• 1.02 Column


大胸筋断裂という大怪我を負った状態だったにもかかわらず、西武からドラフト2巡目で指名された西川愛也。2年目の今季は二軍戦でようやく守備にもつきはじめているようだ。DELTAアナリストの山崎和音氏が20-80スケールでのリポートを作成した。

選手プロフィール



名前:西川愛也
生年月日:1999年6月10日
投/打:右/左
身長:180cm
体重:78kg
経歴:花咲徳栄高 – 西武(2017年ドラフト2巡目)
観戦日:2019年3月1日、6日、20日、26日、27日、4月5日、6日、19~21日



体格


高卒一年目だった昨季と比べると多少筋肉は付いてきているが、それでも全体的に線が細いという印象は否めない。だが今後のトレーニングによって体格が一回り大きくなる余地は十分にある。身体能力は平均以上だ。


打撃


重心を低く保ち、両手もユニフォームのベルト付近まで下げて構える。スタンスはオープン気味だ。投球動作が開始されると、ベルトの位置にあった手を頭の後ろあたりまで上げ(ヒッチ)、スイングを開始するという独特のタイミングの取り方をする。この動きは昨季終盤に一度緩和させていたが、今季は再び取り入れているようだ。

スイングスピードは平均以上。軌道はやや長めで、フラットよりも少しダウンスイング気味だ。したがって打球の大半はゴロや低いライナーとなる。芯で捉えたベストな打球はやや強めのゴロで一二塁間を抜けていくが、これも「芯で捉えた」というよりは「芯に当てた」と表現したほうがしっくりくる。あまり強いスイングではない。ただ、コンタクト能力は同年代の他の選手に比べるとずば抜けたものがある。

アプローチ面では明確なプランを持って打席に入っていることがうかがえる。多くの場合は深いカウントまで狙い球を待つが、甘い球が来たときは初球からでも積極的にスイングする。また追い込まれたあとは粘って打席を引き延ばすことも可能だ。ただ、一軍の平均以上のレベルの投手に対しては速球、変化球ともに脆さを見せ、やや不格好な空振りをしたり、まったく手が出ない場面も見受けられる。それでも将来的には平均以上の打撃能力を持った打者へと成長するはずだ。


現状40/将来55

パワー


前述のように現段階ではゴロや低いライナーを量産するタイプの打者であるため、打球がフェンスを越えることはまずない。私が見た打席のうち、唯一完璧に真芯でとらえた当たりもウォーニングトラックどまりだった。また上半身主導のバッティングメカニクスも、パワーのすべてをバットに乗せられない要因となっている。「試合で発揮されるパワー」の将来的な評価は40としたが、今後のスイング改造によって打球に上向きの角度をつけることに成功すれば50まで上がることも想像できる。


純粋なパワー:現状30/将来45
試合で発揮されるパワー:現状30/将来40


走塁


私のストップウォッチによる計測では、バットに当たってから一塁到達までは、しっかり打ちにいったもので4.00秒、振り切ってから走り出した場合でも4.20秒を記録するなどかなりの俊足の持ち主だ。右中間を破るあたりで三塁に滑り込んだ際のタイム11.32秒、同打球での一塁ターン4.39秒も特筆すべき数字である。長いストライドを生かした加速が素晴らしく、コース取りもうまい。ただ牽制死する場面が散見されたり、盗塁を試みる際のスタートもあまりよくない。ただこの点に関しては今後学習すると私は見ている。今後身体が出来上がっていくにしたがって、純粋なスピードは多少落ちるだろうが、将来的には平均以上の走者になることが見込める。


現状50/将来60

守備・肩


高校時代に負った大胸筋断裂の影響もあり、昨季は指名打者に専任したが、今季は開幕から内野の両コーナーを守っている。三塁ではルーティンプレイは問題なくこなせているものの、フットワークや打球反応に脆さが見られる。一塁ではそれに加えてショートバウンドの送球の処理に未熟さを見せる。身体能力は十分なので、これらの問題を克服できれば、平均的な守備力をもつ一・三塁手に成長することは可能だ。特に一塁では平均以上になるだろう。肩は三塁では平均以下だが、大きな問題となるほど弱いわけではない。


守備:現状30/将来50
肩:現状40/将来45


総合評価


野手にとって最も重要なツール、打撃においてリーグ上位に君臨するほどの素質の持ち主であるため、将来的に何らかの形で一軍の戦力となることが見込める。ただ問題となるのはポジション。高打率・出塁率を残せても、現在守っている内野の両コーナーに求められるレベルのパワーが発揮できるかには疑問符がつく。特に一塁固定となった場合、パワー不足は顕著だ。よくても平均的なレギュラー以上の貢献度を生み出すことは難しくなるだろう。この点を解決するために、スピードを生かしてセンターが務まるかどうか試してみる価値はある。ポジションの面での難しい立場を解説したが、その打撃技術をもってすれば、平均以上のレギュラーに成長する可能性もゼロではない。


現状:30(スピードとバットで多少貢献するかもしれないが、一軍のベンチに入れるにはまだまだ未完成な若手)
将来:45(パワー不足のコーナーレギュラー)
ポテンシャル:55(平均以上のレギュラー)



山崎 和音@Kazuto_Yamazaki
バイリンガルに活動するライター。1.02以外にもBeyond the Box ScoreBaseball Prospectusといったウェブサイトに寄稿。BP Anuall 2018では日本野球に関するチャプターを執筆。セイバーメトリクス的視点からだけではなく、従来のスカウティングを駆使した分析もする。趣味のギターの腕前はリプレイスメント・レベル。


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