• 1.02 Column



FA選手の最適球団はどの球団であったかを探るシリーズ。大和編野上亮磨編に続き、今回は日本ハムからFA宣言しオリックスへの入団を決めた増井浩俊編だ。オリックスは増井の最適球団だったのだろうか。

リポート


抜群の奪三振能力を見せる球界屈指のリリーバー。今季はフィールド内に飛んだ打球がアウトになる確率を表すDER(Defensive Efficiency Ratio)が.621と例年に比べて低かったこともあり防御率や失点率は例年並だったが、投球内容は大きな向上を見せていた。2014年から24.3%→29.8%→21.3%と推移してきたK%(奪三振/打者)は今季38.1%にまで向上。これは今季NPBで10イニング以上を投げた投手の中では、デニス・サファテ(ソフトバンク)の42.9%に次ぐ驚異的な数字であった。


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また増井は昨季後半戦には先発としてエースクラスの働きを見せた実績もある。昨季救援で平均150.5km/hを記録したストレートは先発転向後も148.5km/hと高い値を維持。これは2016年に80イニング以上に投げた投手の中では大谷翔平(日本ハム)、スコット・マシソン(読売)、藤浪晋太郎(阪神)に次ぐ数字だった。救援だけでなく先発にも対応できる能力を持っている。

ただし増井の年齢は現在33歳。オリックスが結んだ4年契約の終盤にはすでに力が衰えはじめている可能性があることは頭に入れておかなければならない。


最適球団はオリックスだったのか


増井がどの球団に適していたか各論に入っていく。検討するのは各球団のペイロールを確認した以前の記事(セ・リーグ編パ・リーグ編)で救援にニーズがあるとした西武、日本ハム、ロッテ、広島、読売、中日、そして実際に獲得したオリックスだ。


西武

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ブライアン・シュリッターが退団、牧田和久もポスティングによるMLB挑戦と今季登板の多かった投手が計算できない状況だ。牧田が退団となれば救援は弱点となる可能性が高い。一時はクローザーを任されていた高橋朋己の復帰は朗報だがどれだけ状態が戻っているかは未知数で、増田達至、武隈祥太、平井克典、野田昇吾のほかはかなり計算しづらい陣容になりそうだ。増井の加入は効果的だっただろう。

しかし西武のペイロールは圧迫しており、残留交渉を行っていた野上亮磨の退団を許してしまっている。そんな状況の中増井の獲得に向かうのは非現実的だっただろう。


日本ハム

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日本ハムは一部の選手を除き、FA権取得者を積極的に引き止めない方針をとることで知られるが、増井浩俊に対しては複数年契約を用意しての残留交渉を行っている。フロントは引き止めるに値する今後のチームにとって重要な選手と見ていたようで、計画が狂うという意味も含めて退団のダメージは大きいだろう。

今季開幕前から比べると救援では増井、クリス・マーティン、谷元圭介の主力3人がチームを去った。先発陣は今季12球団で最も少ない809 2/3イニングしか投げられなかったこともあり、来季も救援陣にはかなりの負担が予想される。破綻を起こさず来季を乗り切れるだろうか。


ロッテ

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今季救援陣のWAR(Wins Above Replacement)は12球団で最も低かったが、チームは涌井秀章の去就が不透明なこともあり、もし投手の補強を行うなら先発を優先したい状況にあった。そういった意味では先発として増井を獲得する可能性を探ってもよかったのかもしれない。ただ、ロッテのペイロールから考えると、増井の契約はやや高額すぎて手を出せなかっただろう。


広島

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広島の救援陣は優秀な投手が揃っているものの、主力投手とそれ以外の投手の実力差が大きく、選手層はかなり薄くなっている。ライアン・ブレイシア、ブレイディン・ヘーゲンズが退団したこともあり、現在所属している中で中田廉(53試合)の次に登板が多かった救援投手はわずか10試合しか登板していない高橋樹也となってしまう。救援の中心となっている投手が1人でも欠けると大きな戦力ダウンにつながる状況だ。ここから外国人投手を補強する可能性はあるがかなり脆い状態にあることは間違いない。1人でも多く使える救援投手が欲しい状況にあり、増井の加入効果は非常に大きかっただろう。

昨オフは高額年俸の黒田博樹が退団となったため優勝したにもかかわらずペイロールに空きが出たが、2年連続の優勝による主力選手の年俸増で予算の余裕もなくなりそうだ。例年通りの予算ならFA選手に使う資金はなかったのだろう。


読売

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救援陣には優秀な投手はいるものの層が薄い状況が続いている。菅野智之、マイルズ・マイコラス、田口麗斗とイニングを多く負担できる先発がいたため問題は大きくならなかったが、マイコラスが退団する来季はより負担も大きくなるかもしれない。澤村拓一のコンディションも不安定で計算できない。増井の加入は効果的だったはずだ。

報道によると読売は実際に増井にアプローチをしていたようだが、獲得は失敗に終わった。村田修一やルイス・クルーズなど高額年俸選手が退団し、ペイロールに余裕ができている状態だっただけにぜひとも獲得したかったはずだ。救援の層の薄さは先発ローテーションからこぼれた投手を起用することで埋めることになるだろう。


中日

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中日の投手陣は先発、救援ともに弱点となっている。シーズン途中に獲得した谷元圭介の残留に成功したが、又吉克樹に再び先発転向の可能性があり、万全の状態とはいえない。ここから外国人投手の補強もあるはずだが、弱点であることには変わりはなさそうだ。増井の獲得はかなり効果的だっただろう。

ただし増井がオリックスとかわした契約を見るに、中日の現在の資金状況で参戦するのは難しかったのかもしれない。中日に救援に年俸3億円を払う余裕はなく、増井を先発のエースとして迎えるような形であれば現実味はあったかもしれない。


オリックス

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今季救援陣はリーグ平均を上回る出来であったが、平野佳寿に退団の可能性があるため来季は力が落ちるリスクがあった。今季増井のK%は平野(19.6%)の倍近い38.1%を記録しており、パフォーマンスに関していえば大きく上回っている。このパフォーマンスが来季も維持できれば平野の穴埋めにとどまらず上積みも期待できる。

オリックスは先発に平均以上の投手を多く揃えており、リスクが小さい状況にある。他球団に比べて大きく救援が劣っている状況ではないが、投手陣の中では救援を補強したい状況にあった。平野の去就が不透明な点、また2014年オフに行った大型補強からするとペイロールも徐々にスリムになってきており、資金を使える点、2つのタイミングが重なり増井獲得に積極的に参加することができた。高額にはなったが今後数年計算できる手堅い補強になったのではないだろうか。


最適球団は…


増井ほどの投手となると加入効果の薄い球団はなく、すべての球団にとって一定の上積みをもたらせるだろう。獲得レースに加わるネックとなったのはやはり高額な年俸で、救援にニーズはあるもののペイロールに空きがなく獲得に動けない球団もあったようだ。また救援に高額な年俸をかけるのは多くの球団にとってリスクが高かったようだ。

検討の結果、一定以上の補強効果があり、なおかつ獲得が現実的だった球団としてオリックス、読売、そして前所属の日本ハムが残った。この3球団はFA宣言した増井に実際にアプローチをした球団でもある。どの球団に入っても効果は大きいが、ここでは平野の去就が不安定である現状と資金に余裕があるタイミングが一致し、増井獲得を実現させたオリックスを最適球団としたい。



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