• 1.02 Column



NPBの有望株選手“プロスペクト”を選びランキングする本企画、昨年11月以来の第2回目の配信となる。今回は春季キャンプやオープン戦の動向をチェックしながら高多氏、DELTAのビデオ班が協議を行い、将来のプロ野球界を背負って立つのは一体誰になるのか、開幕前の展望を行った。

評価の定義


新人王の予想とは違い、「各選手のキャリアのピーク時をイメージした評価」が前提となります。即戦力と期待される大卒、社会人出身の選手と、高卒で伸びしろを感じる選手とでは、一軍定着の見込み時期に大きな違いが生じます。一方で、若ければ若いほど伸びしろが確かなのかというと、そうでもありません。アマチュア時代の期待値は高かったにもかかわらず、プロの世界に入り評価を下げてしまうという話は枚挙に暇がありません。今季1年目のルーキーに対する「プロのスピードや技術についていけるのか」という判断は、実際にプレーしてみないと確認のしようがないことから、キャンプやオープン戦では彼らのプレーを注視しました。

今回は11名もの選手が新たにランキングされています。評価ベースを広げたことが最も大きな理由ですが、守備に関する評価を少し重くする新たな試みも影響しています。また、今回は各選手の“セールスポイント”の表示を行い、以下のツールについてそれぞれに「優」(オレンジ)、「良」(水色)と2段階評価を行っています。


打者評価………長打力、コンタクト、選球眼、スピード

投手評価………速球、変化球、制球力、打球管理、耐久性、スタミナ

守備評価………レンジ(守備範囲)、アーム(肩の強さ)、捕球


対象とした選手の基準


2017年度中で25歳以下(プロ1年目の選手のみ適用しない)

投手は一軍通算100イニング未満もしくは50試合登板未満

野手は一軍通算300打席未満


NPBの新人王有資格者と違うところは、プロ6年目以上の選手でも対象となる点と、イニング数や打席数で猶予を設けている点です。プロ在籍年数よりも年齢に重きを置いたのは、「高卒は育成、大卒以上は即戦力」という通念を意識したためです。25歳という基準は「規定打席到達経験者の63.5%は26歳まで(ドラフト制導入以降に入団した選手が対象)に到達」していたという事実(注1)を鑑みて設定しました。

イニング数や登板数、打席数の基準設定については、すでに新人王を獲得したような実績ある選手が入ってこない基準でありながら、若手の能力を見極めるに足るものをという主旨で設定しています。もちろんこの基準を上回っても一軍に定着しない、プロスペクトと言っても差し支えない若手も存在しますが、どこかで線引きをしなければならない事情もあります。2015年のシーズン終了時点で一軍通算320打席だった鈴木誠也選手(広島)が、翌年に大ブレイクを果たしたケースも存在するなど、基準を設けることでこうした漏れが出て来るのも確かです。その点はご理解ください。

では、さっそく今回のトップ・プロスペクトを見て行きましょう。


12球団最高の有望株はあのスラッガー トップ・プロスペクト1~10位まで


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全体1位は吉田正尚選手(オリックス)としました。昨オフに台湾で行われたアジアウインターベースボールリーグでの大活躍や、プロ1年目の成績から、将来どころか今シーズンにも4番に座るのでは? という期待を集めている選手。ただし、評価は満場一致というわけではなく、筆者は寺島成輝投手(ヤクルト)を1位としていました。それでも、打力に関する信頼は非常に高く、持病化している腰痛を含め故障のリスクさえ回避できれば、日本代表の有力候補にもなるでしょう。

上林誠知選手(ソフトバンク)はオープン戦で一軍に帯同。打率は.243に終わりましたが、3月20日のDeNA戦では特大のホームランも放ちました。ハイレベルな5ツールプレーヤーで、打球の滞空時間は外国人選手なみのレベルを記録しています。弱点とされるのは選球眼くらいで、今シーズンはレギュラーの座に手をかけていくことで注目を集めそうです。田中正義投手(ソフトバンク)は、前回からやや後退して3位に。キャンプ中にフォームを崩してしまい、現在はリハビリ組に交じり再起を図っているところ。この段階では、評価を一気に落とすわけには行きません。

4位以降も、前回トップ10入りした選手たちが並んでいますが、多和田真三郎投手(西武)は昨季98 2/3回で資格を維持。奪三振と打球管理能力の観点から評価を見直しました。西川龍馬選手(広島)は守備の評価でポイントを稼ぎました。昨季の三塁UZRは-3.1と低かったものの、DELTAビデオ班は「三塁手としてのレンジ(守備範囲)の広さはゴールデン・グラブ級のポテンシャル」と評価。打撃のほうもコンタクト、選球眼に優れており、出場機会に恵まれれば今季注目の若手の1人になると見ています。


阪神の若手は速球派揃い トップ・プロスペクト11~20位まで


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11位以降では、高橋純平投手(ソフトバンク)と佐々木千隼投手(ロッテ)、小笠原慎之介投手(中日)が評価を落とす格好となりましたが、高橋投手は速球以外でも成長が見られれば再浮上も十分可能。佐々木投手は、ドラフト前に評価されたほど速球に力を感じない点など、スペック的に疑問符がつきました。小笠原投手は、左肘遊離軟骨除去手術の影響はともかく、球威の面でもうひと伸び欲しいところはありました。3年目を迎えた安樂智大投手(楽天)は、制球力と変化球で大きく成長し、高校時代の球威が戻れば期待はさらに大きくなります。それだけに、右大腿二頭筋部分損傷により長期離脱を余儀なくされたのはチームにとっても痛い出来事でした。関根大気選手(DeNA)もキャンプ、オープン戦で急成長したといっていい存在。ただし、開幕を一軍で迎えたとしてもチームの外野陣は埋まっており、4年目となる今シーズンも出場機会に恵まれないようであれば、ブレイクの機会を逸してしまいそうなのが気がかりです。


注目新人が多数ランクイン トップ・プロスペクト21~30位まで


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24位とした岡田明丈投手(広島)は、奪三振や打球管理のデータからこの位置に落ち着きましたが、オープン戦では力感溢れるピッチングを披露。一軍投手としてのデータが残っている分、過小評価となっているかもしれません。石井一成選手(日本ハム)は、オープン戦を見た限りでは二塁で広い守備範囲を見せており、打撃でもまずまずの結果を残しました。一軍定着を懸けて争うことになりそうな渡邉諒選手(日本ハム)は、より攻撃力に特化した選手で、ファームでは優れた選球眼も発揮しています。

出場機会の面で苦労しそうなのは野間峻祥選手(広島)と笠原大芽投手(ソフトバンク)。野間選手はアームとスピードでは一軍でも上位に食い込めるほどの素材ですが、昨季は同じ右翼を争っていた鈴木誠也選手が台頭。今季も右腹斜筋挫傷のケガで出遅れている間に堂林翔太選手(広島)が外野コンバートを成功させ、自身は3月29日のファーム公式戦でようやく実戦復帰を果たしたという状況です。笠原投手は昨季、ファームで抜群の成績を残していましたが、分厚いデプスを誇る一軍先発陣に割り込む隙はなく、中継ぎとして自身初の開幕一軍入りを果たしました。恐らくはビハインド時のロングリリーフなどを務めることになるのでしょうが、そこから実績を積み重ねていくのも悪くはないでしょう。


故障のオコエはランクダウン トップ・プロスペクト31~40位まで


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31位から40位にも、非常に興味を惹かれる選手が揃っています。オコエ瑠偉選手(楽天)は、右手薬指の故障を抱えたままキャンプに入ってしまい、首脳陣から叱責された挙句、手術により復帰まで3~4ヵ月はかかる見込み。前回から相当ランクを落としてしまいましたが、外野手に必要なスピードとアームのツールは非常に信頼に足るもので、挽回のチャンスはまだまだ残されています。

オープン戦で活躍した佐野恵太選手(DeNA)は、新人選手の中では“引っ張る”能力に長けた選手と評価。プロ1年目ながら開幕一軍入りを果たしましたが、自慢のバットでどこまでアピールできるのでしょうか。京田陽太選手(中日)も開幕一軍メンバーとなり、3月31日の巨人戦でもスターティングメンバーとしての出場が期待されています。打撃力はそれほど高くありませんが、守備では機敏な動きを見せており、捕球から送球への動作も素早く、起用法によっては有用な選手へと成長しそうです。

石川直也投手(日本ハム)も開幕一軍入りを果たしましたが、救援での起用が濃厚なだけに、角度のある真っ直ぐとフォークボールを生かし守護神候補にも。網谷圭将選手(DeNA)は育成枠ながらコンタクト力に優れ、アレックス・ラミレス監督も期待している若手の1人。捕手としてプロ入りを果たすも、現在は内野手に転向してファームの中軸を任されています。渡邊大樹選手(ヤクルト)は、二遊間を守れる貴重さに加え、打撃でも選球眼やコンタクト力で良いものを見せています。今季のファーム成績次第では、次回のランキングで上位に食い込むこともありそうです。


惜しくもランキングから漏れた選手たち


前回のリストから11名もの若手が漏れる形となりましたが、オフの間に評価そのものを落とした選手はほとんどいません。誰一人外したくない状況から、守備の評価に重きを置いた結果浮上した西川選手や、オフの間に評価が急上昇した網谷選手のような選手、小野泰己投手(阪神)や佐野選手のようなドラフト2位以下で入団したルーキーたちが、キャンプやオープン戦でプロのレベルを経験する中で評価が定まってきたことから、このような結果となりました。惜しくもリストから漏れた中には、床田寛樹投手(広島)や青柳晃洋投手(阪神)、鈴木将平選手(西武)、細川成也選手(DeNA)、髙濱祐仁選手(日本ハム)、三ツ間卓也投手(中日)といった面々がいました。恐らく今季は一軍に定着するであろう中谷将大選手(阪神)や三好匠選手(楽天)などは、年齢的に伸びしろの部分が小さいと考え、残念ながらリスト外となってしまいました。

なお、リスト上での順位比較はあまり重要なことではありません。MLBのプロスペクトランキングもそのようになっていますが、「現時点での伸びしろ」は球速や長打力、スピードといったフィジカルなツールが優れた選手ほど評価が高くなりやすく、制球力や選球眼のようなテクニカルな資質については、調査の時期などによって選手ごとの評価に差が生まれがちです。それぞれの選手が持っている強みが、一軍で花開くかはまさにここからが競争であり、低評価を覆すような選手が出現してきても、全く不思議ではないと考えています。


プロスペクトランキングから球団別の若手育成状況を探った「若手育成に長けた球団はどこだ プロスペクト球団別評価」に続く。

(注1)岡田友輔ほか(2016)『セイバーメトリクス・リポート5』「起用年齢から見たプロ野球育成とポジション争いの構図」(高多薪吾)水曜社

高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。
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