5月16日、ついにロッテの
佐々木朗希がプロ入り初登板を果たした。結果は5イニング、107球を投げ被安打6、奪三振5、与四球2、失点4。1.02では投球データを公開しながら、初登板をリポートしたい。事前に行った二軍での投球分析は
こちらから
佐々木初登板のPitching Report
はじめに1.02 Pitching Reportを使ってこの日の投球の傾向を確認してみよう。
これを見ると、16日の佐々木がストライク獲得や、制球・コマンド力のカテゴリでは一軍の平均レベルの結果を残したことがわかる。登板前の二軍戦リポートでも紹介したが、それほど制球力に問題を抱えている様子は感じられない。またゾーン内で空振りも十分とれており、やはり投球の威力は感じさせる
ただ投球の効率性のカテゴリではいずれもリーグ平均を下回る結果となっている。味方の失策が絡んだこともあるが、球数が増えた原因はこのあたりにありそうだ。
佐々木初登板の球種別成績
次に球種別のデータをおさらいしたい。
表1 球種別の基礎データ
球種 |
投球数 |
投球割合 |
平均球速(km/h) |
ストレート |
71 |
66.3% |
151.2 |
フォーク |
26 |
24.2% |
139.2 |
スライダー |
10 |
9.3% |
138.4 |
どの球種をどれだけ投げたかを示した表1を見ると、ストレートが66.3%、フォークが24.2%、スライダーが9.3%と、ほぼ二軍での投球と大きく変わらない割合となっている。一軍登板でもストレートが中心であることに変わりはなかった。
そしてそのストレート平均球速は151.2km/h。ストレートが150km/hを下回ったのは71球中わずか6球だけとスピード面では圧倒的なものを見せた。球速帯がかなり安定していたことを考えると、スピードの天井はさらに上にありそうだ。
表2 球種別投球結果
球種 |
見逃し |
空振り |
ボール |
ファウル |
インプレー |
空振り/スイング |
ストレート |
21.1% |
11.3% |
32.4% |
22.5% |
12.7% |
21.1% |
フォーク |
7.7% |
11.5% |
26.9% |
26.9% |
26.9% |
33.3% |
スライダー |
10.0% |
20.0% |
60.0% |
0.0% |
10.0% |
28.6% |
ストレート(NPB平均) |
19.3% |
7.0% |
35.3% |
20.8% |
17.7% |
12.6% |
球種別の投球結果を見てみよう(表2)。まずストレートはやはり圧巻の内容だ。NPB平均より見逃し・空振りの割合が高く、ボールの割合が少ない。ファウルも多く獲得できており、インプレーになることも少なかった。Pitching Reportのストライク獲得カテゴリで優れた成績を残せたのはこのあたりに要因がありそうだ。
二軍登板ではフォークが極めて有効な決め球になっていたことをこちらの記事で紹介した。二軍でのフォークの空振り率は驚異の30.0%を記録していた。ただ16日の登板では11.5%と、フォークでそれほど多くの空振りが奪えていない。インプレー打球の多さからも、二軍で有効だったフォークが一軍の舞台ではコンタクトされてしまった様子がわかる。
二軍登板で2球種に比べると有効になっていないことを紹介したスライダーは空振りを奪う場面が2度見られたが、全体の60.0%がボールになっており、やはりそれほど機能しなかったようだ
表3 球種別インプレー打球性質
球種 |
ゴロ% |
フライ% |
ライナー% |
内野フライ/フライ |
ストレート |
44.4% |
55.6% |
0.0% |
0.0% |
フォーク |
57.1% |
28.6% |
14.3% |
0.0% |
スライダー |
0.0% |
100.0% |
0.0% |
100.0% |
打球が発生した場合の結果を見てみよう(表3)。二軍ではフォークが多くの空振りを奪えるうえに、インプレーとなった場合でも78.6%と高確率でゴロにすることに成功していた。だが16日の登板では空振りをうとれていないうえに打球がフライやライナーになることも多かった。
佐々木初登板の投球マップ
最後に投球マップを見てこの日の投球を振り返ってみよう。投球マップは下部の球種・投球結果リストをクリックすることで、その種類の投球だけを表示することができる。
これを見ると、空振りがそれほど奪えなかったと紹介したフォークは、その多くが低めのボールゾーンにコントロールされている。高めに浮いたために多くコンタクトされていただけというわけではないようだ。そしてその低めボール球のフォークでそれほど空振りをとれずファウルやインプレーになってしまっている。
2ストライクに追い込んでからなかなかアウトをとれなかったり、効率のカテゴリの数字が伸びなかったのはこのあたりに原因があったようだ。二軍では十分な威力を発揮したフォークだが一軍の打者にはそれほど通用しなかったのだろうか。次回登板では決め球フォークがどのような結果になるかに注目したいところだ。
またこの日の登板では西武打線に5盗塁を許すなど、走者の管理に課題も残した。今後この部分で改善が見られるかどうかも大きな注目ポイントだ。西武以外の球団もこの日の登板で足攻めの可能性については検討しはじめるはずだ