• 1.02 Column



今春の東都リーグで1試合20奪三振のリーグ新記録を樹立した上茶谷大河(東洋大)。日米大学野球選手権大会の侍ジャパン大学代表には選ばれなかったが、今秋のドラフト1巡目候補として名前が挙がることも多い。今回はDELTAアナリストでスカウティングにも詳しい山崎和音氏が20-80スケールを使った上茶谷のリポートを作成した。

選手プロフィール


名前:上茶谷 大河
生年月日:1996年8月31日
投/打:右/右
身長:181cm
体重:85kg
経歴:京都学園-東洋大




体格及びメカニクス


理想的なピッチャーのサイズよりは一回り小柄だが、下半身もしっかりしており問題はないだろう。8月末で22歳という年齢を考えると、今後の身体的成長はあまり見込めない。したがって、プロ入り後に球速が劇的に(5km/h以上)伸びるということもなさそうだ。ランナーがいなくてもセットポジションから、足をやや後方にあげ、ひねりを加えて低めのスリークォーターから投げ込んでくる。腕の使い方は鞭をしならせるようで、リリース時に多少の力みは見られるが、気になる程度ではない。下半身の使い方も理想的に近い。得点圏にランナーを背負った場面ではリリースポイントがバラつく場面も見られる。


速球


球速は通常時で142-148km/h、最速で150km/h。スリークォーターである彼のリリースポイントから想像されるほどにアームサイド(右打者の内角方向)への変化はそこまで見られない。軌道はほぼ真っすぐで、伸びは多少みられるものの、特筆するほどではない。制球は不安定で、ストライクを取るのに苦労する場面も見受けられる。


評価:現状50/将来55

スライダー


現時点で最も完成された球種。スピードは127-130km/h程度。捕手目線から見て時計の針の11時から5時方向に鋭く変化する。曲がり始めは理想よりはやや早めだが、変化量は平均以上。プロレベルでも武器として十分通用するだろうが、そのためには制球にもう少し磨きをかける必要がある。


評価:現状 55/将来 60

チェンジアップ


私が見た3試合ではあまり多く投げていなかったが、かなりのポテンシャルを秘める球種。速球と同じ腕の振りから投げ込まれ、123km前後の球速でホームプレート上で沈みこむ。特に左打者から空振りを奪うには非常に有効な球種。


評価:現状 50/将来 60

その他球種


時折115-116㎞程度のカーブを投げるが、見せ球に過ぎない。決め球としては不十分。


評価:現状 40/将来 40

メンタル等


メカニクスの項目でも述べたように、得点圏でリリースポイントがばらつく傾向がある。また、それに伴いコントロールにも苦しんだり、ストレート1本で押そうとしたりする場面も散見される。ピンチになると落ち着きや集中力をやや欠くようだ。プロ入りにあたって、この点の改善は必須だ。


総合評価


身体面では現時点で完成に近い。遅くともプロ入り1年目の2019年後半戦には一軍定着が見込まれる。ただ再三指摘しているように、メンタル面での脆さが目に付く。また、コマンド(狙ったスポットに投げる能力)がコントロール(ストライクゾーンに投げる能力)に追いついていない。菅野智之と比較する声もあるが、制球力が数段落ちるし、今後成長してもいわゆる精密機械と呼ばれるレベルにはならないだろう。絶対的なエースというよりは先発3番手か、よくても2番手だろう。山﨑康晃のようにプロ入り後はリリーバーに転向するという選択肢もある。春季リーグ最終週には3日連続で先発し、計200球以上を投じるなど、大学で酷使されている点も気がかり。また酷使がなかったとしても、そもそも投手は常に故障と隣り合わせのポジションでリスクが高い。以上を総合すると、上茶谷は1巡目候補というよりは2巡目が妥当と思われる。


評価:現状 50/将来 55/ポテンシャル(すべてがうまくいった場合)60


山崎 和音@Kazuto_Yamazaki
バイリンガルに活動するライター。1.02以外にもBeyond the Box ScoreBaseball Prospectusといったウェブサイトに寄稿。BP Anuall 2018では日本野球に関するチャプターを執筆。セイバーメトリクス的視点からだけではなく、従来のスカウティングを駆使した分析もする。趣味のギターの腕前はリプレイスメント・レベル。



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