• 1.02 Column



パ・リーグの優勝争いが、いよいよ大詰めとなりました。9/26のオリックス戦に4-3で勝利した日本ハムに対し、この日ロッテと戦っていたソフトバンクが延長戦の末2-3でサヨナラ負けを喫してしまい、日本ハムの優勝マジックはとうとう「1」に。本日予定される試合で日本ハムが西武に勝つか、ソフトバンクがロッテに敗れるか、両チームともに引き分けるかで日本ハムの4年ぶりのパ・リーグ制覇が決定します。



<セ、パ両リーグの順位おさらい>


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9/21と22に行われた首位攻防戦前は、どちらかといえばソフトバンクの方が優勢で、9/14に首位を奪回。9/19のオリックス戦では、土壇場9回に同点に追いつき、トップを譲りませんでした。しかし、日本ハムは9/21の直接対決で大谷翔平投手の好投と陽岱鋼選手のスーパーキャッチなどで2-1と勝利。ここで再び首位が入れ替わり、9/22にも中田翔選手の2ランなど効果的に得点を挙げた日本ハムが連勝。この時点で優勝マジック「6」が点灯しました。


崖っぷちに立たされたソフトバンクは、その後敵地での西武3連戦の2つを取りゲーム差を詰めましたが、9/25のカード3戦目に先発したバンデンハーク投手が誤算となり、手痛い黒星。一方、日本ハムは本拠地札幌ドームの楽天3連戦に臨み、初戦こそ2-4で惜敗しましたが、1勝1敗で迎えた9/25は苦戦する中、大谷翔平投手の同点打が飛び出しゲームは振り出しに。延長戦に突入し、またしても大谷投手のヒットで突破口を開くと、最後はワイルドピッチで大谷投手がホームイン。日本ハムが着々とマジックを減らし、ついに王手を掛けたのです。


パ・リーグ最後のCS枠争いは、9/24にロッテが出場権利を獲得。伊東勤監督は報道陣に対し「驚くような手を打っていく」と、CSに向けて策を練っているようです。故障者続きだったブルペンに大谷智久投手が戻り、ファーム公式戦では西野勇士投手も実戦に復帰しています。また、最多勝のタイトルに手が掛かっていた石川歩投手は、コンディションを優先し公式戦最後の先発を回避。チーム得意の下剋上が、今回もまた見られるでしょうか。


セ・リーグは、9/19にDeNAが球団史上初のCS進出が決定。勝率5割未満のAクラスにはやや物足りなさも感じましたが、2位巨人と対決した9/23~24は筒香嘉智選手、ロペス選手に3本のアーチが飛び出すなど巨人投手陣を粉砕。これでチームは勝率5割に届き、CSファーストステージ開催権を持つ2位まで1.5ゲーム差に詰め寄りました。今後の日程は巨人が5試合、DeNAは2試合を残しています。9/29には今季限りで現役引退を表明した三浦大輔投手の引退試合も控えています。チームを長年支えてきたエースの最後の檜舞台と2位確保。DeNAの挑戦はまだまだ続きます。


中日は、9/25の阪神戦に1-4で敗れリーグ最下位が決定。球団創立80周年に80敗を記録する不名誉なシーズンとなってしまいました。また、一部報道で小笠原道大2軍監督の昇格が噂され、球団は近いうちに新監督を発表するようです。




<ファーム有望株の動向>


9/25日にファーム公式戦の全日程が終了し、10/5からフェニックス・リーグが始まる予定。各球団の若手選手たちには、もう一ヶ月育成の舞台が用意されているわけですが、ここで今シーズンのファームをいくつかのデータで振り返ります。


~ファーム公式戦の得点推移~

今シーズンのファーム平均得点はイースタン、ウエスタン合わせて4.16で、これは9/25時点での1軍(セ、パ)の平均得点よりも若干高くなっています。2005年からの推移を見ても、ファームの平均得点は毎年必ず1軍平均を上回っており、統一球の反発係数が問題になった2011年、2012年シーズンは1軍と同様に平均値を下げましたが、その後は上昇傾向にあります。



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ファームの得点力が1軍よりも高い理由は、別途分析が必要ですが、一つの要因として各球団のファーム本拠地が土と天然芝のグラウンドを基本とし、人工芝のグラウンドの多い1軍の本拠地より打球処理が難しい点が考えられます。そのため、上記期間における1軍とファームの失点に対する自責点の割合(非自責点)は、毎年ファームの方が高く、失策が絡む失点が多いことが見えてきます。これ以外にも、チーム打率や長打の発生する確率、盗塁成功率、投手の起用人数に大きな違いがあるようなら、ファームの平均得点値が高い原因が分かるかもしれません。今シーズンのファームは、2005年以降の集計の中で得点値はやや低く、非自責点の割合は期間最高の水準を記録したようです。



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~ブレイク候補(打者編)~

今シーズンOPSが格段に向上した選手たちをピックアップ。昨シーズンまでのファーム通算OPSから.100以上アップしたケースを対象としています。



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一覧の中でまず注目したいのは外崎修汰選手(西武)。9/25に1軍昇格を果たし、さっそくその試合で今季1号3ランを放ったのは記憶に新しいところです。今シーズンの外崎選手は開幕1軍に選ばれ、3/25オリックスとのオープニングゲームでは「9番遊撃」でスタメン出場を果たしましたが、4月終了時点で打率.156と精彩を欠き、5/18には1軍登録を抹消されました。ファームでは、新人の呉念庭選手が台頭し、遊撃のポジションを奪われる形になった外崎選手は、アマチュア時代から売り物としていた長打力に磨きを掛け、8月後半から打棒が爆発。8/28からの7試合で7本塁打と大暴れしました。ファーム公式戦を終えた外崎選手の打撃成績は、OPSが前年度から245ポイントも上昇。リーグ平均値を超える四球率、昨シーズンはイースタン・リーグの盗塁王に輝いた機動力も健在で、今後ブレイクするきっかけを掴みました。


昨シーズンまでの平均OPSから、一気に405ポイントも上昇させたのは園部聡選手(オリックス)。2013年のドラフト3位で入団しながら、プロ1年目のシーズン終了後に右肘の手術を受け、一旦戦力外通告を受ける形で育成登録に変更。2年目は夏場から戦列に復帰し、無事シーズンを終えましたが登録は育成のまま。3年目の今シーズンは、6月に打率.301、6本塁打を記録してファーム月間MVPに選出。この活躍が認められ、7/1には待望の支配下登録復帰を果たしました。7/3にはじめて1軍に昇格し、その日のロッテ戦でプロ初安打をマーク。一旦はファームに落ちましたが、最終的には打率.299の好成績を残し、9/11より再び1軍でプレーしています。


ほかにも、イースタンの打点王に輝いた岡本和真選手(巨人)、ウエスタン本塁打王の陽川尚将選手(阪神)ら、打撃成績を向上させたのはプロ3年目未満の選手が多いようです。ここがまさにブレイクのポイントといいたいところですが、1軍に定着するにはポジションの兼ね合いや守備力も鍛えなければならず、また巡り合わせも必要です。また、1軍と2軍の間には厚い壁が存在するとも言われ、ファームでどんなに打っても1軍では通用しない選手が過去に何人もいました。ただ、打者としての信頼を得るには結果(成績)が重要なのも確かで、ファームで結果を残し実力を証明した選手には、チャンスが巡ってくるのは明らかでしょう。





~ブレイク候補(投手編)~

投手はドラフトで獲得した即戦力の比重が高く、近年は高卒ルーキーでも1年目から1軍で投げる光景が珍しくありません。そのため、ファームでの活躍が1軍定着のきっかけになる確率は野手よりも少ないようですが、今シーズンのパ・リーグで新人王候補にも挙げられている高梨裕稔投手(日本ハム)や、開幕からローテーションの一角を担った二木康太投手(ロッテ)らは、ファームでの実績が評価され、現在の立場を確保しています。ここでは育成対象となる若手の中で、イニング数の多い投手をピックアップしてみました。



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成績面で頭一つ抜けているのが笠原大芽投手(ソフトバンク)。4シームと2シームを使い分ける速球は威力があり、緩急を上手く使う投球フォームも打者を幻惑させるのに一役買っているようです。今シーズンはウエスタンの奪三振王に輝き、その他の成績もリーグ上 位を占める活躍でした。球団は、笠原投手を次代のローテ候補と捉えているようで、笠原投手が先発した試合は平均6.44イニング。QS率は72%を記録しています。


ファームでは故障者が少なければどの球団でも20人近くの投手が待機しているため、先発投手のイニング分担は少なくなるのが普通です。その点で、3軍を持つソフトバンクは余剰人員を上手く振り分け、ファームのローテーション投手に長いイニングを任せることが可能になっています。これは、同じく3軍を設立した巨人や、育成試合を多く組んだ楽天にも似たようなことがいえます。


プレーの質が一段も二段も高い1軍では、ファームでの試合に比べ三振が取れなくなり、強打者を警戒する余り四球が増えることが容易に想像出来ます。K/9は9点台以上、BB/9は2点台以下ならじゅうぶん合格点。その上で球数消費の少ないピッチング(P/IPで15球以内が目安)を続けることが出来ればファームは卒業しても良いレベルと言えるでしょう。そうした点でも今シーズンの笠原投手、三ツ間卓也投手(中日育成)は来シーズンへの期待が持てる成績です。


投手に関しては、ファームの成績を基に1軍で通用すると太鼓判を押すレベルはかなり高いものになります。昨年だと千賀滉大投手(ソフトバンク)のような成績(防御率1.99、QS率83%)であれば文句なしです。好成績を残し、かつファームのローテを守り続けた投手というのは、悪く言ってしまえば1軍昇格のきっかけを掴めなかった理由が存在します。(1軍のローテに)空きが無かった、チャンスをフイにしてしまった、故障に泣かされたなど、ここでもやはり巡り合わせは大切です。来月からフェニックス・リーグが控えていますが、そこでもう一段レベルアップした選手が、球団期待のブレイク候補として認められるのは言うまでもないでしょう。


ファーム関連のデータにつきましては、今後も1.02のコラムやDELTAのメールマガジン<Delta's Weekly Report>にて紹介させていただく予定です。

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