オフに大補強 今年も優勝候補筆頭とされているが…



巨人は昨季優勝を逃し、オフには「大補強」と称されるほどの補強を行った。FAやトレードで積極的な補強を敢行し、選手層の厚みが増したともいわれる。優勝候補筆頭との評価も少なくない。だが、思い返してみれば2015年、2016年の開幕前も同じように優勝候補筆頭といわれながら、結局は優勝を逃すことになった。


なぜなのだろう。思うに、優勝予想をする解説者や記者が前提としていた認識と実態との間にずれがあったのではないだろうか。そこで、2015年から遡って分析し、巨人の敗因を探ることが必要だと考えた。これによって、巨人の抱える問題の一端も明らかになるだろう。


2015年の状況



1、両チームの勝率と得失点差

まずは2015年シーズン終了時点での巨人と広島の戦力の状況を確認する。


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2015年シーズンの巨人は首位ヤクルトに次ぐ2位、広島は4位であり、その差は5ゲームあった。勝率で見ると巨人が広島よりわずかに高い数字となっていた。


シーズンの得失点で見ても巨人はリーグ2位で広島をわずかに上回る得失点差となっている。このように結果として表れている勝率や得失点差からは、2015年シーズンの成績はそれほどの差はないものの、巨人がやや上回っていたといえる。



2、総合指標から見た両チームの戦力

しかし、結果としてチームが得点を重ね失点を防げていたか、勝利を積み上げることができていたかという視点から離れて、総合指標から戦力を見ていくと異なる様子が浮かび上がってくる。


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WAR(Wins Above Replacement)とは選手の貢献をリプレイスメントレベル(容易に代替可能な選手のレベル)の選手と比較して当該選手がどれだけチームの勝利を増やしたかに換算して評価する指標である。これによると巨人は野手の合計WARで18.0(リーグ3位)、投手の合計WARで24.2(リーグ2位)、合計で42.2(リーグ3位)であったが、広島は野手の合計WARで18.4(リーグ2位)、投手の合計WARで27.3(リーグ1位)、合計で45.7(リーグ1位)であった。その差はわずか3勝分程度であるが、2015年シーズン終了時の時点で、広島はヤクルト、巨人を抑えてリーグトップの戦力を有していたといえる。その戦力が実際の勝率には十分に反映されなかったとはいえ、この時点で2016年の優勝に最も近かったのは広島であった。


巨人にしてみれば、この差は現実の2015年のペナントレースがそうであったように、逆転が不可能な差ではなかった。しかし、編成次第ではこの差が広がる可能性もまた存在しており、現実的な目標として優勝をあげるのなら、改善が必要なことも事実であった。



3、ポジション別に見た課題

続いて、2015年巨人の課題をポジション別に確認していく。


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数値はセ・リーグの同一ポジションの平均的な選手に比べて、攻守それぞれで上積みすることができた得点である。例えば投手の守備12.5はセ・リーグの平均的な投手力をもつ球団に比べ12.5点多く失点を減らした、と見ることができる。


坂本勇人の遊撃で攻守両面にわたって大きなプラスを稼げているものの、攻守合計で10点以上のマイナスを計上している一塁、三塁、右翼が改善ポイントであった。一塁は阿部慎之助、レスリー・アンダーソン(退団)を中心に起用していたが、いずれも調子が上がらず、一塁に求められる打力の水準にはいたらなかった。また、三塁で最も打席に立った村田修一は攻守ともに精彩を欠き、全ポジションで最大のマイナスとなってしまった。これらのポジションは補強や抜擢をせず、レギュラー選手の復調がなければ、遊撃手で稼いだプラスを使い果たすことになっていた。


また、プラスにはなっていたものの、ベテランの相川亮二、状況次第で一塁手での起用が中心になりうる阿部の貢献でプラスとなっていた捕手の打撃も翌年以降の見通しは不透明であり、10点以上のプラスを期待できない可能性が強かった。


主に片岡治大が打席に立った、二塁では攻撃で大きなマイナスとなっているものの、これは山田哲人(ヤクルト)が飛び抜けた打撃成績を残したことによるもので、必ずしも打力の不足を表すものではない。しかし、守備でのプラスをほとんど消してしまっていた。また、これまでのキャリアから1シーズンを通して片岡が試合に出場し続けることも困難と考えられたため、バックアップ要員の必要性も認められた。


外野では長野久義、亀井善行、立岡宗一郎が主に起用されていたが、全体としてはマイナス。中堅手こそ立岡の定着もあって、プラスを稼げているが、両翼の打力の不足は大きな問題であった。


そもそも、一塁、三塁、左翼、右翼といった強打者が集まるポジションで、同一ポジションのリーグ平均に満たない打力しかないという問題は、2015年シーズンよりも得点力が大きく優れていたそれ以前のシーズンからも継続していたことであり、この時に始まったことではない。こうした問題にもかかわらず、チームの打撃力が全体として問題のある水準まで落ち込まなかったのは、捕手・阿部、遊撃・坂本、中堅・長野といった打撃力の高い選手をセンターラインに抱えていたからであった。それらのポジションの打撃力で大きなプラスを稼げなくなったことによって、数年来の問題が打撃力不足に繋がったものである。


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選手別に見ていくと、攻守両面でプラスを稼いだ坂本が群を抜いている。続く片岡や阿部でもWARは2.0台と坂本に対する依存度がかなり高い。かつて圧倒的な力を持っていた阿部も単なる優秀な選手の一人になっていた。中堅手の立岡、捕手の小林誠司が、打力は心許ないもののそれぞれの守備位置で及第といえる成績を残したことのほかは、見通しが明るくなる要素がなかった。


ただし、戦力の流出という点から見ると、ここに名前がある選手で退団した選手は井端弘和と高橋由伸のみで、大きな戦力の流出はなく、井端に至ってはリプレイスメントレベルの選手で十分に事足りるといえた。もちろん、300以上の打席に立った選手は坂本と立岡を除いて30歳を超えており、翌年以降の戦力の低下が見込まれる状態にあったため、世代交代の必要性はあったものの、仮に世代交代に失敗したとしてもその影響が直ちに表れる可能性は低かった。


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tRA(true Run Average)

先発投手では、規定投球回数を超えた4人の選手が十分な働きを見せた。一方の救援投手は澤村拓一、スコット・マシソン、山口鉄也が60試合を超える登板をしたものの、他チームの勝ちパターンの投手と比べると今ひとつ物足りず、他の救援投手も勝ちパターンに回せるレベルにはなかった。


翌シーズンを迎える前に判明した戦力の流出は、股関節の手術で翌年の復帰が困難と見られた杉内俊哉、退団した高木京介の部分であった。合計で130イニングあまりを投げた投手の代わりを補うことが、この時点までの課題となっていた。また、安定しているように見えた先発投手陣も規定投球回数以上に投球した中で継続して実績があったのは菅野智之のみであり、これまでに実績のあった杉内の離脱、内海哲也、大竹寛の加齢による能力の低下により、翌年のローテーションにも不安要素があった。救援投手陣はより深刻で、勝ちパターンで投入できる投手の不足・勤続疲労による離脱リスクの増大を抱えており、アキレス腱となり得るポジションになっていた。



4、オフの動き

こうした状況の中、ロッテを自由契約になったルイス・クルーズ、ヤンキースを自由契約になったギャレット・ジョーンズらを獲得した。


彼らを獲得した理由は推測するしかないが、クルーズは二塁手のレギュラーを期待していたものと思われる。これは2015年に二塁手のレギュラーであった片岡の打撃力に問題があったことから、獲得したものと思われるが、2015年の成績から見た総合的な打撃力で比べると両者にはほとんど差がない。一方で、守備力を見ると片岡がリーグでもトップクラスのUZRであったのに対し、クルーズは12球団の平均を下回るUZRとなっている。ゴールデン・グラブ賞を獲得したことを鵜呑みにし、クルーズの守備力を過大に評価した可能性もある。こうした成績からすると、片岡に代わる二塁手として獲得していたのであれば、きわめて不合理な補強だったといえる。ただし、先述したように片岡がシーズンを通して試合に出場することはほぼ見込めなかったことからすれば、内野の複数ポジションを守れるクルーズの獲得は、片岡、坂本、村田といった選手の離脱による損失を極力抑えるための補強としてはそれなりに意味があるともいえる。


また、ギャレットの獲得については、ポジションの重なるアンダーソンとの競争で、いずれかを起用することを見込んでいたものと思われる。両翼は弱点になりうるポジションであったため、この点では外れた補強とはいえない。成績を見る限りでは、MLBでの実績もあり、長打力はそれなりに期待できるものの三振が多く、守備力にも難がある選手といえた。特筆すべきは、キャリアを通じて、左投手との対戦成績が悪く、打率のみならず、K%(Strikeouts Rate)BB%(Walks Ratio)ISO(Isolated Power)といった主要な記録で軒並み左投手との対戦成績が悪くなっている。出場機会がそれなりにありながら、左投手との対戦打席数が少ないことからも、左投手を極力避けるかたちで起用されてきていたことがわかる。当時の巨人には外国人枠の問題もあり(仮にマシソン、マイルズ・マイコラス、アーロン・ポレダを起用することになれば、野手の起用は1名になってしまう)、2人目の野手としてギャレットが起用されるか否かは不透明な部分もあった。そうすると、右投手との対戦時のみに出場させるという起用法をとることも、なかなか困難だったように思う。もちろん、ギャレットがうまく適応し、左投手相手でもそれなりの成績を残す、あるいは左投手相手に成績は残せないにしても、十分すぎるほどの成績を右投手相手に残すという可能性もあったが、チーム事情に合致した補強であったか疑問があった。


ただ、2015年には打撃力の優れた外野手が市場にほとんどおらず、主力級の二塁手を即戦力で補強することも困難であったことから、可能な限りの補強はしたともいえる。



2016年の結果



1、 両チームの勝率・得失点差

このように、2016年シーズン前からそれほどの上積み要素はなかった巨人であったが、シーズンの結果は、広島に大きな差をつけられた2位で終わった。


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順位だけ見れば、2015年と同じ2位であるが、首位広島から17.5ゲーム差をつけられ、まったく歯が立たなかったと言っていい。


得失点差を見ても、広島のプラス187点に対して巨人はマイナス24点。攻守双方で差をつけられているが、総得点が150点以上違うことが大きな要因である。これは1試合あたりの得点が1点以上違うということを意味し、あれだけの一方的なシーズンになったことも当然だろう。


2015年の時点で、広島と巨人の戦力差はほとんどないか、あるいは若干広島が上回っている状態だったが、1年間でチームの差はこれほどにも大きくなってしまった。



2、総合指標から見た両チームの戦力
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広島の野手の合計WAR30.0と投手の合計WAR28.3はともにリーグトップ。対する巨人の野手の合計WAR15.2と投手の合計WAR27.1はともにリーグ2位。その差がおよそ16なので、17.5ゲーム差というのは、選手の貢献の総和から見ても妥当な数字といえる。これだけの戦力差からすれば、2016年シーズンは運用面での巧拙の差や、多少の運、不運があったとしても、巨人の逆転は不可能であり、力負けという他ないだろう。



3、ポジション別に見た巨人の課題

このような差が生まれた原因をポジション別、選手別に見ていく。


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攻守両面にわたって遊撃では大きなプラスを稼げているものの、攻守合計で10点以上のマイナスを計上している一塁、二塁、左翼、右翼が改善ポイントであった。


一塁は阿部、ギャレットを中心に起用していたが、守備で20点以上のマイナスを計上している。また、打撃でも一塁の平均とほぼ同じ程度の成績であった。捕手としては優秀な阿部の打力も一塁としてはそれほどでもなく、他の選手が攻撃でつくったマイナスを補えるだけの打棒を振るうことはなかった。


二塁は276打席のクルーズを中心として起用がされたが、それ以外の選手が打撃で結果を残せず、大きな弱点となっている。クルーズを除いては100を超える打席数の選手が存在しなかった。もともと、年間を通して起用できる選手がいないということは見込まれたが、それを考慮しても決して見込みどおりの状況とはいえない結果であった。


ギャレット、亀井が中心に起用された左翼、長野が主に起用された右翼でも攻守ともにマイナスとなっている。外野は全ポジションで攻撃面のマイナスが10点台半ばから20点となっており、深刻な打力不足がうかがえる。主力野手の衰えが顕著で、即効性を求めた外国人選手の補強も失敗したことの結果であろう。外野手は内野手と比べても3つのポジション間である程度流動的な起用ができる中でこの結果は、改善の困難さをうかがわせる。


2015年と比較すると弱点となっているポジションがほとんど重なっていることがわかる。結局のところ、野手では坂本が守る遊撃以外に大きな強みがなく、他のポジションのマイナスにより遊撃で稼いだプラスが食いつぶされているという状況がまったく改善されていないということになる。


一方で投手は大きなプラスを稼いでおり、全体として問題らしい問題は見当たらない。


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選手別に見ていくと、攻守両面でプラスを稼いだ坂本が群を抜いているという状況は2015年とまったく変わっていないが、坂本に対する依存はさらに進行している。2016年度は打撃が好調だった村田が続くもWARは2.3。WARが2.0以上となっているのはほかに橋本到のみである。長野、阿部、亀井といったかつての主力がリプレイスメントレベルとさして変わらない成績しか残せなくなっていることから、世代交代の必要性は年々増していっているといえる。阿部を筆頭に、特に守備力の低下は顕著であり、その守備力の低下を打力で取り返すこともできなってきている。厄介なことに、これらの選手たちはすでに比較的守備の負担が軽い守備位置(一塁、三塁、左翼、右翼)を中心に起用されており、コンバートにより解決を図ることも難しい。


新加入組では、ギャレットは一塁、左翼といった打力が求められるポジションの選手としては期待に応えられたとはいいがたい。脇谷亮太もリプレイスメントレベル以下の成績で、主力が抜けた際のリカバリーとしても及第とはいいがたい。シーズン開始前には起用法の点から獲得に疑問もあったクルーズであったが、片岡が離脱したことで、結果的にチームの戦力向上につながった。他の二塁の成績からしても、クルーズを補強していなかった場合、状況はさらに深刻だったと思われる。


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先発投手では、規定投球回数を超えた選手こそ菅野、田口麗斗の2名であったが、投球回が90から110イニングの投手が4名おり、先発ローテーションを組むのに大きな不自由はなかった。内容的にも投手ではリーグトップのWARとなった菅野、同9位に入った田口を初め、失点阻止に貢献している先発投手を多数抱えていた。故障によりシーズンの一部または全部を離脱することになった杉内、マイコラスや昨年に比べて不調であった高木勇人、ポレダの穴を成長した田口と復調した内海、大竹により埋めることができたといえる。


一方の救援投手はマシソン、澤村、山口鉄、田原誠次が60試合を超える登板をしている。この中でも山口鉄は成績が振るわず、前年と比較してもワンポイント的な起用が目立つようになった。それを裏付けるように、60試合以上に登板しながら投球回数は48にとどまっている。これだけ成績が振るわないにもかかわらず、救援投手の中で4番目に多い投球回数となっているのは起用法の問題もあっただろう。しかし山口鉄よりも投球回数が少なく、ある程度の登板機会のあった救援投手の中には、山口鉄と同程度かそれを下回るtRA(true Run Average)の投手しかいなかった。起用法にも問題はあったであろうが、救援投手の層の薄さという問題が根底にはあった。マシソン、澤村、田原の勝ちパターンは、全体としてみれば及第の成績は残しているといえる。


先発投手は、全体的な高齢化こそ気になるもののリーグでも屈指の投手から、そこそこの成績が期待できる選手まで揃っており、層の厚みがあり、巨人の大きな強みといえる。一方で救援投手は勝ちパターンの投手こそリーグ平均程度の水準といえるが、これに続く投手の成績がガクッと落ちる。2016年の救援投手の起用では、勝ちパターンの投手を使い潰すような起用も目につき、これ自体は大いに批判されるべきであるが、そうした起用を選択したくなる要因も多分にあったと考えられる。



4、オフの動き

巨人はこのオフに、ドラフト、外国人選手の獲得、トレード、FAで多数の選手を獲得したが、いくつかについてその効果を考えてみたい。


まずFAで獲得したのは、陽岱鋼、山口俊、森福允彦の3名である。いずれの選手も戦力の強化に繋がるとはいえる。


陽は、昨年のWARは2.1。ポジションは外野手で巨人の弱点を埋めることができ即効性がある。30歳(2017年時点)とFAになる野手としては比較的若いこともあり、年俸を考えなければそう悪くない選択だろう。ただし、主に中堅としての起用をすることは橋本が存在することから妥当ではないと思われる。故障の影響もあってか、ここ数年で陽の守備は悪化してきていることから、左翼、右翼での起用を中心とする方が高い効果が得られるのではないだろうか。


山口俊も優秀な先発投手であるが、既に述べたように先発投手は十分な投手が揃っている。山口俊の加入により戦力の強化は見込まれるが、大きな成果は見込めない。離脱や不調に備えるという考え方も否定はしないが、現状ではより優先度の高いポジションはいくらでもある。山口俊の能力を考慮しても、先発投手を獲得することの妥当性は見出しがたかった。


森福の獲得は弱点である救援投手を補うものになる。tRAも3.26と優れた水準である。これだけの好成績はソフトバンクでのワンポイント中心の起用による部分もあり、過信することはできないが、山口鉄や戸根千明など左の救援投手が振るわない現状を考えると的確な補強といえるだろう。ただし、登板機会の限られる救援投手(しかもワンポイントでの起用が見込まれる)の獲得では、大きな戦力強化が難しいこともまた事実である。


また、かつて楽天でプレーしていたケーシー・マギーの獲得も大きく報じられた。すでにそれから4年が経過しているが、もし仮に2013年と同じ程度かそれに近い成績を残せるのであれば、その高い出塁率、長打率は魅力的であろう。しかし、マギーが起用されることが予想される一塁や三塁には、すでに阿部、村田がいる。彼らが2016年シーズンと同等の成績が残せるのであれば、マギーを起用しても打撃での上積みはほぼない。これも前年のクルーズのようにフルシーズンの起用が難しいと思われるベテラン3名で2つのポジションを回すということであれば全否定はしないが、大きな戦力の強化は望めない。


トレードで獲得した吉川光夫についても山口俊について述べたと同様に先発投手の補強の必要性はそれほど高くない。昨年までの成績から山口俊よりも高い成績を残すことが難しいと思われる吉川光の獲得はバックアップ要員の補充としてもいささか過剰すぎると思われる。


このように、オフの補強は戦力を強化するものであることは確かだが、補強の必要性が高いポジションの選手でなかったり、大きなプラスを得ることが難しいポジションの選手であったりしたことで、大きな効果を得られないことが予想される。FAとなった選手を3人補強したことの異例さや獲得資金の高額さから、「大補強」という表現も使われている。しかし、内容を見ればそうした表現がふさわしい補強であるのか、はなはだ疑問である。



数年にわたり弱点は埋まっておらず、それは大補強の今季も変わっていない


以上まとめると、2016年の時点で巨人の戦力は広島にかなり劣っており、オフの補強も弱点を的確に補うものとはいえないため、2017年も苦戦することが予想される。もちろん、突然変異的に成績を伸ばす選手がいたり、偶然にも主力の多数が好調であったり、新入団の選手が大きな活躍をすることがあったりすれば、優勝も不可能ではない。しかし、確率はそう高くないだろう。優勝を狙えるポジションにはいるが、最有力候補とはいいがたい。


また、2015年からの戦力の分析、それへの対処(主に補強を中心として)見てきたが、数年来にわたって弱点であり続けているポジションが存在し、そこに対して的確な補強がなされていない状況が浮かび上がってきた。もちろん、これには現実的に獲れた手段の中に有効なものがなかったということもあるだろう。例えば、二塁のように守備力が要求されるポジションを補強することは難しい。20代後半からベテランの域に差し掛からなければ移籍市場に出回ることはまれであるためである。しかし、それを考慮に入れても、主力の高齢化に伴う戦力の低下に有効な手立てがないまま、時が過ぎてしまっているといえる。


巨人は、短期的にも中長期的にも厳しい位置にあるが、思い切って上積みの少ないポジションで若い選手を起用するというリスクの高い手段も検討すべきではないかと思う。はっきり言って博打に等しい提案であるが、遊撃に加えて最低1つは強みとなるポジションができなければ、優勝は厳しいだろう。

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