• 1.02 Column


三塁手の守備成績の概況


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2017年度のNPBにおける三塁守備においては、2016年度にUZR(Ultimate Zone Rating)で10点以上のプラスを記録した選手がいなかったのに対して、宮崎敏郎(横浜DeNA)が11.5点を記録したほか、マイナス10点以下の選手も1人から2人に増えた。前年と比べ、上位と下位の差が広がったようにも見える。ただこれは、三塁守備自体の力量差が大きくなったというよりは、世代交代やケガの回復、新外国人選手の定着などにより、1年を通じて三塁守備に就けた選手が増えた結果、分散も大きくなったと見ることができる。

実際、2016年度は本アワードの評価対象となる三塁での守備イニング500を超える選手が7人しかいなかったのに対し、2017年度は12人に増えている。首位打者を獲得し、DeNAの日本シリーズ進出に貢献した宮崎をはじめ、安部友裕(広島東洋)や藤井亮太(東京ヤクルト)、中村奨吾(千葉ロッテ)といった20代後半の選手がレギュラーに定着しだしており、三塁手は球界全体で世代交代の趣を見せている状況である。そのレギュラーに定着しだした20代選手がUZRによる評価のベスト3を占めているというのを見ると、最近はベテランで高い守備指標を示す選手も時々現れているにしろ、やはり守備に必要な身体能力のピークは、打者に必要な能力のピークよりもだいぶ若いときに来るように思える。

UZRにおけるトップは宮崎であり、11.5点を数えた。先ほども述べたが2016年度は10点を超える選手がいなかった。それを考えれば優秀な値である。守備範囲評価(RngR)は5.9点と安部に次ぐ2位であるが、失策評価(ErrR)とダブルプレー評価(DPR)は、2位に大きな差をつけての1位であり、派手さよりは堅実な打球・送球処理でコツコツと評価を上げていったことがうかがわれる。2位の安部友裕は対照的に、守備範囲指標で10.0点と他選手を圧倒する値を残しているものの、失策評価、ダブルプレー評価が平凡でUZRは宮崎に先んじられてしまった。とはいえ、イニングあたりのUZRでは宮崎を上回る。

逆に、下位の選手を見ると、30歳を大きく過ぎたベテランと外国人が占めている。特に小谷野栄一(オリックス)は-17.1点という大きなマイナスを記録してしまった。下から2番目の鳥谷敬(阪神)と合わせ、守備範囲指標でのマイナスが大きな要因である。鳥谷は全盛期、遊撃手としてリーグトップクラスの守備評価を得ていたが、この2~3年は明らかに評価を落とし、それも一因となってか今年度から三塁にコンバートされたが、それでもデータ的には厳しい結果となった。


ゾーン別の処理状況


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これら、特徴的であった選手のデータをゾーン別に眺めてみたい。鳥谷は〈D〉〈E〉の正面の打球に対してはむしろ強いという値が出ている。一方で、打球が左右にぶれると処理率が急に低くなる様子が見て取れる。身体の右側の三塁線の打球、左側の三遊間の打球、いずれも正面の打球に比べ大きく値が落ちているのが目につく。

実はこの傾向は2016年度の本アワード三塁手部門において村田修一に見られた傾向であり、2017年の村田の守備指標にも同じ傾向を見て取ることができる。

さらに、2016年度は三遊間に明らかな強みを持っていた松田宣浩(福岡ソフトバンク)の指標が、2017年度は全体平均レベルになってしまっている。全体評価は依然としてリーグ平均以上の選手であり、守備がチームに利得をもたらしている状況は続いているのだが、その利得がやや小さくなっているということである。このように、何年もデータを取り続けていくことによって、今後年齢と守備力の相関について、もっと詳細な様相がよく分かるようになることが期待される。また、鳥谷と同様に評価が低くなってしまった小谷野については、ほとんどのゾーンで処理率が平均以下となってしまっている。

また、優秀な指標を出した宮崎と安部を比べると、それぞれのプレースタイルの特徴が見やすくなる。いずれも定位置付近の打球についてはリーグ平均より優秀な処理率を記録している。その上で宮崎はゾーンCやGといった一般的な三塁手の守備範囲ぎりぎりの打球については処理率がリーグ平均レベルである一方で、前述したように失策評価やダブルプレー評価が高く、定位置近辺の打球を確実に処理し続けることにより指標を向上させていくというプレースタイルであったことがうかがわれる。

安部は定位置近辺の処理率についても宮﨑敏郎を上回っている一方、定位置から離れた打球、特に三遊間の打球処理について対象の三塁手の中でトップレベルの評価を得ている。広島の二遊間事情からいえば来年以降も三塁を守る機会は多いことが予想され、今後の指標にさらに着目すべき選手であろう。


8人のアナリストによる採点と選出


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morithy氏を含めた8人のアナリストが、それぞれの手法で500イニング以上を守った三塁手12人を評価した結果、1008イニングでUZR11.5を記録したDeNA・宮崎選手が1位票を7票、754.1イニングで同9.7を記録した広島・安部選手が1票獲得しました。“1.02 FIELDING AWARDS 2017”の三塁手部門には、宮崎敏郎選手(横浜DeNA)を選出します。


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