2020年のドラフト会議でヤクルトからドラフト1位指名を受けた木澤尚文。2月3日のブルペンでは33球を投じ、その投球を青木宣親に絶賛されたことが報道されるなど幸先のいいスタートを切っている。今回はDELTAアナリストの山崎和音氏が木澤について、20-80スケールでのリポートを作成した。各グレードにどの程度の選手が該当するかは以下の記事を参考にしてほしい。
選手評価の20-80スケールをNPB選手に当てはめるとどうなるか

選手プロフィール


名前:木澤尚文 (きざわ なおふみ)
生年月日:1998年4月25日
投/打:右/右
身長:183cm
体重:85kg
経歴:慶應義塾高-慶應義塾大-ヤクルト(2020年ドラフト1巡目)
現地観戦日:2018年9月23日、2019年4月14日、4月28日、2020年10月24日



体格及びメカニクス


体格はほぼ完成されており、プロの先発投手として申し分ない。

ランナーがいなくてもセットポジションから投球する。セットポジションでは右ひざを軽く曲げ、重心はやや二塁寄りだ。また、ドラフト直前の試合では、ドジャースのダスティン・メイほどではないもののセットポジションに入る際に軽くスクワットのような動きを見せていた。腕の角度は高めのスリークウォーターで、背筋は投球動作を通じて真っ直ぐに伸びている。ただし、打者方向に体重移動する際には少し前傾気味だ。また、少なくとも肉眼で見る限り投球動作の初動(前足を上げることがこれにあたる)で作り出したエネルギーを、腕の振りの速さに効果的に伝えられている。ただ、やや力みがあるようにも見えた。結果として時折バランスを崩し、リリースポイントが乱れる場面も見られる。



速球


平均球速は146-148km/hほどで[1]、最速は152km/h程度だが、140km/h台前半まで落ちる場面もある。軌道はほぼ真っ直ぐで、時折わずかにアームサイド(利き腕側)に動く。制球は全体的に不安定で、調子が悪い日にはまったく狙ったスポットにいかないこともある。プロで先発として通用するかどうかは、速球のコマンド(制球力)を向上させられるかどうかが大きなカギとなりそうだ。ただ、今のところ一軍平均以上になるとは考えにくい。球速からすればもう少し将来のグレードを高く評価してもいいのかもしれないが、コマンドの不安定さを考慮してやや低めの評価とした。


将来のグレード:50
 

スライダー/カッター


2019年春は133-135km/hほどで、打者から見て時計の針の11時から5時方向への変化を見せていた。しかし、2020年秋には138km/h前後でより縦の変化成分が大きくなっていた。球速・変化量ともにかなり変化しているが、本稿ではこれを同一球種として扱う。球質はいずれも一軍平均以上。ただ、登板ごとで制球や変化の幅にかなりばらつきがある。調子のいい日は甘いコースを外しつつ(ただし精密機械と呼べるような制球力ではない)空振りを奪う武器として有効だが、不調の日にはまったく制球できていない場面も見受けられる。


将来のグレード:55
 

フォーク


球速は134-140km/hほど。落ち幅は現時点でもすでに一軍平均以上。奥行き(打者が見てどれだけ近くで落ちはじめるか)もあり、特に左打者に対しては有効な武器になりそうだ。プロレベルにおいても十分に決め球として通用するだろう。しかし、フォークもここまで紹介してきた球種と同様に制球や変化の幅は不安定だ。なお、2巡目以降では投球の大半がこのフォークとスライダー/カッターになるイニングもある。


将来のグレード:60

カーブ


球速は115km/hほどで大きな弧を描く軌道を見せる。見せ球としては有効だが、一軍レベルで決め球として通用するとは考えにくい。もしプロでブルペンに回るなら完全に捨てるべきだし、先発としても1試合で2~3球以下にとどめておくべきだろう。


将来のグレード:40
 

総合評価


個々の球種の質はかなり高い。また、左右双方の打者に対して武器となる球種がある点は大きな強みだ。全体的な不安定さ、特に制球力を改善できるかどうかが今後の成長を左右することになるだろう。ただ、現状木澤が一軍平均以上の制球力を身につける可能性はあまり高くないように思われる。もし先発として起用されるとすれば、キャリアを通じて物足りなさを感じさせる投手になるかもしれない。現実的には両リーグトップ20程度のリリーバーに落ち着きそうだ。また、高校時代に重大な肩と肘の故障を経験している点も気がかりだ。


現実的なシナリオ:45(先発4-5番手もしくは勝ちパターンのリリーバー)
OFP(理想的なシナリオ):55(先発2-3番手もしくはクローザー)

[1]球速は神宮球場のスピードガン表示に基づく

山崎 和音@Kazuto_Yamazaki
バイリンガルに活動するライター。1.02以外にもBeyond the Box Score や、 Baseball Prospectus といったウェブサイトに寄稿。 BP Anuall 2018では日本野球に関するチャプターを執筆。セイバーメトリクス的視点からだけではなく、従来のスカウティングを駆使した分析もする。趣味のギターの腕前はリプレイスメント・レベル。
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