2017年のペナントレースが明日開幕する。開幕に先立ち、1.02ではDELTAが協力関係を結ぶ9名のアナリストに順位予想を依頼した。予想にあたっての手法は各自自由に選んでもらい簡単なコメントをもらい掲載している。
読売大補強の効果はそれほど出ない(予想者:岡田友輔)
1位 広島東洋カープ
2位 読売ジャイアンツ
3位 阪神タイガース
4位 横浜DeNAベイスターズ
5位 東京ヤクルトスワローズ
6位 中日ドラゴンズ
広島は昨年の攻撃力が再現できないかもしれないが、それでも他球団に対しての野手のアドバンテージは大きい。2~5位に関しては、かなり流動的で新戦力やブレイク選手の出現で大きく順位が変わりそうである。下位に沈む可能性としては、得点力に不安を抱える中日と、投手に不安を抱えるヤクルトで高そうである。
広島は野手の顔ぶれはほぼ変わらず、野手が投手を攻守両面でサポートできる状況は維持。投手は黒田博樹の引退でイニング消化に不安はあるが、代替候補は複数存在する。読売は補強の成果はそれほど出ないと見る。投手力は比較的安定しているが、野手の攻撃力が大きく改善しないと広島を追うのは厳しい。
阪神は野手の世代交代が進めば競争力は高まるだろう。投手についてはトップクラスの先発陣を擁しており、守備に足を引っ張られなければ一定の成績が望めるかもしれない。
DeNAはエース・山口俊の移籍で先発陣にやや不安がある。先発を務める外国人投手の出来次第か。攻撃では出塁能力に長年課題がある。筒香嘉智を中心にさらなる得点創出を果たしていけるか。ヤクルトは投手陣が質・量ともに不安。攻撃でどこまでカバーできるかがポイントだろう。中日は得点力不足の解消は難しそうである。外国人選手やルーキーの台頭などで、どこまでカバーできるか。
WBC出場選手のコンディションがカギ(予想者:道作)
1位 広島東洋カープ
2位 東京ヤクルトスワローズ
3位 横浜DeNAベイスターズ
4位 読売ジャイアンツ
5位 阪神タイガース
6位 中日ドラゴンズ
最大の不確定要素はWBC出場選手のコンディション。通常のシーズンとは異なり、普段ではあり得ないような負傷や体調不良がありそうだが現段階では特定・指摘は難しい。全般的な故障の予想はいずれ可能になるかもしれないが、現在のところ特定の個人の故障は予想できない。菅野智之や千賀滉大あたり、投手陣の誰かが割を食いそうな気もするが……。菅野にWBCの疲れが出れば読売が下位に沈むことも十分に考えられる。
なお、侍ジャパンの捕手を務めた小林誠司のブレイクがあれば、読売は捕手と遊撃に有力な攻撃者を揃えることになるが、それでも得点力不足になるおそれは消えていない。そうなればMLBでもNPBでもなかなかお目にかかれない、極めて珍しいケースが見られることになる。応援している方には失礼ではあるが、そんなレアケースを見てみたいという思いもあり、少し楽しみにも思う。
広島は「平均への回帰」で成績維持は困難か(予想者:蛭川皓平)
1位 読売ジャイアンツ
2位 広島東洋カープ
3位 阪神タイガース
4位 横浜DeNAベイスターズ
5位 中日ドラゴンズ
6位 東京ヤクルトスワローズ
昨シーズンの広島は各人がポテンシャルを出し切っての優勝という印象を抱いた。集団として、同じ働きを維持するのは難しく「平均への回帰」が予想される。補強で戦力の厚みを増した読売を1位とした。
大補強の効果はあるが広島までは及ばずか(予想者:高多薪吾)
1位 広島東洋カープ
2位 読売ジャイアンツ
3位 中日ドラゴンズ
4位 横浜DeNAベイスターズ
5位 阪神タイガース
6位 東京ヤクルトスワローズ
広島は優勝メンバー以外にも次世代を担う若手が揃い、黒田博樹が担ったイニング数については岡田明丈、他にも加藤拓也、塹江敦哉、床田寛樹とデプス穴埋めに事欠かない。読売は大補強の効果はあるだろうが、広島には一歩及ばないと予想する。小林誠司の正捕手定着に期待する。中日はアレックス・ゲレーロの加入で野手の流動性が豊かに。采配面で無理な運用が無ければ、Aクラス再浮上のきっかけにもなるほどだと予想する。DeNAは打線の厚みは確かに増したが、ディフェンスとの兼ね合いが微妙。投手陣も外国人頼みの部分が大きいのが不安だ。
阪神は昨季以上に世代交代重視の年になりそう。小野泰己や望月惇志といった投手に有望株が多いのは期待できる。ヤクルトは投手陣の整備が進んでおらずAクラス浮上の芽は小さい。WBCでも活躍したウラディミール・バレンティンのバット次第では、最下位を免れることもあるかもしれない。広島が頭ひとつ抜けたペナントレースになると予想する。補強に動いた読売は別にして、世代交代を進めたタイミングが順位に影響しそうな展開になるのではないか。
解説者の予想をもとに機械的に算出(予想者:Student)
1位 読売ジャイアンツ
2位 広島東洋カープ
3位 阪神タイガース
4位 横浜DeNAベイスターズ
5位 中日ドラゴンズ
6位 東京ヤクルトスワローズ
選考方法は、少々独特ではありますが2001年から2016年までの『週刊ベースボール』の野球解説者の順位予想結果と実際の順位との関係から、2017年の順位予想結果を元に算出しました。
具体的には「解説者の予想順位の一致度が高くなると、実際の順位が的中しやすくなるか」という関係を求めました。一致度というのは、例えば、10人中5人が「広島が1位になる」と予想した場合の一致度は50%という計算になります。この一致度の高低と、予想が的中したかどうかという関係を1~6位でそれぞれ分析しました。この関係式に今年の順位予想を当てはめたものを予想としています。
新外国人選手に注目(予想者:水島 仁)
1位 広島東洋カープ
2位 横浜DeNAベイスターズ
3位 読売ジャイアンツ
4位 中日ドラゴンズ
5位 阪神タイガース
6位 東京ヤクルトスワローズ
広島は昨年の経験がものを言いそうだ。クリス・ジョンソン、ジェイ・ジャクソンは投手陣の核となり今年も活躍するだろう。打撃陣ではブラッド・エルドレッドは故障がちなのは気になる。37歳という年齢を考えると序盤で出遅れチーム打撃陣が不振に陥った場合、早々に新外国人選手獲得というケースも十分にあり得る。新外国人の元WBCメキシコ代表のラミロ・ペーニャは、内外野を守れるユーティリティ選手。三振が少ないシュアな打撃が持ち味で、中日時代のエクトル・ルナのような活躍ができれば面白い存在になる。
DeNAは、期待されながらもポテンシャルが発揮できていない関根大気や白崎浩之が今年もオープン戦で絶好調だ。そろそろシーズンで結果を残したい。彼らが活躍すれば、WBCでその長打力を世界に知らしめた筒香嘉智と、オープン戦で数字は上がっていないが、ホセ・ロペス、長打力とスピードのある梶谷隆幸らの力が十分に生きる、魅力ある打線が完成する。BCリーグから入団したアウディ・シリアコはオープン戦で首位打者に輝いた。ラッキーボーイ的存在になれると面白い。心配なのは投手陣で、期待の大きかったフィル・クラインが制球難を露呈しているのは頭が痛いところ。奪三振を期待されていたクローザー候補のスペンサー・パットンは、オープン戦では5回で奪三振2と期待に沿う投球はまだ見せていない。
読売はオープン戦最下位。打撃陣が低調だ。FAで獲得した陽岱鋼が下半身の張りで調整が遅れ、新加入したケーシー・マギーも51打数8安打、長打も二塁打2本のみと調子が上がっていない。さらに、昨年20本塁打をクリアしたギャレット・ジョーンズもここまでオープン戦で28打席2安打、長打はゼロ。このあたりが不安材料だ。投手陣では同じくFAで補強した山口俊が右肩の違和感で未だに一軍のマウンドに立てていない。さらにはクローザーの澤村拓一が右肩の不調でアルキメデス・カミネロがクローザーを務めることになりそうな状況だ。澤村とカミネロが不調だと、実績のあるスコット・マシソンがクローザーに回ることもありそうだ。
森繁和監督が指揮を執る中日は、外国人選手をドミニカ人からキューバ人選手にシフトした形。すべては外国人選手の活躍次第といっていい。しかし、中軸を担うことになるダヤン・ビシエドとアレックス・ゲレーロは2人でオープン戦87打数16安打と打率.184と低調なのが気にかかる。投手陣は新戦力のエルビス・アラウホとホルヘ・ロンドン、2年目を迎えるジョーダン・ノルベルトがいずれも制球難を見せており、こちらも安心できない。ドラフト1位の柳裕也は右肘の炎症で調整が遅れており、エース大野雄大にかかる負担が大きい1年になりそうだ。
阪神は、優勝する年は外国人選手が活躍するという歴史がある。今年の唯一の外国人野手であるエリック・キャンベルは左手首の腱鞘炎で調整遅れが続いている。もともと長距離砲ではなく、復帰しても打線にパワーを注入できる存在にはなり得ないのではないか。FAで入団した糸井嘉男も右膝関節炎の影響が気になる。
ヤクルトの外国人選手の起用は、ウラディミール・バレンティン+3人の投手という編成になるだろう。投手ではロス・オーレンドルフがローテーション入りを果たすようだが、ヤクルトは近年クリス・ナーブソン(2014年)、カイル・デイビーズ(2016年)といった「来日数年前に、メジャーで先発投手として実績のある投手」を獲得しあまり活躍できずに退団するというケースが散見される。オーレンドルフのメジャーでの先発実績は7年前のレッズでのものであり、先発としての活躍は厳しそうだ。過去のスタッツからはリリーフ適性は多少うかがえる。
広島は逆風を跳ね返すほどの戦力(予想者:市川博久)
1位 広島東洋カープ
2位 読売ジャイアンツ
3位 阪神タイガース
4位 横浜DeNAベイスターズ
5位 中日ドラゴンズ
6位 東京ヤクルトスワローズ
広島は150イニング以上登板した黒田博樹の引退は痛手。そのイニングがそのままリプレイスメントレベルに置き換わるとは考えがたい。リリーフ陣の登板過多が気になるものの投手陣の戦力ダウンはそれほど大きくなるとは考えにくい。野手は他の5球団からは抜けていることも合わせ考えると、多少の逆風は跳ね返して優勝できるだけの戦力があると見る。読売は過剰ともいえる補強を行った投手陣は層も厚く、リーグトップの戦力といえる。ただし、もともと投手陣は戦力がそろっていたため補強の効果はそれほど大きくないだろう。野手陣には大きな問題があり、補強したポジションも的確とはいえず、劇的な強化には繋がらないと思われる。補強した野手と既存の野手との起用法を誤ると、補強の効果はほぼ消える。全体的な高齢化も不安材料。主力の野手にケガがない限りはBクラスに落ちるとも考えにくいが、優勝は困難と見る。
阪神は投手陣の駒がそろっており、多少の離脱があってもある程度計算できる投手でカバーが可能。リーグでもトップクラスの先発投手を有しており、大崩れはないだろう。野手はかなり問題がある。補強を敢行した外野手はある程度の上積みが期待できるが、内野手はもともとの戦力不足に加え、複数のポジションが絡むコンバートといった不確定要素も大きく、弱点となることが予想される。DeNAとどちらが上位か迷ったが、計算できる投手を多く抱える阪神を上位とした。
DeNAは、山口俊の移籍が大きな痛手。同じく長いイニングを投げていた黒田博樹が引退した広島と異なり、先発5番手以降の能力に不安があるため、やりくりに苦労させられることになる危険がある。野手は全体的に若い選手が多く、昨年から力落とすことよりも上積みの方が大きいだろう。ただし、元々の戦力がそれほど高くないため、過度な期待はできない。山口の離脱の影響を考慮して4位としたが、Aクラスになる可能性も十分ある。中日は本拠地の違いからはわかりづらいが、ヤクルトと同様投手陣に大きな問題を抱えている。先発ローテーション下位の投手でもそれなりの投球は見込めるが、頭一つ抜けた投手がおらず、他のチームの投手陣には及んでいない。大島洋平と平田良介の残留交渉に成功した外野手は、大きな戦力流出を回避でき強みとなるだろう。一方で、内野手は弱点となっているポジションが多い。チームの再建は半ばで上位争いは難しい。
ヤクルトはとにかく投手が足りない。安定してイニングを投げられる先発投手を欠いており、改善は困難である。その影響か救援投手の登板が大きな割合になっており、コンディションの維持にも課題を抱えている。
野手は戦力の流出こそ防げたものの、大きな上積みはない。山田以外の野手でどこまで上積みをつくれるかが、シーズンの結果を左右する。
上位争いは難しい。
3位以下はどのような順位もありえる(予想者:山崎和音)
1位 広島東洋カープ
2位 横浜DeNAベイスターズ
3位 東京ヤクルトスワローズ
4位 読売ジャイアンツ
5位 阪神タイガース
6位 中日ドラゴンズ
滝を上り、もはや龍となった鯉に立ち向かえるチームは、今年のセ・リーグには存在しない。昨年から多少のリグレッション(後退)があると考えても、2年連続優勝は堅い。鈴木誠也、菊池涼介、丸佳浩、田中広輔、クリス・ジョンソン、野村祐輔といった主力選手が全員エイリアンに攫われるという事態が起こらない限り、カープの1位は安泰だろう。中日は1人でリーグ全体の順位に大きな影響を及ぼすような能力のある選手が欠けているため、上位進出は難しいだろう。残りの4チームは若手の成長、故障者の有無、新外国人の活躍次第で順位はどのようになってもおかしくない。
陽岱鋼の体調が万全ならば、読売の追撃も?(予想者:大南 淳)
1位 広島東洋カープ
2位 読売ジャイアンツ
3位 東京ヤクルトスワローズ
4位 阪神タイガース
5位 横浜DeNAベイスターズ
6位 中日ドラゴンズ
広島は黒田博樹の代役となる可能性が高い大瀬良大地の状態が不安だったが、オープン戦最後の登板で好投。ローテーションも一定のレベルが期待できそうだ。センターラインを中心に他球団への優位性は揺るがない。読売の補強は上積みが小さいと予想する。陽岱鋼のコンディションが万全でようやく広島に迫れるといったところだろうか。
ヤクルトは昨季終盤やや調子を落とした山田哲人が復調しているように見える。また投手の層が薄いのは事実だが、逆に新戦力の外国人投手の貢献がそのまま上積みになりやすい状況とも言える。
阪神はランディ・メッセンジャー、能見篤史、藤川球児など投手陣の加齢リスクが大きい。糸井嘉男の加入、高山俊、北條史也らの成績向上によりチーム成績は昨季よりも上がるだろうが、Aクラスまで届かないと予想する。DeNAは山口俊の退団が大きな損失。山口と新たに入る先発ではレベルの差が大きい。期待の有望株も多く抱えているが、一軍での活躍にはもう少し時間がかかるのではないか。中日は新外国人の活躍以外での上積みの期待が小さく、厳しいシーズンになると見る。
本命・広島 対抗・読売という図式(セ・リーグまとめ)
オフに大型補強を行った読売だが、補強が大きな効果をあげるという意見は少ない。アナリストの意見を総合すると本命・広島、対抗・読売という図式になりそうだ。広島は昨季までの成果を残すことができなくても優勝できるほど圧倒的な戦力差があるとみるアナリストもいる。残りの4球団は新外国人や世代交代により順位が左右されるとの意見が多い。DeNAは新外国人、阪神は世代交代、ヤクルトは投手陣、中日はルーキーや新外国人をポイントとしてあげるアナリストが多かった。この4球団は混戦になるとの予想が大半で、弱点となっているポジションにブレイクする選手が現れる、あるいは主力選手に故障者が出るだけで大きく順位が入れ替わりそうだ。
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