• 1.02 Column



早くも猛暑日が記録されるようになったこの時期のプロ野球は、ある意味コンディションとの戦いであるのかもしれません。打撲や捻挫といった怪我だけでなく、食中毒や熱中症にも気をつけなければならない季節です。中でも怖いのは、体調不良にも関わらずプレーを続行し、大きな故障を招いてしまうこと。既に、慣れない気候と風土により体調を崩した外国人選手や、怪我人も絶えない模様。コンディションを維持するには、スタミナをつける以外にも如何にして選手を休ませながら戦うなど、球団の運用が大切に感じます。


今回の1point02レビューは、6/24から7/3までのペナントレースについてです。




<セ、パ両リーグの順位おさらい>



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交流戦が終了し、リーグ戦が6/24から再開し、ここまで3カードの対戦がありました。試合数は少ないものの、大型連勝や連敗を記録する球団が現れ、順位変動は激しいものになりました。


セ・リーグは、独走態勢に入った広島が依然として好調で、6/24の西武戦から6/29のヤクルト戦に掛けて11連勝。球団では1984年以来32年ぶりの快進撃でした。この年は、中日との激しいデッドヒートを演じた末、4年振りのリーグ制覇を果たし、日本シリーズでも阪急(現オリックス)を破り日本一に輝いた縁起の良いシーズンで、気の早いファンでなくとも何かを期待せずにはいられないでしょう。7/2のDeNA戦で左肩を負傷した菊池涼介選手の状態は心配ですが、今の広島はレギュラーが1人や2人が欠けても、それほど戦力が低下しないデプスを構築しています。付け込む余地があるなら、外国人投手に依存しがちなブルペンでしたが、球団はMLB経験の豊富なスティーブ・デラバー投手の獲得を発表。余程のことが無い限り、チーム力が激しく落ち込むことはなさそうです。


2位以下は変わらず混戦状態ですが、一時は借金が10以上と苦しんでいたヤクルトが、この期間を6勝2敗で乗り切り、5/22以来の最下位脱出となりました。6/26の中日戦でチームメイトとトラブルになったオンドルセク投手を謹慎させる厳しい処分を下しながら、代役クローザーの秋吉亮投手が早くも3つのセーブを稼ぎ、チームにまとまりが出てきたようにも見えます。 反対に、阪神は期間中2勝6敗と大きく負け越し、開幕戦を除けば今シーズンはじめて最下位に転落。大型連敗が無いのが救いで、投手陣は最低限のゲームメイクしているものの、長打力が影を潜めた打線は5/28の巨人戦を6-4で勝って以来、6点以上挙げた試合はありません。超変革の種が尽き、今後も厳しい戦いは続きそうです。


パ・リーグは、順位変動こそ少ないですが首位ソフトバンクから3位ロッテまでのゲーム差が7.0差に。前回レビュー時は、3位日本ハムと11.5差も離れていたので、優勝争いの興味が何とか持続した格好です。その原動力となった日本ハムは、6/19中日戦から10連勝中。7/1からのソフトバンク3連戦は首位チームにはじめて3タテを食らわせました。7/3のカード最終戦では、先発の大谷翔平投手が1番に入り先頭打者本塁打。投手で打席に立ち、野手顔負けのバッティングは首位チームでさえも恐怖に陥れました。


元気が無くなってきたのは西武で、6/12に勝率5割に復帰した後の16試合で3勝13敗、交流戦明けは6連敗を含む2勝7敗とチーム状態が芳しくありません。開幕からリリーフに回り、ロング救援など大車輪の働きをしていた牧田和久投手が故障で1軍登録を外れた後、先発を無理に引っ張る試合が増えたのが後退の主な理由。6/24のロッテ戦は、5回まで1失点だった高橋光成投手が6回に一挙6点を奪われ逆転負け。6/27の日本ハム戦も、7-3と4点をリードしながら岸孝之投手を140球まで引っ張り試合を引っくり返されるなど、ゲーム中盤での投手起用が課題です。


オールスター前までを前半戦とすると、両リーグの残り試合は7~9試合。セ・リーグはDeNA、パ・リーグは西武とオリックスが9連戦を予定しており、ここが一つの山場となります。広島は日程に余裕があり、敵地で5試合が組まれていますが、甲子園での阪神戦はここまで4勝2敗と相性が良く、それほど苦にはならないでしょう。巨人は本拠地での6連戦をなんとか勝ち越したいところ、ヤクルトは全て屋外球場での試合で、暑さ対策も鍵となります。


パ・リーグでは、ソフトバンクが敵地でオリックス、本拠地で楽天とそれぞれ3連戦を予定し、下位チームから着実に貯金を増やすチャンス。日本ハムとロッテは直接対決3連戦があり、この2チームが星を潰し合う間に再びゲーム差が開いてしまう恐れもあります。




<各球団の戦力値>

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前回レビュー時からの9試合で救援失敗の無かった広島が、とうとう全部門で平均以上をマーク。平均得点及び失点どちらもリーグトップで、チームUZRも大きく前進しています。ヤクルトは平均失点とチーム防御率、チームUZRが少しずつ改善され、主砲山田哲人選手は早くも28本塁打。7/2と7/3に秋田で行われた巨人戦のように、山田選手の本塁打が貴重な場面で飛び出すと、戦力値以上の星勘定を弾き出すことも不可能ではないようです。


故障で戦列を離れていた主力選手が戻って来た球団が、どこまでチーム力をアップさせるかも今後の注目点です。巨人はマイコラス投手が6/25のDeNA戦から復帰。登板した試合でチームは勝っていませんが、先発陣のコマ不足が深刻だった巨人にとって、菅野智之投手と並ぶエース格の復活はプラス材料。ただ、例年と比較しても守備力に難のある現在のチーム状態で、マイコラス投手に昨シーズンのような快進撃を期待するのは難しいかもしれません。



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パ・リーグは、ソフトバンクの平均得失点差が前回レビュー時の1.63から1.38へと下がり、特に平均得点は0.18ポイント下降。好調日本ハムは平均得失点差が1点を超え、平均失点3.36はソフトバンクに肉薄していますした。大谷投手は6月以降の5試合で防御率0.23、39.0イニングを投げ失点はわずか1点とこれぞエースの数字。交流戦の終盤から守護神となったマーティン投手も、クローザー昇格後は無失点を続けています。


Bクラス3球団の中で戦力値が徐々に上がっているのが楽天。平均得失点差は-1.04⇒-0.84⇒-0.77と改善中で、6月以降のチーム救援防御率は2.54とブルペンが安定感を取り戻したことで、ゲームが荒れることが少なくなりました。右手裂傷出血の負傷により1軍登録を抹消された茂木栄五郎選手の穴埋めは容易ではありませんが、7/3から今江敏晃選手が復帰。得点力改善に貢献できるか、期待が集まります。





<接戦に強いチームはシーズンで有利?>



テレビの野球中継やスポーツ紙、専門誌などの論評で「強いチームは接戦で勝つ。弱いチームは接戦に弱い」という言葉を見かけることが良くあります。中には、1点差ゲームの勝率を引き合いに出し、上位チームの強さを説明する題材にも使っています。今シーズンのペナントレースで、そうした格言が当て嵌まっているかどうか、現時点での色々なパターンでの点差別勝率を見てみましょう。



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1点差ゲームで最も強いのはソフトバンク。17勝8敗の勝率.680は年間勝率.706と変わらず、その他のパ・リーグ5球団は全て1点差勝率5割未満です。今シーズンのソフトバンクは、先発投手の勝ち星が消えたゲームが3試合、先発がクォリティ・スタートを記録しながら敗戦投手となったゲームは、先日の日本ハム戦で東浜巨投手、中田賢一投手が記録してようやく3試合という状態で、ほぼ理想通りの試合運びをしています。一方、日本ハムは1点差試合で11勝17敗と大きく負け越し、格言通りなら弱いチームの定義に該当します。しかし、戦力値のデータを見ればわかるように、チーム全体の成績はどれも平均以上で、決して弱いチームではないことは誰の目から見ても明らかでしょう。


セ・リーグは、1点差ゲームの勝敗と実際の順位がさらにランダムな傾向を示しています。首位広島よりも、勝率5割未満のDeNAと巨人が優勢。サンプル数が少ないことで、この数字も完全に信頼できるものではないのかもしれませんが、接戦に強いことがチーム力をそのまま指すわけではないことは理解いただけると思います。



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今度は大勝した試合の成績ということで、4点差以上ついた状況での勝率です。ここでは勝率5割以上のソフトバンク、広島、日本ハム、ロッテが大きく勝ち越しており、特にパ・リーグは実際の順位と非常に似た傾向となっています。巨人は1点差ゲームに強い分、大差で負ける試合も多く、この辺は昨シーズン得失点差マイナス85点でもリーグ3位に喰いこんだ阪神と似たチーム状態かもしれません。ソフトバンクは、7/2の日本ハム戦に0-4で敗れましたが、4点差以上ついての敗戦は6/1の中日戦以来30日ぶりと、ここ最近の戦いは負けても接戦に持ち込むゲーム展開が、チームの強さを現していました。


ここで、1点差ゲームと4点差以上ついたゲームに年間勝率を合わせたデータを見てみましょう。



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年間勝率と比較して、1点差ゲームでの勝率の方が明らかに高い球団は「接戦型」、4点差以上での勝率が高いのは「大勝型」、3つの勝率区分がほぼ変わらないのが「均等型」として分けると、


接戦型・・・巨人、DeNA、楽天、オリックス


大勝型・・・広島、日本ハム、ロッテ、中日


均等型・・・ソフトバンク、西武、ヤクルト、阪神


という球団ごとの戦い方が見えて来ます。ソフトバンクとヤクルトは同じタイプとなりますが、実際の勝率は大きく離れていますが、開きが出ているのは2~3点差での勝率が原因です。データ上では接戦に強いといっても良い巨人は、1点差ゲームでの勝率が年間勝率を大きく超えているため、戦力値以上に勝率が高い状態です。これは、ピタゴラス勝率を使っても読み取ることが出来ますが、勝てそうな試合はゲーム終盤にマシソン投手、澤村拓一投手らを継ぎ込み確実に取る一方、明らかな捨てゲームもあるということ。そのため、今シーズンの巨人は「ピタゴラス勝率よりも弱くないが、決して強いチームとはいえない」印象を与えているのだと思います。



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このように、1点差試合に強いデータのある球団は、「実際の戦力値よりも高い勝率をマークする可能性があるチーム」と表現するのがより的確で、シーズンそのものを左右するデータには成り難いことを理解した方が良いでしょう。反面、1点差試合で苦戦を強いられている広島や日本ハムが、この数字を一気に伸ばしてくるようだと、優勝争いに影響を及ぼすことになるでしょう。

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