• 1.02 Column



昨季は日本一になったものの、今季は低迷している日本ハム。その中でも正遊撃手・中島卓也の不振は痛い。もともと打撃を得意とする選手ではなかったが、今季は大きく成績を落としている。要因は相手の攻め方のせいか、それとも中島自身の問題だろうか。

2017年打撃不振の中島卓也 原因は何か


今回データを見ていくのは、日本ハムの中島卓也です。最大の強みは遊撃守備にありますが、これまでは持ち前の粘り強さを生かし、打撃でも一定の貢献をしてきました。しかし、今季は表1に示すようにもう1つ調子が上がってきません。


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開幕時に成績が振るわなかった打者も多くは時間が経つにつれ調子を上げてきています。シーズン半ばになっても不調が続くというのは、何かしらの原因があるのではないでしょうか。今回はこの原因を探っていきたいと思います。

最初に見るのはどういった打球を放っているかを表すBatted Ballデータです。1打席あたりのゴロ、フライ、ライナーの割合とそれぞれのアウト率のデータを以下の表2に示します。今回は打席全体のうちでBatted Ballがどのように機能しているかを見るため、打球に占めるゴロ、フライ、ライナーの割合ではなく1打席あたりの割合になっています。


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1打席あたりの割合を見ると、わずかにライナーが減少しフライが増加していますが、それほど大きな変化ではないといえます。ただ、今季は各打球のアウト率が高くなっています。

次に、打球が生まれる前段階、どんなボールを振ったか、振らなかったか。振った場合、バットがボールに当たったのか、当たらなかったのか、を表すPlate Disciplineデータを以下の表3に示します。


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スイング率と空振り率が微増、コンタクト率は微減という結果となっています。空振り率、コンタクト率の変化は確かに良くないものではありますが、成績悪化の大きな原因といえるほどの変化ではないように思われます。


強い打球が減り、弱い打球が増えている


他の打撃指標についても調べてはみたのですが、どれも似たようなものでわずかな変化が見られる指標でした。ただし、打球の強さについてはそれなりに大きな変化を見ることができます。

打球の強さは、その名の通り打球の強さをSoft(弱い)、Mid(普通)、Hard(強い)の3段階に分類したものです。分類にはフライ、ライナーならば打球の滞空時間、ゴロならば内野手は捕球するまで、あるいは内野を通過するまでのスピードを用いています。3つの分類の中ではHardが最も安打になりやすく、Mid、Softの順に続きます。中島の打球に占める打球の強さ割合は表4のようになっています。


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今季に入ってHard%が低下し、Soft%が高くなっていることを確認できます。わざわざ弱い打球を打とうとするとは考えづらく、打撃不振の背景にある現象と見て良いと思います。

中島がどのようなコースに来た投球をどういった強さの打球にしているのかを調べるために、投球コース別に打球の強さをプロットしてみました。2016年のwOBA .317から今季は.228と成績低下が激しい対右投手に絞り結果を図1に示します。


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2016年と比較すると、今季は強い打球を打てるコースの範囲が左右上下に狭くなっていることを確認できます。また打球をゴロに限定した図2を見てみると、Hard、Midの打球が真ん中の高さに集まっている2016年と比べ、今季はMidのゴロが全体的にストライクゾーン低めに集まっています。今季は低めの投球に多く手を出しており、結果、強い打球が少なくなっています。


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攻めるコースに極端な変化は見られない


今季の中島は低めのボールに手を出し、強い打球よりは一段劣るMidのゴロを量産していることが確認できました。これだけの情報では、2016年に得意としていた真ん中の高さを避けて低めを攻められているのか、中島自身が低目を狙い打っているのかはわかりません。そこで、打球が発生しなかった投球も含め、球種別に投球プロットを表示します。はじめに見るのは右投手のストレートです。


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ストレートでは、2016年は真ん中の高さのヒットが多いですが、今季はこの高さでのヒットは少なく、そこから低めの投球に手を出してのアウトが多くなっています。ただし、徹底的に低めを攻められているというわけではなく、真ん中から高めへの投球も多く見られます。


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図4の右投手のカーブとスライダーについても、全体的に真ん中から低めへの投球に手を出しアウトになっていることを確認できます。この傾向は2016年にも確認できますが、2016年は内角でのアウトが多いのに対し、今季は外角のアウトが多いのが特徴です。また2016年に得意としていた真ん中の高さの投球を今季はヒットにすることができていません。これに関しては投球が真ん中の高さにくる頻度が少ないという事情もあるかもしれません。


中島が崩れているのか、相手が対策をたてたのか


成績が低下しているにもかかわらず、Batted BallやPlate Disciplineの変化は少なく、打球の強さが弱くなっていました。また弱い打球は低めのコースに集中しており、球種別に見るとストレートは真ん中から高め、スライダー、カーブは真ん中の高さで安打が減少していました。

相手に研究されて低めの投球に手を出すような攻め方をされているのか、それとも中島が自ら低めの投球を狙い打っているのかまで、はっきりした傾向はわかりませんでした。しかし、この投球コースのデータの中からは明らかな対策がとられている様子は見えず、中島自らが崩れていった可能性も十分あるのではないでしょうか。


Student @Student_murmur
個人サイトにて分析・執筆活動を行うほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 BABIP関連、また打球情報を用いた分析などを展開。2017年3月に[プロ野球でわかる!]はじめての統計学 を出版。
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