3月30日、ついに2023年のプロ野球が開幕する。開幕に先立って1.02ではDELTAアナリストに順位予想を依頼した。予想を行う手法は各自自由に選んでもらい、簡単なコメントをもらい掲載している。アナリストによっては機械的に成績を予測する
プロジェクションという手法を採用しているが、その機械的な予測の中でも意見が割れている。これは予測の要素に何をどれだけ織り込むかの差である点に注意してほしい。今回はセ・リーグ編。パ・リーグ編は
こちらから。
機械的な予測での優勝予想はヤクルト(予想者:岡田友輔 @Deltagraphs)
1位 ヤクルト
2位 DeNA
3位 読売
4位 阪神
5位 中日
6位 広島
例年同様に過去データから機械的に今季の成績を予測するプロジェクションという手法を採用。各選手の成績を予測し、そのデータをもとにチーム順位を予想した。今季も予測が難しい新規加入選手の貢献は見込まず順位予想を行っているが、例外としてトレバー・バウアーだけ反映させている。
バウアー加入もDeNAは優勝には届かないと予想(予想者:道作)
1位 ヤクルト
2位 DeNA
3位 読売
4位 阪神
5位 中日
6位 広島
一番の注目は締め切り間際に飛び込んできたトレバー・バウアーのDeNA入団だろう。
その経歴も諸般の事情から31歳の若さで1年間のブランクをはさむなど、過去に例を見ないもので、予測する確かな手掛かりはないに等しい。その活躍に関する予想が当たったとしてもおそらくは偶然であろう。彼を受け入れたことに関して、日本球界全体の姿勢に関するアメリカ国内の世論が気になるところである。
バウアーに関して、150イニング以上を投げることは意外と難事なのではないだろうか。同列に論じられることができないのは百も承知だが、江川卓(元読売)や菅野智之(読売)も、ブランク明け入団1年目の1先発あたり消化イニングは、当時の常識と翌年以後の彼らの実績から見てやや少なくなっている。バウアーが日本風のローテーションを守り、イニングを消化したとしても、優勝に直結するようなインパクトまでは与えられないと予想した。
優勝予想はヤクルト。村上宗隆、山田哲人の得点源がいずれも内野手であり、今シーズンも健在であることは大きなアドバンテージである。
注目は順位よりも今後の編成の動向として阪神。好成績を繰り返してきた投手陣は前年ついに圧倒的な力を見せた。2位をちぎったNo.1の防衛力を示しており、失点阻止能力にこれ以上の上積みは難しい。打力の改善が待たれる。ただその得点について、昨季はかなり運が味方してのものであったため、正直悲観的な予想をしている。また昨季の投手力も上振れしている様子もあるため、打撃面が改善できなければ長期の低迷もあり得る。ロースコア志向には限度があるのだ。かつて同様のコメントが多かった中日がまだ浮上のきっかけがつかめていないのは気になるところだ。
ヤクルト以外の戦力は拮抗し流動的(予想者:蛭川皓平 @bbconcrete)
1位 ヤクルト
2位 読売
3位 DeNA
4位 阪神
5位 中日
6位 広島
成績予測システム“D-CAST”の予測データを元に予想を組み立てた。
セ・リーグに関しては三冠王村上を擁するヤクルトが今季も強いように見受けられる。その他のチームの戦力は比較的拮抗しており、順位は流動的と見ている。
各チームの所属選手を24歳以下、25歳から29歳、30歳から34歳、35歳から39歳、40歳以上の5つの年齢カテゴリに分類し、昨年と一昨年の成績からOffenseとDefense、先発RARと救援RARの値を予測しました。
これらの値を合計し、各チームの得点をOffenseで、失点をDefense、先発RARと救援RARから予測し、予測得点と失点からピタゴラス勝率を算出して順位の予想としました。
予測の結果、チーム間の差が小さくなってしまうのが毎年の悩みどころです。
バウアーがエース級成績ならDeNAは優勝候補に(予想者:宮下博志 @saber_metmh)
成績予測システム“D-CAST”の予測データをもとに順位予想を行った。
セ・リーグは、村上の圧倒的な野手WARを背景にヤクルト優位の予測となった。各球団とも投手陣は安定しており、野手で差がつく見通しとなっている。
読売は岡本和真の復調予測に加えて、坂本勇人、丸佳浩、吉川尚輝など毎年安定して優れたWARを記録する野手陣の貢献が今季も高く予測された。しかし野手の年齢層は高く、予測を大幅に上回るとは考えづらい。ヤクルトとの差を埋める余地は主に投手陣にありそうだ。
なお、算出時点ではバウアーのDeNA入団は決定しておらず、今回の予測結果に考慮されていない。バウアーが5.0WARを超えるエース級の投球を発揮した場合、DeNAは一気に優勝候補へと躍り出る見込みだ。
阪神は昨季同様リーグ上位の投手陣を擁しているが、ジョー・ガンケルの退団やローテーション投手の下方予測により、投手力は昨季ほどの圧倒的ではなくなっている。一方で野手WARは上昇する見込みで、総合的にAクラス争いを演じる戦力を維持している。
下位予測の中日、広島は野手WARの低下が見込まれるが、これは昨季ブレイクした選手の予測が低めに出ているためだ。それら野手が貢献度を維持できた場合、予測を超える余地が大きい。
将来性が大きい中日。阪神、広島は外国人選手次第(予想者:大南淳 @ominami_j)
1位 ヤクルト
2位 DeNA
3位 阪神
4位 読売
5位 中日
6位 広島
1位はヤクルトと予想する。昨季の優勝は多くの要因が語られるが、やはり村上の力に頼るところが極めて大きい。村上がいなければ下位に沈んでもおかしくない戦いぶりだった。先発、左翼などチームの穴は昨季の時点で少なくなかったのだ。ただ今季はそれらポジションに補強や若手の台頭が見られており、改善の期待がある。やはり優勝の可能性は最も高いのではないだろうか。
DeNAはバウアーの加入により予想順位を引き上げた。投手陣はかなり強固なものになりそうだ。ただ野手陣におけるセンターラインの課題は例年とそれほど状況が変わらず、優勝にまでは届かないのではないだろうか。
阪神はガンケル、藤浪晋太郎と先発の駒が複数枚抜けたが、大きな痛手にはならないと想像する。ただ野手については外国人選手の出来に頼るところが大きい。逆に考えると外国人選手の出来によってはヤクルトに食らいつける可能性がある。
読売は高齢化が著しく勝ち星が伸びる見込みはそこまで高くないのではないだろうか。むしろ成績を落とす見込みが高い年齢の主力も多く、リスクの大きい編成状況だ。中日は将来性の大きいチームだが、今季はまだ他球団より下の位置と見る。石川昂弥、龍空など若手が本格化するようなら勝負のシーズンとなる。
広島は苦しいシーズンになることが予想される。坂倉将吾が捕手としてフルシーズンを過ごし、なおかつ外国人野手もうまく機能するようなら上位進出の可能性が出てくる。
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