2017年、二軍で43試合158打席と出場機会は少ないながらも、打率/出塁率/長打率が.358/.395/.615と好成績を残した西武・愛斗。昨季は一軍での活躍も期待されたが、二軍で.250/.282/.424と成績を下げた。愛斗はどれほどの能力、ポテンシャルを持った選手なのか。DELTAアナリストの山崎和音氏が
20-80スケールでのリポートを作成した。
選手プロフィール
名前:武田愛斗
生年月日:1997年4月6日
投/打:右/右
身長:178cm
体重:84kg
経歴:花咲徳栄高 – 2015年ドラフト4巡目
https://www.youtube.com/watch?v=56gdXhUtIOw
体格
下半身の筋肉がかなり発達しており、公称の体重以上にしっかりした体格という印象を受ける。体はほぼ完成しており、今後体格が劇的に変化するということはないだろう。身体能力はずば抜けており、生まれついてのアスリートだ。
打撃
バットスピードは非常に速く、日本人選手ではトップクラス。フィニッシュが大きいため大振りに感じるかもしれないが、トップからインパクトまでは最短距離で出ており、スイング自体は非常にコンパクトだ。芯で捉えたときの打球の速さは驚異的である。
コンタクト能力も、速球に対しては優れたものを見せる。変化球に対しては対応能力は見せるものの、早いカウントや打者有利なカウントで当てるだけの打撃に走り、弱々しいフライやゴロアウトに終わる場面も見受けられる。
また、チェンジアップやフォークなど、抜いたボールの見極めに難があり、緩急に対応できていない。この点は昨季の春からシーズン終盤までであまり成長が見られなかった。現状のレベルから察するに、今後この点において成長を見せたとしても、一軍のトップレベルの投手と渡り合えるようになるとは思えない。
現状 30/将来 45
パワー
前述した強靭な下半身と傑出したスイングスピードから生み出されるパワーは特筆すべきものがある。ただツボにはまった時の打球は凄まじいが、現状そのパワーが最も発揮されるのはゴロやライナーなどの角度が低い打球の場合が多いように感じられる。ホームラン打者へとステップアップするにはもっと角度を付けた打球をコンスタントに打つ必要がある。
純粋なパワー:現状 70/将来 70
試合で発揮されるパワー:現状 40/将来 55
走塁
平均以上のスピードの持ち主だが、スイングのフィニッシュが大きいことに加え、レッグガードを装着しているためか、一塁まで全力疾走することは滅多にない。したがって、本塁と一塁間のタイムにそのスピードが現れることはない。
また走塁の技術に関しても特に優れているわけでも、劣っているわけでもなく、あくまで平均的な走者という印象だ。積極的に盗塁を仕掛ける傾向もなく、ベースランニングによって大きなプラスマイナスをつくる選手ではなさそうだ。
現状 50/将来 55
守備・肩
主に中堅と右翼を守る。前述のように素晴らしい身体能力を兼ね備えているが、中堅守備に不可欠なインスティンクト(生まれついての勘)が欠けており、打球の読みやコース取りが怪しい場面が散見される。打球に対するスタートの早さも中堅のレギュラーレベルとは言い難い。特に、秋山翔吾の守備を見慣れているライオンズファンの眼にはかなり危なっかしく映るはずだ。
肩の強さ、送球の正確さともに右翼を務めるには充分なものがあるので、こちらのほうが適正だろう。ただ、右翼でも優れた守備者とは言い難く、むしろ多少のマイナスになるかもしれない。
守備:現状 40/将来 45
肩:現状 70/将来 70
総合評価
十分な才能を秘めるが、まだまだかなり粗削りで、一軍定着にはもう少し時間がかかりそうだ。現状はリプレイスメントレベルと言わざるを得ない。開幕直後に22歳を迎えるまだ若い選手であるため時間の猶予はあるが、誕生日は4月6日と、同学年の中でもかなり早い。伸びしろも多少低めに見る必要があるだろう。
ただそれでも一軍のレギュラーへと成長するだけのポテンシャルはある。アプローチを改善し、速球系以外の投球への対応を身につけることができるかどうかが鍵だ。改善できなければ代打要員のレベルに落ち着いてしまう可能性も十分あるため、あまり期待を高く持ちすぎると裏切られるかもしれない。
また、守備の項目で述べたように、守備面で大きなプラスを作れる選手になる可能性はかなり低い。度々小さな故障で離脱している点も不安だ。すべてが上手くいっても、リーグ全体の勢力図を1人で変えることができる選手にはならなそうだ。
現状 30(リプレイスメントレベル)
将来 45(ムラの多い一軍レギュラーまたは上位チームのプラトーン要員)
ポテンシャル 55(打撃では両リーグのトップ20に入るが、守備は平均以下のレギュラー)