NPBの若手有望株“プロスペクト”をランキングする本企画。今回は2020年4月以来の更新となる。12球団最高の若手有望株と評価されたのは誰だろうか。前回のランキングはこちらから。

対象となる選手


・2020年中で24歳以下
・投手は一軍通算100イニング未満かつ50試合登板未満
・野手は一軍通算300打席未満
・外国人枠の対象となる選手は除く

まずDELTAのプロスペクトランキングの基準を簡単に解説しておきたい。ここではキャリアを通してどれだけ多く勝利に貢献できるか、要するにWARをどれだけ多く稼げる見込みがあるかという視点で格付けを行っている。よって現状の能力やポテンシャルの高さのみで評価を行っているわけではない点に注意してほしい。

今回のランキングはすでにドラフト会議を終えてのタイミングとなったが、例年通り新入団選手は対象としていない。また今春の時点でランクインしていた戸郷翔征(読売)、森下暢仁(広島)、安田尚憲(ロッテ)、栗原陵矢(ソフトバンク)、遠藤淳志(広島)らは打席やイニングの上限を超え、すでに対象外となっている。




ランキング1~10位


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1-3位は春から順位を変えていない。1位は小園海斗(広島)とした。今季は開幕後大スランプに陥り、ファームでは7-8月とOPS.500にも届かぬ低調な月が続いた。しかしシーズン後半に打撃が復調。最終的にはファーム266打席で打率/出塁率/長打率で.305/.335/.414と一定の成果を残した。今季はファームで1本塁打と長打力に欠けたが、遊撃手ながら本塁打も放つことができるポテンシャルを持っているのは間違いない。やや足踏みの感がある1年だったが、大成する可能性はかなり高いと考える。ただ三振を恐れてか、極端にコンタクトを重視した打撃を見せている点は気になるところだ。

2位も春から変わらず佐々木朗希(ロッテ)とした。佐々木は今季の公式戦登板がなく、現在がどれだけの状態にあるのかがわからない。故障との戦いが避けられない速球派投手だけに、最悪の場合、ほとんど戦力にならないままキャリアを終えるという可能性もなくはない。しかし戦力化したときの貢献の大きさを見込んで、この順位を維持している。ポテンシャルは日本プロ野球史上最高レベルにあるのは間違いない。プロ相手にどれだけの投球ができるか早く見たい投手だ。

3位は奥川恭伸(ヤクルト)。今季は故障により登板は少なかったが、わずかなその機会で十分に能力は見せた。一軍初登板となった11月10日の広島戦では打ち込まれたものの、一軍レベルでストライク先行の投球を披露。ファームでも19 2/3イニングを投げ18奪三振2四球と傑出したパフォーマンスを見せた。現時点でかなりの完成度にあり、極めて早い段階で主力化する可能性は高いだろう。ただ投手ゆえの故障リスクを鑑みると、最上位には挙げられなかった。

4位の太田椋(オリックス)は変わらず上位にランクインしつづけている。今季は一軍61打席で3本塁打と、二遊間タイプの選手としては破格の長打力を見せつけた。次代のオリックスを担う選手になる可能性は非常に高い。ただ遊撃手として守備面に課題は抱えており、将来的には二塁手としての起用が妥当であるように思われる。ファームでの起用状況を見ても、紅林弘太郎に優先的に遊撃手の出場機会が与えられており、実際に二塁に落ち着く可能性が高そうだ。打力も備えた現代型の二塁手としてのキャリアが期待される。

5位は中日の若手・石橋康太。1年目の時点で高いディフェンス力、長打力が評価されていた捕手だ。今季のファームでは、昨季1割台に終わった打率が急上昇。.294/.342/.476の好成績を残した。さすがにこの打率はできすぎかもしれないが、ISO(長打率-打率)は.182と、打低傾向の強いウエスタンの環境を考えると破格の数字。広いナゴヤドームでも本塁打を打てそうな飛距離をもっている。坂倉将吾(広島)が候補選手から外れた今、球界最高レベルの捕手のプロスペクトと見て差し支えないだろう。

6位の頓宮裕真(オリックス)は今季が捕手に転向して迎える初のシーズンとなった。結果的には故障により離脱期間が長くなったが、終盤には一軍で捕手として出場機会を獲得。わずか12試合35打席の出場で3二塁打2本塁打を放つなど、長打型の捕手として可能性を見せた。現状守備面でも捕手としてキャリアを送ることが不可能と思えるようなプレーは見られていない。太田と共に、将来のオリックスの命運を握る存在といえる。

今季終盤に一軍に定着した藤原恭大(ロッテ)は7位とした。クライマックスシリーズで3安打を放つなど活躍を見せたが、現状打撃面に課題があり、一軍レギュラーのレベルとしてはまだ十分ではないと考える。課題はゴロが多く、上向きの角度がつきづらい打球傾向だ。打球速度や守備面で素晴らしい能力があることは明らかで、この部分さえ解消できれば5ツールに近い選手になるだろう。上位の選手の中でもリーグ平均以上の選手に育つ見込みがかなり大きい選手だ。

昨年のドラフトにおける野手の目玉・石川昂弥(中日)は8位。今季は主にファームで出場し、.278/.374/.380という好成績を残した。高卒1年目の選手としては素晴らしい成績である。ただ現時点では、打撃練習で見せる素晴らしい飛距離を試合の中で発揮できていない。238打席で3本塁打という数字からもその現状はわかるだろう。コースによっては右方向にライナーを狙うなど、バリバリのスラッガーというイメージとは異なる打撃も見せていた。ただパワー抜きにしても高卒1年目としては申し分ない。出塁面で能力の高さを見せたのも高ポイントだ。三塁手としての守備面も大きな問題はなかった。

楽天のドラフト2位・黒川史陽は9位。今季はファームの二塁手レギュラーとしてシーズンを通して出場。.297/.362/.393の好成績を残した。特に、BB%が8.9%、K%が14.1%とアプローチの面で新人離れした能力を見せている。一般的にこういったアプローチ系の指標は2年目以降に改善される傾向がある。この数値がさらに良化するようなら、一軍は近づいてくる。ドラフト2位の選手ではあるが、プロ1年目のパフォーマンスはドラフト1位級だった。大失敗のキャリアが想像しにくい選手だ。

10位は野村佑希(日本ハム)。今季は開幕スタメンをつかむも、早々に故障離脱。多くの実戦経験を積めずにシーズンを終えてしまった。ただその少ない試合出場の中でもポテンシャルの高さは見せつけた。強い打球を放つ能力、打球に上向きの角度をつける能力ともに申し分なく、主軸打者に成長する可能性は高そうだ。三塁はチームの弱点となっており、出場機会も増えていく見込みが大きい。ただ現状のコンタクト能力の低さを考えると、まだ一軍レギュラークラスにはない。時期尚早な起用が本人の打撃を狂わせないか不安な点もある。




ランキング11~20位


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11位はDeNAの若き長距離砲・細川成也。入団1年目は、ファーム435打席に立ち182三振(K%41.8%)とバットになかなか当たらない打者だったが、年を追うごとにこれが改善。今季はK%を23.0%まで良化させた。ただ一般的な選手と比べると依然としてコンタクト能力は低く、この面が一軍でどのように出るか不安はある。ただ入団以来左投手には抜群の強さを見せており、現時点でもプラトーン起用であれば一軍での起用も期待できそうだ。ちなみに細川は右打者ながら、三振の多さをBABIP(Batting Average on Balls In Play)の高さで補う打撃を継続しており、今季もBABIPは.387と高値を記録。スタッツ的にも非常に興味深い選手だ。

12位はソフトバンクの杉山一樹。12球団トップクラスのポテンシャルをもつ素材型投手だ。2年目の今季はファームで先発として経験を積んだ。先発で投げてもゾーン内でも高い確率で空振りをとれるボールは、明らかにファームのレベルを超えている。うまくボールを制御できるようになれば、いきなりエースクラス、リーグを代表するレベルの成績を残しても不思議ではない。シーズン終盤には救援として一軍に昇格し好投を見せたが、できれば先発で見たい投手だ。

13位は読売の2年目山下航汰。今季は一気にレギュラー定着も期待されたシーズンだったが、開幕前に右手有鉤骨を骨折。シーズンを通して故障に苦しみ、ファームでもわずか4試合の出場しか行うことができなかった。よって今季のプレーはほとんど確認できていない。ただ初年度のプレー・成績のインパクトは大きく、ほとんど出場がなくてもこの順位としている。ただ支配下契約解除のニュースは驚きだ。故障の詳細が見えないため、ほかの選手に比べても未知な部分は大きい。

濱田太貴(ヤクルト)は14位とした。今季は高卒2年目ながら33試合105打席を一軍で経験。3本塁打を放つなど、打撃面での高いポテンシャルを見せつけた。将来チームの中心打者に成長する見込みは高そうだ。ただ一方で両翼を守る守備面では不安定さを見せている。まだ守備面の実力はつかみきれないが、これがどう出るかで選手としての価値は大きく変わってくる。

15位は梅津晃大(中日)。昨季後半の活躍から今季はシーズンを通しての活躍が期待されたが、右肘の故障もありわずか7試合43 1/3イニングしか投げることができなかった。ただその少ない登板の中で見せた能力はやはり素晴らしく、この順位を維持した。すでに一軍ローテーション上位級の力は持っており、あとはコンディションとの戦いになりそうだ。

16位は西武の若きスラッガー高木渉。今季はチームの外野手不足から一軍で12試合40打席の出場機会を得た。一軍での7安打のうち長打が4本(二塁打1三塁打1本塁打2)を占めるなど、長距離打者としての片りんは見せた。泳ぐような球でも飛距離を出せるローボールヒッターだ。課題となっていた三振の多さも今季のファームでは改善傾向が見えており(K%が2019年32.6%→2020年20.9%)、一軍での戦力化は近づいているように見える。

17位は古谷拓郎(ロッテ)。高卒1年目の昨季はコーナーを突く高い制球力が光る一方、球威のなさから打ち損じを待つような投球が目立っていた。それが今季はスケールアップに成功。ストレートで空振りを奪える投手に変貌を見せた。一軍での2登板でもストレートの平均球速は146.5km/hを記録。もし3年目にさらなるスケールアップを果たすようなことがあれば、ロッテ先発にまた強力な若手投手が誕生することになる。戦力化の見込みはかなり高いのではないだろうか。

18位は宮城大弥(オリックス)。今季はファームで59 2/3イニング、一軍で16イニングと順調に経験を重ねた。ファームでのK%は19.9%、BB%は9.3%と、すでに二軍では主戦級の成績を残している。こちらも高卒ルーキーながら比較的早い段階での戦力化が見込める投手だ。ただ山本由伸(オリックス)、戸郷翔征(読売)の1年目ファームでの投球と比べると、差は大きい。2年目に彼らと同レベルのパフォーマンスを期待するのは酷だろう。それでもドラフト1位にふさわしいポテンシャルの高さを見せた1年目だった。

19位はソフトバンクの笠谷俊介。今季の活躍ですでにプロスペクトから脱した感はあるが、まだ34登板73イニングと、本企画の基準では条件に収まっている。笠谷最大の武器はチェンジアップだ。笠谷のチェンジアップを打者がスイングした際、空振りとなる確率(Whiff%)は42.0%を記録。こうした決め球があるおかげで、左投手ながら右打者に極めて強い投球を見せている。今季50イニング以上に投げた一軍91投手の中で、右打者に対するK%は35.7%で2位だった(1位は西武・平良海馬の38.4%)。もし左打者対策が進むようなら、強力ソフトバンク投手陣の中でもローテーション上位に入る投手だ。

20位はDeNAの蝦名達夫。DeNAでは11位で細川を紹介したが、こちらも右打ちのスラッガータイプの外野手だ。今季は故障で出遅れ、ファームでも128打席の出場にとどまったが、30安打のうち16本が長打と、長打面で高いポテンシャルを見せた。細川ほどの飛距離はないが、二塁打や三塁打を多く打てるタイプの打者だ。外崎修汰のように広角にロングヒットを量産する打者に成長する可能性を感じさせている。




ランキング21~30位


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21位は中日の郡司裕也としている。春のランキングでは10位に挙げるなど、非常に大きな期待があったが、控え捕手として一軍に帯同する期間も長く、一二軍ともに出場機会を多く得られなかった。結局今季は一軍で76打席、ファームで46打席の出場にとどまっている。ただ合計122打席とわずかな出場機会の中でも、16四球と持ち味のボールを選ぶ能力は見せた。しかし長年捕手不足に苦しんできた中日は、ここにきて木下拓哉、ランキング5位とした石橋と捕手の好選手を多く保有することに成功している。来季も同じようにベンチを温める日々が続く恐れもある。

22位は2019年のドラフト1位森敬斗。送球への不安などから春の段階ではランキングから外したが、遊撃にとどまれるレベルと判断しランキング入りさせている。遊撃手としての敏捷性はファームの中でも群を抜いており、失策をしない確実性がつけば遊撃手の中でも守備で大きな利得を積める可能性がある。問題が大きいのはどちらかというと打撃で、ファーム207打席でBB%が5.8%、K%が23.2%と強みとされていたアプローチやコンタクト面で成果を残せていない。9位に挙げた同じ高卒ルーキーの左打者・黒川と比べるとかなり差がありそうだ。ただ高い身体能力もあり、リスクが小さいキャリアを送ると判断した。

23位は楽天の捕手・太田光。すでにレギュラーに近い選手だが、276打席とギリギリで対象選手に留まっている。今季は嶋基宏退団の影響などもあり、開幕スタメンを奪取。開幕当初は打撃でもよいはたらきを見せたが、徐々に下降線を辿ってしまった。ただ打球の強さには目をみはるものがあり、打撃面の伸びしろはまだまだ大きい。楽天は捕手不足に苦しんでいることもあり、出場機会も順調に得られそうだ。ディフェンス面の強みを考えても、長く楽天の正捕手を務められる能力は十分にもっている。

24位は小幡竜平(阪神)。ファーム屈指の守備力をもった内野手だ。今季は高卒2年目ながら54試合134打席と多くの出場機会を得た。一軍では失策を犯す場面も多く見られ、それほど高いUZR(Ultimate Zone Rating)を記録したわけではなかったが、守備面では大きな差をつけられる見込みが高い。若手遊撃手ながら非常に送球が安定している点がストロングポイントとなっている。問題は打撃で、こちらはファームでもまだまだ時間がかかりそうな状況だ。今季一軍出場が多かっただけに来季の飛躍を期待したいが、まだレギュラークラスの能力には遠い。

25位はまたも広島に現れた捕手の逸材・石原貴規だ。今季は一軍出場なし、ファームで34試合、102打席と少ない出場機会に終わったが、その中でポテンシャルの高さを見せている。まずビデオ班内で評価が高かったのがディフェンスだ。盗塁阻止能力、フレーミングともにレベルが高く、現時点においてもかなりの完成度にあるという声が聞かれた。打撃については今季ファームで.202/.295/.393と突出した成績ではなかったが、長打力を評価する声が大きかった。コンタクト能力も低くなく、こうした打率が妥当な選手とは考えない。本ランキングの中では無名だが、能力としてはかなり高いものをもっていると考える。

同じく広島の次世代の主砲・林晃汰は26位。今季は.266/.330/.432でOPS.762。前年の.674から確かな歩みを見せた。順調な成長を見せており、打者として戦力化する可能性は高そうだ。ただ基本的には一塁専門の選手(今季ファームで三塁での守備イニングは111)で、重要なポジションを守ることができない。またその一塁においても守備は不安定さを見せており、大きな貢献は見込みにくそうだ。打撃の魅力がいくらあっても、守備を考えるとこのあたりの順位が妥当と考える。

27位は阪神の主砲候補・井上広大。今季は1年目ながらファーム280打席で9本塁打を放つなど、ルーキーイヤーから長距離打者としてのポテンシャルを見せた。井上はこのランキングで挙げたスラッガーたちと比べると、飛距離こそ図抜けたものはないが、打球に上向きの角度をつける能力に長けている。フライ率58.4%は今季ファームで150打席以上に立った打者の中でトップだった。まだまだ時間はかかりそうだが、打撃については一軍レギュラークラスに到達する見込みが高い。ただ一方で守備面には課題が大きい。ポジションは競争力の低い両翼で、さらにその両翼でも守備力は十分ではない。林と同じように上位に持ってくるのは難しかった。

28位はヤクルトの若手遊撃手・武岡龍世。今季は一軍で5試合12打席、ファームで72試合277打席と、高卒ルーキーながら多くの出場機会を獲得した。特に守備面で高卒ルーキーとは思えぬ安定したプレーを披露。守備面はアジリティも備えている上、現時点でなかなかの完成度を備えているように見える。打撃面では.218/.305/.286と突出したものではないが、BB%が10.5%と選球面で能力の高さを見せた。森と同じく身体能力の高さを買ってランクインさせている。

29位は広島の高橋昂也。もともとこのランキングに入ってもおかしくないレベルの高い投手であったが、2019年2月にトミー・ジョン手術を経験。その影響で2019年は一軍・ファームともに登板がなかった。ただリハビリの末に今季終盤にファームで実戦に復帰。そこで以前の投球を取り戻すことができていると判断し、ランキング入りさせている。来季が本格復帰のシーズンとなるが、いきなり先発ローテーションに入る可能性も十分あると考える。

30位は吉田輝星(日本ハム)。本企画では初のランクインとなった。今季は一軍では打ち込まれたものの、ファームのレベルでは安定した素晴らしい投球を披露。59 2/3イニングを投げて、K%が26.1%、BB%が4.8%と一軍定着を期待させる数字だ。ファームにおいてストレートのPitch Valueは12球団ナンバーワンの8.8を記録した。ただストレートが大きな武器である一方、それに依存する傾向は昨季から継続している。今季ファームでのストレートの投球割合は59.5%を占めた。ストレート以外に強みとなるボールがなく、早々に追い込むも空振りがとれない場面もよく見られた。スライダーを十分に操りきれていない現状、活路を見出すとすれば落ちる球だろうか。

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