プロスペクトランキングに入った40名は、各球団からどのように出ているのか。その状況を見ながら、各球団の若手の起用状況について追加の考察を行った。
若手起用頻度が高い日本ハム、DeNA
ランキングに入った40名を球団別に数えると、以下のようになっていました。
1位 ソフトバンク(6名)
2位 日本ハム(5名)
3位 広島、ヤクルト(4名)
5位 DeNA、西武、楽天、阪神、オリックス、中日(3名)
11位 ロッテ(2名)
12位 読売(1名)
ここからはソフトバンクの優位がうかがえます。このように並べると、三軍施設までつくって育成をしている球団の強みと単純に考えてしまいそうにもなりますが、これは一軍のデプスとの強い相関性を持っています。すでに「25歳以下で100イニング以上、50試合以上登板、300打席以上」を記録している選手(若くして出場機会を得ている選手)を含めると、日本ハムとDeNAが優勢である状況が見えてきて、各球団の若手起用の頻度をつかむことができます。これらのデータを基に、球団別の育成状況を簡単にまとめてみました。
日本ハム
選手交代のサイクルが非常に早い球団。 将来的なFAでの流出を見越した上での起用が目立つ。
DeNA
日本ハムに追従する育成スタイル。FA対策などの課題はこれから。
ソフトバンク
次代の選手はすでに揃っており、今後は次々代の育成に。
阪神
1年前から始まった世代交代も、結果が出るのはこれから。
広島
圏外にも有望株多数で、2~3年度には球界有数の若手保有球団にも。
ヤクルト
質はともかく量が不足気味。ドラフトの成功が今後のポイント。
楽天
世代交代まであと一歩に迫っているが、一軍で通用する選手をどれだけ出せるか。
オリックス
再建への準備は進んでいるも、結果を残せる選手がほしい。
西武
得意分野と不得意分野の差が激しく、全体としてデプスの構築には至っておらず。
中日
25歳以上で入団する新人が多く、基準内では評価が難しい。
ロッテ
ファームの高齢化が忍び寄り、理想的なデプスの像を描けていない。
巨人
世代交代が進まず苦しい状況も、三軍の活用法次第では育成システムに光明も。
球団単位での若手育成は、オリックスがファーム専用グラウンドを一新したり、楽天も公式戦以外の対外試合を増やすなどして、積極性が大いに感じられるところもある反面、設備資金面で苦しい球団はより効率的な育成が求められています。ドラフトのくじ運なども含めて、全ての球団に平等な環境が与えられていない以上、球団そのものの評価を下すには至りません。評価すべきはあくまでも一軍のチーム成績であり、ファームは育成機関という位置づけになります。
ひとつ憂慮しているのは、どんなに才能に恵まれていても、肝心の出場枠に限りがあればその選手は花を咲かせることなく、プロの舞台から消えてしまうケースも起こり得ること。そうした選手が極力少なくなるよう、プロ野球選手会が昨年12月に提案した「救済ドラフト」のような制度が出来れば、ファームで懸命に努力している若手選手にとって、励みになるのではないかという気もします。球界全体がこのような形に動くかどうか、トップ・プロスペクトたちの成長と同じくらい関心を持っています。
高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。
投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。