• 1.02 Column



高いレベルにある先発のザイドとクローザーのゴールドバーグ



今夜、日本代表が戦う相手はイスラエル代表。今回のWBCで最大のセンセーションをもたらしているチームといっていいだろう。開幕前は大穴候補にも名前が挙がっていなかったが、1次ラウンドを3連勝で突破すると、2次ラウンド初戦ではキューバも撃破。残念ながら2戦目でオランダに敗れ連勝はストップしたものの、決勝ラウンド進出の可能性をまだ残している。


“Jew Crew”(日本語でいえば「ユダヤ教徒軍団」といったところだろうか)という愛称で注目を集める面々の快進撃は、驚きをもって受け止められているところもあるが、彼らの実力をもってすれば、このくらいの活躍は当然ともいえる。継投戦術などにも注目が集まるが、それよりもまず地力に長けている。


愛称からもわかる通り、今回のロースターに登録されているメンバーは、予備登録投手1人を除いて全員がユダヤ系アメリカ人だ。だが、イスラエルに野球がないわけではない。アメリカなどで暮らしたのち祖国に戻ってきた人々によって野球は伝えられており、かつては短期間ながらプロリーグが存在したこともある。今回のメンバーの多くはマイナーリーグでプレーしている選手で、15年間のキャリアで1968.1イニングを投げているジェイソン・マーキー(レッズ)を筆頭に、メジャー経験がある選手も数人いる。


余談だが、チームに加わっていないが出場資格を持つ強打者が多くいる。大会に出場していないライアン・ブラウン(ブルワーズ)やジョク・ピーダーソン(ドジャース)、アメリカ代表として出場しているクリスチャン・イェリッチ(マーリンズ)やイアン・キンズラー(タイガース)といったトップクラスのユダヤ系メジャーリーガーたちがチームに加わっていたら、イスラエル代表は優勝候補の一角と見なされていただろう。


さて日本戦の展望だが、投手陣の核となるマーキーは12日のキューバ戦で69球を投げているため、この試合での登板は不可能。ただオランダ戦から中1日空いたこともあって、ブルペンのほぼすべての投手が万全な状態で待機している。先発が予定されているジョシュ・ザイド(メッツAAA)は、150キロを超える速球にキレのあるスライダーを交える投球が持ち味。後がないイスラエルは、彼をいけるところまで使うだろう。


また、事実上のクローザーとなるブラッド・ゴールドバーグ(ホワイトソックスAAA)も同じく150キロ超の速球とスライダーのコンビネーションで三振を奪うスタイル。入りと締めに優れた投手がいるため、日本が得点を獲るべきところで獲れずリードを奪われる展開になると、苦しい展開もあり得る。ただ、両投手とそれ以外の投手の差は大きい。ザイドをマウンドから早めに降ろすことができれば、大量得点も狙えるだろう。


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セイバーメトリクスに精通した選手として知られるフルド



打線は1次ラウンドプールAでMVPを獲得したライアン・ラバンウエー(ブルージェイズAA)を筆頭に、身長208センチでメジャーリーグ史上最高身長野手のネイト・フレイマン(レッドソックスAA)、メジャー通算81本塁打のアイク・デービス(ヤンキースAAA)と中軸にはパワーを備えた打者が並ぶ。リードオフを務めるサム・フルド(アスレチックス)もメジャー通算8年間で599試合と経験は豊富。ちなみにフルドは大学4年生の時に怪我でシーズンを棒に振った際、その時間を利用してSTATS社でインターンをするなど、メジャーリーガーの中でも最もセイバーメトリクスに精通している選手の1人だ。


そのフルドが守るセンターに、ショートのスコット・バーチャム(ロッキーズA)、セカンドのタイラー・クリーガー(インディアンスA+)を加えたセンターラインは堅守を誇る。1次ラウンド初戦の韓国戦ではこの3人が再三に渡って好プレーを見せ、2対1での勝利に大きく貢献した。


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そしてプレーとは関係ないが、マスコットの「メンシュ」も忘れてはならない。これは全高150センチを超える巨大な人形で、幸運のお守りとして毎試合ダグアウトからチームの戦いを見守っている。。このメンシュ、海を割ってユダヤ人の祖先を約束の地へと導いたモーゼのように、Jew Crewを決勝ラウンドが行われるロサンゼルスまで導くのか。日本戦の中継でもテレビに映されるはずなのでぜひ注目を。

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