• 1.02 Column



前半戦、オールスターが終了したこの2週間。今回は各球団の戦力状況を整理しながら後半戦を展望する。前回は こちらから。(データはすべて7月16日時点)

セ・パ両リーグの順位おさらい


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7月12日をもってプロ野球の前半戦が終了。セ・リーグは昨季と同様に広島が独走態勢を固め、パ・リーグは楽天とソフトバンクの首位争いが続いています。今回は、各球団の前半戦終了時点での貯金数を昨季と比較し、前半戦の振り返りを行います。()内は矢印の左側が昨季の貯金、右側が今季の貯金となります。

広島(19→23)は5月28日以降、セ・リーグ首位の座を一度も明け渡さずに前半戦を終え、得失点差でも昨季の112に比べ今季は127と上回る数字を残しました。今季は、昨季リーグ優勝の立役者の1人だった黒田博樹が引退、過去2年間エースの働きを見せたクリス・ジョンソンは体調不良により長期離脱、昨季リーグMVPを獲得した新井貴浩も規定打席を大きく割るなど、マイナス要素を多く抱えながらです。世代交代を進めても成績が下がらないのは、実力がありながら控えに甘んじていた選手が多かったということ。故障などにより、実力をフルに発揮できなかった選手たちが潜んでいたのでしょう。野手では會澤翼や安部友裕、投手は薮田和樹といったような、ベテランと入れ替わっても遜色のない働きができる選手の存在と、適材適所の配置を実行したベンチワークが現在の優位をつくり出したといってもよいでしょう。

阪神(-10→7)とDeNA(-4→2)は、ともに昨季から成績を上げCS(クライマックスシリーズ)圏内をキープしています。主力選手の高齢化が心配されていた阪神でしたが、金本知憲監督が今季も埋もれた才能を発掘。秋山拓巳、桑原謙太朗といった中堅、ベテランに差し掛かる選手たちが大活躍しました。DeNAは、WBCでも活躍した筒香嘉智をはじめとした主力選手の調子が上がらない時期もありましたが、そこをチーム全体の力でカバー。今季初めて貯金を作ったのは7月1日というスロースターターぶりでしたが、これもアレックス・ラミレス監督が投手運用でコンディション維持を優先した結果だと見ておくべきでしょう。

Bクラスで折り返しとなった読売(-1→-6)、中日(-6→-7)、ヤクルト(-11/→-24)は、それぞれに苦しみを抱えた前半戦でした。読売は交流戦をまたいで、球団ワーストとなる13連敗を記録。新戦力が故障で出遅れ、また期待していた若手が思うように伸びなかったことが低迷の理由でもありました。一方、菅野智之や坂本勇人ら中心選手は至って順調。7月に入り、長野久義も11試合で5本塁打と調子を上げ、巻き返しの態勢は整い始めています。中日は投手陣が固定できませんでした。序盤はラウル・バルデスのフル回転に頼りがちでしたが、シーズンが進むに連れ小笠原慎之介、柳裕也ら若手が先発ローテーションに定着。不安定だったブルペンも交流戦以降は又吉克樹が先発から救援に再転向し、ようやくチームの勝ちパターンができあがってきました。ヤクルトは、春先に先発陣が健闘を果たすも、チームの売り物だったはずの打線が、山田哲人のスランプなどにより不発状態。さらに故障者も続出し、後半戦は選手を揃えるのにも苦労しそうです。


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パ・リーグの前半戦は戦前の予想に反して楽天が首位を快走。交流戦以降にゲーム差を詰めてきたソフトバンクとの一騎打ちが今後も繰り広げられそうです。楽天(-11→26)は昨季までの3年連続Bクラスから大きく躍進。8試合連続2ケタ奪三振の日本記録を樹立した則本昂大、27セーブでタイトル争いのトップを走る松井裕樹ら好調なシーズンを送っています。また開幕から茂木栄五郎とカルロス・ペゲーロの1、2番コンビが機能、森原康平や菅原秀といった即戦力新人の抜擢など、梨田昌孝監督の采配もズバリと的中しました。現在の勝率(.676)は得失点差から妥当な勝率を推定するピタゴラス勝率(.633)をかなり上回っている状態で、これを維持するためには、接戦を勝つ運も味方にしないといけないかもしれません。

ソフトバンク(30→23)は、7日からわずか2日間ではありましたが今季初の単独首位に浮上。それ以前から貯金数では楽天を上回っていましたが、消化試合数の違いからいわゆる“順位のねじれ現象”が続いていました。前半戦最後のカードとなった11日からの楽天2連戦は、要所で投手陣が打ち込まれたため再浮上ならず、2位でのターンが確定しました。現在のチームは、ここ数年と比較して先発陣の層が薄く、ブルペン陣のフル稼働によって凌いでいます。2015年に工藤公康監督が就任して以来、このような戦い方は初めてで、現在のブルペンが最後まで持ち堪えられるかが心配の種です。

昨季まで低迷していた西武(-14→9)とオリックス(-20→-3)は、巻き返しに成功。現状のCS争いは西武が有利ですが、オリックスとの直接対決では3勝8敗と大きく負け越しています。後半戦の展望としては、西武は守備を含めた野手陣の力を落とさないことが重要で、特に新人の源田壮亮が後半戦でも高いパフォーマンスを発揮できるかどうかが大きなポイントになってくるでしょう。オリックスは、吉田正尚の復帰により得点力に弾みをつけたいところですが、それよりも大切なのは故障させないことです。ブルペン陣にしても、連勝を狙う余り連投も辞さない起用を続けていると、大きなダメージを受けることにもなりかねません。

下位に沈んでしまった日本ハム(18→-20)とロッテ(10→-30)は、優勝はおろかCS圏内に届くのも厳しいシーズンになりそうです。もちろん残りシーズンを諦めてしまうわけにはいきませんが、他球団よりも早く来季を見据えた戦いに切り替えることで、来季以降有利に立てる面もあります。以前には、ペナントから見放されたチームの数少ない話題と言えばタイトル争いでしたが、毎年の順位が目まぐるしく変化する今のパ・リーグで、個人記録を球団ぐるみで後押しするようなことに力を入れてしまっては、再浮上の芽は小さくなるばかりです。一軍と二軍の当落線上にいる選手のテスト、故障している選手のリハビリ、整理対象とする選手の見極めなど、他球団より先に動けば動くほど編成面は充実するはずですから、ペナントレースの残り試合で試行錯誤するのはとても重要なことです。


一・二軍デプスチャート(7月16日時点)



画像にマウスをのせる(スマートフォンの場合タップする)と一・二軍が切り替わります。

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日本ハムにとって後半戦の大きなポイントは、大谷翔平が先発でどれだけ投げることができるか。12日のオリックス戦で今季初マウンドを踏んだものの、わずか29球で降板。これに対し、一部メディアから批判も起きましたが、投打二刀流でプレーする大谷にとって、投手としての調整の舞台が一軍の試合になってしまうのはある意味仕方のないことです。先発投手としての復帰が完全に果たせるなら、投手陣の運用がグッと楽になってきます。一方、打者・大谷が起用できない場合は新外国人のヤディエル・ドレイク、大田泰示、松本剛らの外野陣を指名打者として起用することになりそうです。また、ファームで6月7本塁打と大暴れした森山圭佑の一軍再挑戦というプランも描くことも不可能ではないでしょう。


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故障者が入れ代わり立ち代わり状態となっているソフトバンクは、楽天との優勝争いをリードするためにも投手陣の再整備が重要課題。先発陣で武田翔太と千賀滉大が本来の調子を取り戻せば、一気に突き抜けるチャンスも訪れそうですが、五十嵐亮太が長期離脱となったブルペンはこれ以上猶予のない状態です。場合によっては先発からコマを回す必要性も出てきそうです。ロッテは来季に向けた準備をいち早く行うべきですが、一軍の舞台で誰を起用するかというと困ってしまう部分があるのも確か。フレッシュ・オールスターで伸びのある速球を披露した成田翔あたりは、そろそろ経験を積ませて良い時期かもしれません。


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西武は上位2球団を何としても追い上げたいところですが、ファームで待機している顔ぶれを見る限り、現状からの上積みはそう期待できません。新人の今井達也や鈴木将平らの若手は別働部隊と考え、数年後に戦力化できるよう経験を積ませることが重要でしょう。楽天は、先発予備軍として安樂智大、釜田佳直をファームで待機されられる状況にまでデプスが回復。新人の藤平尚真も一軍登板を経験させたことで、シーズン終盤での長期連戦に起用できそうな目途が立ってきました。あとは戦列を離れている茂木がどのタイミングで戻ってこられるかは大きなカギとなりそうです。オリックスは投手陣の運用にもう少しゆとりを持たせるべきでしょう。ファームで好投を続ける山田修義、一軍ブルペンに入りながら登板機会の少ない赤間謙らを活用することで、金子千尋ら主力投手の負担軽減に図ることは決して不可能ではありません。


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広島は一軍での戦力が充実しているため、ファームでは長期的視野に立った起用も重視されるでしょう。読売はオールスター期間中にコーチ陣の入れ替えがあり、斎藤雅樹二軍監督が一軍の投手コーチとして復帰。ファームを見てきた首脳陣が加わることで、これまでとは一味違う起用が見られるかもしれません。また支配下選手の追加登録期限が今月末に迫っていることから、二軍だけでなく、三軍でプレーしている育成選手を引き上げることも検討すべきです。


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首位・広島に一歩でも迫りたいDeNAは、前半戦チームを引っ張ってきたルーキーの濵口遥大が12日の広島戦で左肩に違和感を訴え登録抹消。それでも、投手陣のデプスで余力を多少残している点が幸いし、後半戦では熊原健人か平良拳太郎のいずれかが濵口の穴を埋めることになりそう。反対に、ファームで待機する野手の大半は育成段階にあり、外国人選手の獲得があった場合を除き一軍は現有戦力で戦い抜く必要がでてきそうです。阪神は、新外国人のジェイソン・ロジャースと左アキレス腱断裂から立ち直った西岡剛が現戦力テコ入れの目玉。しかし、彼らを一軍で起用するとなると、誰と交代させるのかが問題となってきそうです。仮に、守備でチームに貢献している中谷将大や大和が取って代わられた場合、現在UZR(Ultimate Zone Rating)にも表れている12球団ワーストの守備力がさらに悪化することは避けられないでしょう。選手の実績、名前だけでなく実際の動きを見て判断することで重要です。


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ヤクルトは故障者の回復が何よりも優先課題です。特に秋吉亮の故障で穴が空いたクローザーは後半戦スタートの段階で定まっていません。また、一時クローザーに転向していた小川泰弘は先発再調整のため、現在は一軍登録を抹消されています。現状は一軍、二軍ともに、先発で5回100球以上を投げ切れそうな存在が極端に少なく、一部の投手に負担が掛かり過ぎています。この現状を打破しない限り故障禍を防ぐことはできません。中日も勝率が上昇傾向にあるとはいえ、少数精鋭の戦いから完全に脱却したわけではありません。ファームには経験豊富なデプスが控えているだけに、選手起用面でもう少しバリエーションが欲しいところです。


2週間の個人成績ランキング


OffenceはwRAA(weighted Runs Above Average)+走塁評価、DefenseはUZR(Ultimate Zone Rating)+守備位置補正

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セ・リーグ野手WAR(Wins Above Replacement)トップは坂本勇人(読売)に譲ったものの、出塁率及び長打率で期間中トップに立った桑原将志(DeNA)が、6日の阪神戦から11日の広島戦まで6試合連続マルチ安打を記録するなどインパクトを残しました。Defenseでは、先日のオールスターゲームで本塁打を放った小林誠司が捕手ながらランクイン。今季の盗塁阻止率36.7%はリーグ3位ながらも、走者が強肩を恐れて盗塁しない場面もよく見かけるようになりました。


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パ・リーグ野手は、現在リーグ三冠王にも立っている柳田悠岐(ソフトバンク)が打撃部門上位をほぼ独占。それに次ぐのがジミー・パラデス(ロッテ)で、月間打率は3、4月が.130、5月は.206、6月は.302と7月は現時点で現在.406と、毎月1割ずつ打率が上昇しています。7日のオリックス戦では、エース涌井秀章を援護する6号ソロを放ち勝利に貢献。春先は打撃不振で散々叩かれた助っ人も、日本野球に慣れ水を得た魚のような働きができることを証明。後半戦でも頼れる存在として期待されそうです。


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セ・リーグ投手では、9連戦でそれぞれ2勝を挙げた田口麗斗と菅野智之(読売)の存在感が際立っていました。5日の広島戦に中4日で先発した菅野は、6回82球の省エネ投球で今季8勝目。続く11日のヤクルト戦も中5日で先発しましたが、7回無失点の好投で9勝目をマーク。昨季までは勝ち星に恵まれないシーズンを送ったこともありましたが、今季はこのペースなら自身初の最多勝のタイトル獲得も十分期待できそうです。


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パ・リーグ投手は、4日のオリックス戦で石川柊太(ソフトバンク)が7回途中までノーヒットノーランの好投。小谷野栄一に初安打を許し大記録達成はなりませんでしたが、後半戦でのローテ定着を期待させるピッチングはチームにとっても大きなプラスとなりました。同じ試合で西勇輝(オリックス)は4点を失いながらも144球を投げ完投を記録。続く11日の日本ハム戦は、8回129球で今季4勝目を挙げましたが、チームが序盤から大量リードする展開にもかかわらず、福良淳一監督は続投を指示しました。この采配が後半戦でどのように影響するでしょうか。



高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。
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