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ドラフト会議が終わり、各球団来季に向けてのチームづくりの真っ最中となっている。今回は数ある補強のチャンネルの中でも外国人選手について、2018年に来日する可能性がある外国人野手の「候補」を紹介したい。

外国人選手は韓国リーグ「KBO」との争奪戦に


近年、外国人選手の争奪戦は以前より激しさを増している。NPB球団同士ではなく、韓国リーグ(KBO)と争う形が多くなっているのだ。これにはいくつかの理由がある。まず、KBOは2014年に外国人選手保有枠を従来の2人から3人(3人全てを投手もしくは野手のどちらか一方にはできず、また、3人を同時にプレーさせることは不可)に拡大している。また、同年に入団初年度30万ドルとされていた年俸上限が廃止されたことで、球団は外国人選手の獲得にさらに熱を入れるようになった。その効果もあってか、2015年から2年連続で外国人選手がMVPに輝いている。またかつての8球団から10球団まで増えたことによって、KBOが抱えることができる外国人選手の枠も増えた。こういった事情があるため、今回紹介する選手はKBOの球団に入団する可能性もあるかもしれない。

まず紹介するのは、レッドソックス傘下ポータケットに所属するブライス・ブレンツだ。


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今季はAAA級インターナショナル・リーグ(IL)で31本塁打を放ち本塁打王に輝いた。投高打低傾向のあるILでの本塁打王量産は評価できるが、HR%(本塁打/打席)はここ5年4.9%→4.5%→3.2%→1.9%→6.3%と推移しており、今季突然本塁打を増やした。FB%(フライ率)は35.7%→40.1%→38.5%→27.8%→35.6%と今季が特別高くなっているわけではなく、「フライボール・レボリューション」でフライを多く打つように心がけた結果本塁打を量産できるようになったというわけではなさそうだ。今季の成績はもしかするとできすぎなのかもしれない。MLBでは通算90打席の機会しかなかったが、FangraphsのPitch Value(得点期待値をベースに平均と比較して球種別に打者がどれだけ得点を増減させたか)によるとスライダーを苦手にしていたため、スライダーを多投する日本野球では苦労するかもしれない。そんなブレンツは、実はテネシー州立大学在学中に日米大学野球選手権大会で、当時は投手として来日している。その時の日本代表には斎藤佑樹(現・日本ハム)や菅野智之(現・読売)、東浜巨(現・ソフトバンク)といった投手がいた。11月2日にレッドソックスの40人枠に入ったため開幕からの来日の可能性は低くなったが、シーズン途中からの入団は十分にありえる選手だ。


AAA級の同リーグで活躍した2選手をロマック、ジェンセンと比較


ILとは別のAAA級リーグである打高投低のパシフィック・コースト・リーグ(PCL)から2選手紹介したい。メッツ傘下のラスベガスに所属するトラビス・タイロン。そして、テキサス傘下のラウンド・ロックに所属するジャレッド・ホイングだ。2選手とも、3年間で合計1500打席以上に立ったまさにPCLの帝王と言える。


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上の表は2016年にDeNAでプレーしたジェイミー・ロマックと、今季ソフトバンクでプレーしたカイル・ジェンセンのPCLでの成績と比較したものである。こうしてみると、タイロンはK%(三振割合)が多いが、BB%(四球割合)も多く、それでいてOPSやISOも高い水準で保たれているパワーヒッターであるといえる。ホイングはパワーが魅力な長距離打者だが、フライボールの中で本塁打を占める割合が15.3%→12.4%→11.1%と年々低下しており、その結果本塁打率やISOも低下している。年齢とともにパワーに衰えが出ているのか、それとも自慢のパワーを抑えた結果なのか。近年はK%も減ってきており、もしモデルチェンジの結果ならば日本向きの打者になってきたのかもしれない。

ILとPCLどちらのリーグでも結果を残しているのが、クリント・ロビンソンだ。2011年にPCLで打率.326 23本塁打、2014年にも同リーグで打率.312 18本塁打を記録した。2015年にはナショナルズで126試合の出場で打率.272、10本塁打の好成績を残し、一塁のポジションをライアン・ジマーマンから奪いかけたが、MLB定着はならず。今季はとうとうMLB昇格もできず、ILでも打率.242、18本塁打(リーグ8位)にとどまった。もともとは選球眼が良く三振が少ない面も長所だったが、今季はILで121三振を喫しており、不安が残る。守備は一塁と左翼が可能だがどちらもやや不安定だ。


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10月に中日が強打の外国人捕手を狙っているという報道があった。こういった外国人捕手の補強でよく名前が挙がるのは捕手専任ではなく、捕手「も」できるという人材だ。今オフの新外国人候補としてよく名前が挙がるウィリン・ロザリオ(KBO・ハンファ)がそれにあたるが、ここではヘスス・モンテロを推したい。2012年のMLBルーキー・シーズンにマリナーズで打率.260 15本塁打を記録。四球も三振も少ない非常に積極性の高い打者であることが特徴だ。ILでの通算成績が1536打席で打率.293、OPS.808、PCLでも921打席で打率.315、OPS.890とリーグが異なっても安定した打撃成績を残している。今季はメキシカン・リーグでプレーしたが、わずか21試合の出場に留まった。年齢は11月に29歳を迎えるばかりであり、昨季はマイナーで投手としても登板した器用な面も持ち併せている。ちなみに、2012年にはMLBで捕手として好成績を残したが、野球カード老舗のトップス社が選ぶルーキー・オールスターで捕手部門に選ばれたのはモンテロではなくロザリオ(打率.270 28本塁打)だった。


近年のトレンド?メキシカン・リーグの新外国人候補


三塁が補強ポイントの球団にはパドレスのライアン・シンフが候補に上がるだろう。2016年にMLBに昇格し、ルーキーながら330打席で20本塁打を記録し、今季は197打席で14本塁打を放った。しかし、通算打率が.195に加えて通算527打席で175三振を喫した荒削りな打者である。今季はPCLでも283打席で19本塁打を放ったものの、105三振を喫し、打率も.202と低調だった。Pitch Valueによると速球に強い反面、スライダーを苦手としており、下位打線での一発長打を期待できる選手として打線に置くのはありだろう。守備は二塁と三塁、左翼ができるので、チーム状況に臨機応変に対応できるだろう。


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2015年のMLBルーキー・イヤーに485打席で16本塁打70打点を記録したマーク・カナも面白い。ルーキーとしては及第点の数値だったが、翌年は臀部の手術で戦線離脱。今季はMLBとマイナーを行き来しながらの1年を過ごした。『マネー・ボール』で知られるアスレチックスのビリー・ビーンGMのお気に入りとも言われており、長打力だけでなくPCLでは2シーズンの出塁率が.380と、出塁面でも安定している。また、MLBの舞台ではスライダー、カットボール、スプリットを比較的良く打っており、多彩な変化球を操るNPB投手にも痛烈な一打を浴びせることができそうだ。

巧打者タイプとしては、ニック・バスを推したい。PCLで過去5年間の打率が.307、一方で最多の本塁打が2013年の17本と中距離打者だ。三振も少なく、忍耐強いタイプバッターである。懸念材料は、やはりMLBの舞台ではスライダーを苦手としていたこと。守備は外野3ポジション全て可能で安定しており、左打ちのマートンというとイメージがしやすいかもしれない。

2013年にはミチェル・アブレイユ(当時:日本ハム)がパ・リーグ本塁打王を獲得、今季はジャフェット・アマダー(楽天)が23本塁打を放つなど、メキシカン・リーグの強打者がNPBの舞台でも実力を発揮している例も増えてきている。今回はそんなメキシカン・リーグから3選手を紹介したい。

アレックス・リディはパワー溢れる強打者だ。イタリア生まれ、イタリア育ち初のメジャー・リーガーとして、2009, 2013年にはWBCイタリア代表にも選ばれている。2011年にPCLで30本塁打を記録し、MLBでも通算188打席で6本塁打をマークした。MLBに定着できなかったのは、やはり打撃の粗さが原因。188打席で73三振を記録しただけでなく、AAAでも2つのリーグで通算388試合469三振を喫している。メキシカン・リーグに移籍した2016年は打率.281 23本塁打を記録したが、今季は打率.235で17本塁打と数字を落とした。また、守備で安定感を欠くこともマイナス材料ではある。


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次は左打ちの外野手であるコーリー・ブラウンだ。2011-2015年まで毎年ILで14本以上の本塁打(自己最多は2012年の25本塁打)を放つ反面、100個以上の三振を喫する粗削りのパワーヒッターだ。2016年はPCLに移籍し、23本塁打を放つも155三振。今季はさらに打高のメキシカン・リーグでプレーし、24本塁打124三振だった。守備はマイナーから一貫して外野3ポジション以外は経験がなく使い勝手は悪いかもしれない。

そして、ダリク・バートンが来日する可能性もあるだろう。2010年にアスレチックスで159試合に出場。打率.273、10本塁打と平凡な数字ながら、リーグトップの110四球を選び出塁率.393を記録した「マネー・ボール」の体現者だ。AAA級や2016年からプレーしているメキシカン・リーグでも選球眼の良さを発揮し、昨季は打率.261で出塁率.429を、今季は96打席しか機会がなかったが、打率.217に対して出塁率.421と驚異的な出塁能力を見せている。しぶとく選んでいく打撃スタイルは日本向きかもしれない。


 

MLBの元・本塁打王2名に来日の可能性はあるか


最後にMLBの本塁打王経験者を2名紹介したい。MLBの本塁打王といえば、ストライキがあった1995年にダイエーでプレーしたケビン・ミッチェルを思い出す方も多いだろう。今オフ来日する可能性があるのは、まず昨オフもメディアに取り上げられたクリス・カーターだ。2016年に41本塁打を放ちナショナル・リーグ本塁打王に輝いたが打率.222、リーグ最多の206三振がネックとなり、契約が難航。代理人は800万ドル前後の契約で売り込んでいたが、結局ヤンキースと単年350万ドルで契約となった。新天地でも62試合で打率.201、76三振と確実性の無さは相変わらずでシーズン途中で退団となった。


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もう1人は2013年に36本塁打を放ち、ナショナル・リーグ本塁打王に輝いたペドロ・アルバレスだ。彼もまたフリースインガーで、同年リーグ最多の186三振を喫した。今季はオリオールズと単年200万ドルの契約を結んでいたが、ほぼ通年マイナーでプレーし、ILリーグ5位となる26本塁打を記録した。2人とも年齢は30歳、守備位置は一塁と右翼。PitchValueによるとスライダー、スプリットを苦手と共通点が多い。違いとしてはカーターは右打者、アルバレスは左打者で三塁も可能という点だろう。「MLBの元・本塁打王」の来日があるのか、要注目だ。

こうして選手を挙げると、パワーはあるが三振が多い、あるいは速球には強いが変化球に弱いタイプの打者が多くなった。今季NPBで30本塁打超えを果たしたのは8人、うち6人が外国人選手だった。外国人選手にはやはりパワーが求められる。三振が多くても本塁打が期待できる、そんな外国人選手の来日を期待したい。



水島 仁
医師。首都圏の民間病院の救急病棟に勤務する傍らセイバーメトリクスを活用した分析に取り組む。 メジャーリーグのほか、マイナーリーグや海外のリーグにも精通。アメリカ野球学会(SABR)会員。

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