• 1.02 Column


NPBの若手有望株“プロスペクト”をランキングする本企画。今回は開幕前3月以来の更新となる。12球団最高の若手有望株と評価されたのは誰だろうか。前回のランキングはこちらから。

対象となる選手


・2019年中で24歳以下
・投手は一軍通算100イニング未満かつ50試合登板未満
・野手は一軍通算300打席未満
・外国人枠の対象となる選手は除く

2019年シーズンを終えたことで、春の時点でランキング上位だった村上宗隆(ヤクルト)、清宮幸太郎(日本ハム)、廣岡大志(ヤクルト)、辰己涼介(楽天)、種市篤暉(ロッテ)らは打席やイニングの上限を超え、今回からは対象外となった。また弓削隼人(楽天)、山野辺翔(西武)ら大卒社会人ルーキーも、早生まれの選手以外は2019年中で25歳となるため対象から外れている。


評価のプロセスについて


前回までは日米のプロスペクトに詳しい山崎和音氏、Dean Steinman氏の2名に、DELTAのデータ入力の現場で選手のプレーを大量にチェックするDELTAビデオ班が加わりランキングを作成していた。しかし今回は山崎氏、Steinman氏ともに参加が難しく、ビデオ班単独での選考となっている。そのため前回までとはやや色合いが異なるランキングになっているかもしれない。


遊撃で一軍出場の高卒ルーキーが1・2位に ランキング1~10位


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1位は広島の小園海斗とした。ビデオ班内の評価は春から一定して高く、変わっていない。今季は不調の田中広輔に代わり、後半戦に一軍に定着。まだレギュラーとして十分なレベルには達していないが、ポテンシャルは特大だ。高校時代は走塁や守備に注目が集まることが多かったが、プロ入り後は長打面で能力の高さを見せている。今季も新人ながら一軍で4本塁打を放っており、将来的にはシーズン25本塁打以上も期待できるのではと思わせるものがある。守備に関しても、ポテンシャルは坂本勇人(読売)、安達了一(オリックス)、源田壮亮(西武)など近年のトップレベルの遊撃手ほどではないが、高い。総合的な能力を見るに、遊撃手としては坂本勇以来の逸材と言っていいのではないだろうか。

2位は太田椋(オリックス)を選んだ。小園と同じ遊撃を守る高卒新人だ。今季は3月の教育リーグ・ソフトバンク戦で千賀滉大の速球を右手に受け骨折する不運なスタートとなったが、6月に実戦復帰したあとは順調に経験を積んだ。ファームでは263打席に立ち、打率/出塁率/長打率で.258/.331/.412を記録。長打を放つ才能は小園にひけをとっておらず、プル方向に強烈に引っ張りこむ打撃スタイルは山田哲人(ヤクルト)を彷彿とさせる。またファームでは今季の高卒新人トップとなるBB%(四球/打席)10.3%を記録。小園に比べると四球を多く獲得できる点でアドバンテージがありそうだ。遊撃守備の面でも平均以上の機動力を備えているほか、スローイングはNPBで上位クラスといえるほどに力強い。2位としたが1位・小園とのポテンシャルの差はわずかではないだろうか。

3位の坂倉将吾(広島)は打てる捕手として高く評価した。今季のパ・リーグは森友哉(西武)がリーグの戦力バランスを1人で動かすほどの影響力を見せたが、坂倉も森ほどではないにせよ、打撃のポテンシャルが高いと見る。ただランキング相応の選手になるにはチームが坂倉を捕手として起用することが前提だ。もし外野などほかのポジションでの起用が多くなる、あるいはチームが捕手の併用体制をとるようならポテンシャルは生かしきれない。広島はつい先日、正捕手・會澤翼がFA宣言せずに残留することが決定した。チームとしては朗報だが、捕手・坂倉のキャリアは雲行きが怪しくなっている。ただ才能の素晴らしさに疑いはない。

ここまではシーズン前からビデオ班内で評価が高かった選手だが、4位以降はシーズン前にマークしていなかった選手が登場する。4位は育成出身の高卒ルーキー・山下航汰(読売)。今季はファームで344打席に立ち、打率/出塁率/長打率で.332/.378/.489を記録した。ファームでのK%(三振/打席)は12.2%(ファーム平均が20.9%)と三振も少ない。スラッガーでありながら三振も少ないとなると、吉田正尚(オリックス)のようなイメージだろうか。今後は今季7本だった本塁打がさらに増えてくると予想している。ただ上位の選手と比べると守備貢献は見込みづらいため、トップ3に入れることはできなかった。

5位の戸郷翔征(読売)は将来のエースとして期待がかかる投手だ。投手ではランキング最高位となる。今季はチームの優勝決定試合となった9月21日のDeNA戦でプロ初登板、初先発すると、150km/h以上のボールを連発。投手としてのスペックの高さを見せつけた。右打者に対する投球はすでに一軍でも上位クラスではないだろうか。ちなみに戸郷はドラフト6位、山下航は育成1位と、ともに昨年下位指名で読売に加わった選手だが、1年で立ち位置は大きく変わった。ともに2020年代のジャイアンツを引っ張る存在になるかもしれない。

6位の梅津晃大(中日)はここまで挙げた中で来季の活躍が最も見込める選手だ。昨年のドラフトで入団した東洋大の同級生である上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)と比べても最も高いポテンシャルを感じる。来季いきなりエース級の活躍を見せても驚きはない。8位の遠藤淳志(広島)も今季活躍した救援投手だが、このランキングはあくまでも先発の評価だ。現時点で非常に魅力のある投手だが、ここからさらに伸びしろがあると見ている。こちらもエースクラスのポテンシャルと評価した。

7位の頓宮裕真(オリックス)は、今季の開幕戦では「5番三塁」を任された強打者だ。ルーキーイヤーはプロのボールに翻弄される場面も目立ったが、将来的にはシーズン30本塁打以上を打てるポテンシャルがあると評価している。今季途中に捕手に転向し、すでにフェニックスリーグには捕手として出場しているようだ。仮にコンバートに失敗しても打撃面でトップクラスのプロスペクトであるという評価は変わらない。捕手では9位に中日の石橋康太もランクイン。高卒ルーキーだがフレーミングなどディフェンス面はすでにかなりハイレベルにあり、早い段階での一軍定着が見込める。打撃でも長打面でポテンシャルを見せており、非常に将来が有望だ。

10位の細川成也(DeNA)は筒香嘉智の後釜として期待されるスラッガーだ。入団当初は打席の4割を三振が占める非常に粗い打者であったが、ファームでのK%(三振/打席)はルーキーイヤーの2017年から41.8%→37.2%→24.4%と着実に減少。対応力が上がり、一軍レベルに近づいている様子がうかがえる。飛ばす力がとにかく素晴らしい選手だ。


パワーヒッター、パワーピッチャーが続々登場 ランキング11位~20位


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11位の太田光(楽天)はディフェンス面の評価が高い捕手だ。特にフレーミングの技術は素晴らしく、今季楽天投手陣は太田のストライク獲得にかなり救われはずだ。打撃は一軍では.219/.279/.271と低調に終わったが、スイングの力はありビデオ班内でも評価は高かった。ただの守備型の捕手ではないように見える。

12~14位はパワーヒッターが3名続いた。12位の万波中正(日本ハム)は、さきほどの細川と同じくとにかく飛ばす力が素晴らしい。内角球をバックスクリーンに放り込む打撃は今季の坂本勇を彷彿とさせる。ただ落ちる球への対応など現状は課題も非常に多く、一軍での活躍はまだまだ先になりそうだ。

13位の安田尚憲(ロッテ)は今季イースタンの本塁打王に輝いた。村上、清宮にやや後れをとってはいるが順調なステップを踏んでいると言っていいだろう。しかし守備面での不安が大きく10位以内に推すことはできなかった。ファームの試合でも俊敏性の問題からか三遊間の打球を処理する場面が少ない。今後三塁手にとどまることができるかは微妙ではないだろうか。

林晃汰(広島)は智弁和歌山高時代から非常に大きな注目を集めたスラッガーだ。これまで挙げた打者に比べるとファームでの実績も乏しいが、スイングは非常に鋭く、飛距離も素晴らしい。またスラッガータイプの打者でありながら、今季ファームでの空振り率(空振り/全投球)が8.9%とコンタクト面でも高い能力を見せている。将来的に一軍の中心打者に成長する可能性が非常に高いと見ている。

15位の髙橋純平(ソフトバンク)、16位の平良海馬(西武)は今季一軍の救援としてすでに結果を残した投手だ。2投手とも投げている球だけを見ればすでに一軍でも上位クラスだが、今後も救援にとどまるのであれば、クローザーに定着したとしてもこの順位が妥当だろう。先発に転向し、さらにそれに適応できるようならトップ10に入る逸材だ。

17位の髙田萌生(読売)は髙橋純、平良に比べるとボールの魅力自体は劣るが、先発適性が高いため近い順位とした。やはり投手は長いイニングを投げなければ多くの失点を防ぐことはできない。髙田も来季戦力になる可能性がかなり高い投手ではないだろうか。

昨年のドラフトで3球団が競合した藤原恭大(ロッテ)は18位とした。1歩目のスタートを素早く切れる中堅守備は現時点でも大きな武器になっている。ただ評価の高かった打撃面はゴロが非常に多く、そのスイングスピードを生かしきれていない。まだしばらく時間がかかりそうだ。ただそれほど打撃に成長が見られなくても、守備能力の高さでレギュラー中堅手に定着する可能性は高い。従来の評価よりも守備的な選手と見るべきなのかもしれない。

19位の増田珠は高齢化が進むソフトバンクで最も大きな期待を集める野手だ。2年目の今季はファームで111試合383打席に出場し.278/.342/.422の好成績を残した。打撃の完成度は高卒2年目としては非常に高い。ただ現時点では守備面の不安が大きく、これ以上の順位に推すことはできなかった。松田宣浩と比較する声もあるが、守備力に長けた松田宣とは少し違うイメージの選手と捉えるべきかもしれない。

20位の杉山一樹(ソフトバンク)は社会人時代からビデオ班内で非常に評価の高かった投手だ。調子がいいときのボールの質は今回の対象となった全投手の中でも最高レベルの威力がある。ただ現状は投球フォームの再現性に課題があり、1球1球のばらつきが非常に大きい。球界を代表するような投手になる可能性もあるが、課題をクリアできなければ一軍に定着できないキャリアもありうる。


昨年のドラフトの目玉・根尾はここにきて登場 ランキング21位~30位


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21位の榊原翼(オリックス)は今季すでに一軍ローテーションで活躍を見せた投手だ。ここまで一軍通算97 1/3イニングと本企画のプロスペクトの条件にぎりぎり残った。今季途中に故障により離脱となったが、その後のファームやフェニックスリーグでの投球を見る限り今後も変わらぬパフォーマンスが期待できるのではないだろうか。

23位の髙橋優貴(読売)、25位の浜地真澄(阪神)も榊原と同じように、今後エースクラスとまではいかないが、平均以上の先発でありつづける可能性が高い投手と見ている。髙橋はチェンジアップ、浜地は真っスラ気味のストレートが武器になっている投手だ。27位の鍬原拓也(読売)もチーム方針からか救援での起用が続いているが、先発としてのポテンシャルを感じる奪三振能力の高い投手だ。ただ救援に落ち着いた場合も優秀なセットアッパーになる可能性は高い。

22位の伊藤裕季也(DeNA)は二塁を守る選手ながら、長打力のある選手だ。ただ182cm96kgという大柄な体格もあり、二塁守備ではやや鈍重に見える。三塁手に落ち着く可能性が高いかもしれない。

24位の高木渉(西武)、26位の濱田太貴(ヤクルト)は打撃に秀でた外野手だ。高木はコンタクト面に課題はあるが、真芯に当たったときの打球スピードや飛距離はかなりのもので、今季はファーム276打席で12本塁打を放った。濱田は高卒新人ながらファームで打率/出塁率/長打率が.254/.316/.393の好成績。ライト方向に飛ぶ打球に伸びがあり、さらにスイングを崩されることも少ない好打者だ。ただフライ処理は不安定で、今後一軍に定着するには守備面の改善は欠かせない。

昨季のドラフトの目玉・根尾昂(中日)は28位とした。ルーキーイヤーはファーム108試合で444打席に立ち、打率/出塁率/長打率が.210/.266/.298。当初の期待からするとやや物足りない成績に終わっている。打撃は三振のリスクを恐れず強振するスタイルだが、それにしてもスイングを崩される場面が多く、またこのスタイルでそれほど長打が出ていない点も気にかかる。守備面でも遊撃手としてはやや俊敏性に欠けるほか、強みとされたスローイングもかなり不安定だ。高校時代は身体能力を高く評価する声があったが、プロの遊撃手に混ぜるとその面でもそれほど優れているようには見えない。一軍の遊撃手として活躍するにはまだかなりの時間が必要なように思える。

29位の佐藤龍世(西武)は今季一軍で中村剛也の控えを務めた三塁手だ。佐藤の強みは非常に高い三塁守備能力で、今季は一軍で175 2/3イニング三塁を守りUZR 4.9を記録した。三遊間の守備範囲が抜群に広く、またスローイングにも安定感がある。球界でも最高レベルの三塁守備と言っていいのではないだろうか。一方で打撃面は一軍レベルでは十分ではなく、レギュラー獲得には攻撃力の向上が必須になる。

ランキング30位はDeNAの勝又温史とした。好調だった春先は二軍レベルでは完全に頭一つ抜けた投球を見せていた。この調子を維持できていれば、間違いなくランキング10位以内に入れていたが、5月以降は調子を落とし、結局そのまま1年目のシーズンを終えている。シーズン中にかなり投球フォームが変わっており、現時点ではかなり不安定な状態だ。ただ春先の投球を取り戻すことができれば、エースポテンシャルの投手であることは間違いない。ややリスキーではあるがランキング圏内に残すことにした。


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