天のファームは、ここ10試合で4勝5敗1分とやや足踏み。西田哲朗や枡田慎太郎ら一軍経験メンバーの調子が下降線を辿り、得点力不足が勝敗に影響を与えていました。今シーズンは一軍の壁が厚いだけに、昇格の芽がなかなかでてこないのは厳しいところですが、力のある選手がいつでも待機していることがチームの強みにもなります。球団としてはモチベーションを維持してほしいと考えているでしょう。オリックスは、今週予定される6試合全てが主催ゲームとなるため、復帰後DH及び代打で活躍したロメロの打撃に期待が集まります。対戦相手の阪神、中日はいずれも投手陣が好調ですが、チームの得点力改善に欠かせない主砲が結果を出せば、その後のシーズンはかなり戦いやすくなるでしょう。


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広島は、バティスタの支配下登録後即一軍昇格、ラミロ・ペーニャ、堂林翔太のファーム降格と大きな動きがありました。代打中心の起用で打率.281と結果を残していた堂林の抹消は、ペーニャ降格に伴い三塁を守ることができる右打者が必要になったためだと思われます。代打のほかには外野、一塁での起用となっている堂林は打撃で活躍しているとはいえ需要に合わなかったのでしょう。他球団から見れば、選手層の厚さは羨ましい限りでしょうが、選手から見れば過酷な競争に違いなく、4日のロッテ戦終了後に緒方孝市監督が語っていた「ここは実力主義」との言葉が胸に刺さります。大苦戦中の読売は、ファームで調整を続けていた陽岱鋼が6日に一軍昇格。カミネロに代わり一足先に昇格したクルーズと共に得点力改善への期待がかかります。


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DeNAは5日時点で一軍出場枠に空きが1つあり、今週予定されるビジター6試合で筒香を指名打者に置くなら、外野手を1人補充することになりそうです。また、ファームで調整中の石田健大が4日のイースタン西武戦で7回2失点と好投。一軍の先発枠は現在1つ空いており、早ければ11日予定の西武戦での復帰が期待されます。阪神は、5日に伊藤和雄が一軍登録から外れ、ブルペンを1人補充する見込み。ファームでは、再調整を命じられた藤浪晋太郎が3日のウエスタン・リーグ中日戦に先発。この日は5回67球を投げ1失点とまずまずの出来でしたが、投球フォームの再構築が課題とされていることと、現在一軍の先発陣が安定している関係上、すぐに一軍復帰とはならないでしょう。


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ヤクルトは小川、山中の先発陣のほか、29日に一軍登録を外れた今浪隆博もファームで出場しておらず、一・二軍ともに運用が厳しい状況です。一方で、2年目の廣岡大志がイースタン・リーグトップとなる9本塁打、育成枠で入団した新人の大村孟が捕手から内野手までこなし、打撃でも現在打率.308と大きくアピール。一軍では三塁が攻撃面での弱点となっているため、今季中の支配下登録への昇格も期待できそうです。中日も、新人の笠原祥太郎と丸山泰資がファームのローテーションに定着。特に、5月から先発に転向した笠原は3試合で防御率2.25と結果も残しており、一軍のメンバーが不調ならいつでも取って代わりそうな存在になってきました。投手育成には定評のある球団だけに、今季中の一軍昇格も決して夢ではないでしょう。


2週間の個人成績ランキング



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6試合連続本塁打で話題になったゲレーロ(中日)は、Offence(打撃、走塁を併せた攻撃評価:wRAA(weighted Runs Above Average)+BsR)こそセ・リーグトップでしたが、WAR(Wins Above Replacement)では鈴木誠也(広島)に一歩譲る形に。出塁率、長打率では村田修一(読売)が今季初のランクイン。こちらも3試合連続本塁打を放つなど、久々のスタメン出場で強打をアピールしましたが、チームの連敗は食い止められず空砲に終わったのはなんとも不運でした。Defense(UZR+守備位置補正)では柴田竜拓(DeNA)も初登場。主に守備固めとして二塁と三塁を守り、期間中の守備イニングは31イニングしかありませんでしたが、送球は肩が強いうえに正確で、守備範囲の広さも発揮しています。


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パ・リーグのWARトップに立った柳田悠岐(ソフトバンク)は、5月後半から本塁打を量産。3日のDeNA戦では、今季初の1試合2本塁打を放ち、内川欠場の穴を埋めました。出塁率トップの安達了一(オリックス)は、読売との3連戦で7安打と大活躍。2日の試合は延長戦での死闘となりましたが、11回に決勝打となる今季1号を放ち、開幕からのスランプを脱したかに見えます。Defenseトップの大田泰示(日本ハム)は、31日のDeNA戦で左翼から好返球を見せ、斎藤佑樹の今季初勝利をアシスト。駿太(オリックス)も、28日のロッテ戦9回、一打同点のピンチで、中堅からのダイレクト送球によりチームを救い、連敗脱出に大きく貢献しました。


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セ・リーグの先発投手で期間中2勝以上を挙げたのは鈴木(中日)のみ。30日の楽天戦で5回8失点と炎上した菅野智之(読売)が初めててランキングから消えました。FIPトップの柳裕也(中日)は、3度のリリーフ登板を経て3日の楽天戦でプロ初先発。この試合は6回4失点で敗戦投手となりましたが、ここまで12イニングで12奪三振、被本塁打なしという成績は十分合格点を与えられます。ただ現在はビジターでの登板が1試合しかないため、真価を見極めるにはもう少し時間をかけたいところです。10連敗中の読売はブルペン運用も厳しく、田原誠次が31日から5試合連続、森福允彦も1日から4試合連続登板とコンディション面での不安が広がっています。負担を軽減するには、ブルペンを8人体制にすることが望ましいのですが、攻撃陣も不調なため控え野手を簡単には減らせない状況。やりくりは難しく、高橋由伸監督は頭を悩ませていることでしょう。


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連続2ケタ奪三振の日本記録をつくった則本(楽天)が上位をほぼ独占。年間での奪三振ペースは268にもなり、実現すれば平成以降(1989年~)では野茂英雄(1990、1991、1993)、ダルビッシュ有(2011)に次ぐ5番目の記録です。WAR2位の山岡泰輔(オリックス)は、28日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げた後、4日の読売戦でも8回1失点で2勝目。デビュー戦から打線の援護が乏しく4連敗を喫していましたが、ここ2試合でのピッチングは球数も少なく、四球で走者を溜めない投球ができています。ファンとしてはさらなる成長を期待したいところでしょう。



高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。
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