• 1.02 Column



3月31日に開幕したプロ野球は、先週末までに3カードを終え、各球団10試合近くを消化した。1.02では今季も、2週間ごとに高多氏がレビューを行う。一・二軍両方のデプスチャートや2週間分のセイバーメトリクス指標などを参考にしながら、先週までの動向を振り返る。

セ・パ両リーグ 順位のおさらい


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セ・リーグは読売が開幕3連勝。阿部慎之助選手の連日にわたる活躍により、昨季の主催ゲームで5勝8敗と分が悪かった中日をスウィープしました。前年度リーグ覇者の広島は、投手陣の乱調で幕を開けるも、開幕2戦目から7連勝を記録しなおも継続中。4月7日のヤクルト戦では、ドラフト1位ルーキー加藤拓也投手が9回一死まで無安打無得点を続けるなど、新戦力も台頭しています。阪神も投手陣に不安を抱えてのスタートとなりましたが、4月9日の読売戦で期待の北條史也選手が2本塁打を記録したように、昨季から抜擢した若手が芽を出しつつあります。

優勝争いのダークホースと見られているDeNAは、WBCで4番を務めた筒香嘉智選手が四球攻めによる不調に陥るなど、攻撃力はやや低調。投手陣もドラフト1位ルーキーの濵口遥大投手、フィル・クライン投手、スペンサー・パットン投手らを見定める起用が続いており、チームとしてエンジンが掛かるのは今週以降となりそうです。ヤクルトは、不安視されていた投手陣が健闘。リリーフ再転向となった石山泰稚投手の復活で、引き締まったゲームを演じています。中日は1勝6敗2分と出遅れただけでなく、早くも先発ローテーションのやりくりに苦心している状況。森繁和新監督の大胆な起用が必要かもしれません。


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パ・リーグは楽天が開幕ダッシュに成功。2番にカルロス・ペゲーロ選手を配置した打線は、ここまで1試合あたり6.13得点と絶好調。少しでも点を多く取るという目的で作った打順がうまく噛み合い、終盤の大事な場面に打席が回ったペゲーロ選手が一発を放って試合を決める最高の結果を導いています。その楽天に開幕3連敗を喫したオリックスは、新外国人ステフェン・ロメロ選手の4試合連続本塁打や投手陣の復調もあって、その後は5連勝を記録。2014年10月以来となる貯金及び2位浮上を果たしています。ソフトバンクは開幕3連勝したあと、楽天と西武を相手に苦戦。上林誠知選手、石川柊太投手といった若手を育成しながらの戦いで、今後に備えようとしています。

西武は開幕スタメンに起用したドラフト3位ルーキー源田壮亮選手が守備で貢献し、心配されていた投手陣も概ね順調。今週はじめからのビジター5試合で真価が問われます。ロッテは新外国人ジミー・パラデス選手、マット・ダフィー選手のバットが湿りがちで、チーム打率.198と打撃不振が深刻化しています。場合によっては投手陣を頼りに、ディフェンスに重きを置いた陣容に変化するかもしれません。日本ハムは、大谷翔平投手が左太もも裏の肉離れで戦列を離脱。中田翔選手も満足にスイング出来ない状態で、シーズン序盤からピンチを迎えています。



一・二軍デプスチャート一覧


今季から各球団の一軍、二軍のデプスチャートを作成し、故障者情報も交えた最新の戦力状況についてのリポートも行います。画像にマウスをのせる(スマートフォンの場合タップする)と一・二軍が切り替わります。

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開幕間もなくして大谷投手を失ってしまった日本ハムは、中田翔選手も右鼠径部(足の付け根部分)の痛みにより、一軍登録を抹消される可能性が指摘されています。打線の飛車角落ちも痛いことに違いありませんが、森山恵佑選手なり高濱祐仁選手なりを昇格させると、今度はファームのデプスが極端に薄くなってしまいます。故障中の大田泰示選手らが戻ってくればデプスも落ち着きますが、緊急補強すら要しそうな状況にあります。

日本ハムの現在の支配下登録人数は67名で、育成選手が在籍していないことから思い切って外国人野手を2名補強することも無理ではありませんが、一刻を争う事態となればトレードによる補強も考えなければなりません。一昨年は、楽天とヤクルトで選手が足りなくなり、ブルペン捕手、球団職員と育成契約を結んでファームの試合に出場させたこともありました。こうした対応を迫られるのか、球団の動きが注目されます。

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ソフトバンクは調整が済み次第、米球界から復帰した川崎宗則選手を一軍登録するでしょう。ロッテは「遊撃手を誰が担うか」という課題に対し、現在は中村奨吾選手がファームで調整させ、一軍では大嶺翔太選手と平沢大河選手にレギュラーを争わせています。西武は、外野に田代将太郎選手や木村文紀選手ら実績の少ない選手を起用している段階ですが、先日ファームで外崎修汰選手もレフトで起用されていました。今後もポジション争いから目が離せません。

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楽天は、故障の今江年晶選手に代わって、ファームで打率.357と好調だった西田哲朗選手が昇格。ドラフト1位ルーキー藤平尚真投手は、ここまでファーム3試合に先発して11イニング無失点、15奪三振と早くも才能を見せつけています。同じく、オリックスのドラフト1位・山岡泰輔投手も12イニングで失点は1、18奪三振と好調で、今週にもプロ初先発が期待されています。

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広島も故障者は少なくない状況ですが、若手投手陣がその穴を良く埋めています。ファームでは、ドラフト4位ルーキーの坂倉将吾選手が規定打席を僅かに不足しながらも打率.333と、高卒新人の中では頭一つ抜けた結果を出しています。読売は一軍で中井大介選手、岡本和真選手らを辛抱強く起用し、ファームでも宮國椋丞投手と高木勇人投手が完封を記録するなど、デプスの厚みを見せています。ケーシー・マギー選手の加入により、現在は控えに甘んじている村田修一選手も、これから出番が増えて来るでしょう。

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DeNAは期待の新外国人アウディ・シリアコ選手がファームに降格。三塁のポジションは宮崎敏郎選手、白崎浩之選手、山下幸輝選手らの間で厳しい戦いが待っています。ファームでは高卒ルーキーの松尾大河選手、細川成也選手らを重点的に起用。長期的な視点がうかがえます。阪神は、一軍で若手を大量に起用している分、ファームの外野陣がややデプスを欠いています。糸井嘉男選手、福留孝介選手らベテランが故障してしまうと、より深刻な事態を招いてしまう可能性も少なくはありません。

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ヤクルトは当初の予想通り、先発陣のデプスに事を欠いています。本来ならドラフト1位の寺島成輝投手、同2位の星知弥投手を育成したいところでしたが、故障とチーム事情でそうはいかない状況です。また、故障中の川端慎吾選手不在の間に、イースタンで目下本塁打王の廣岡大志選手を抜擢したらどうかという声も出始めています。中日が手がけたいのは、まずは一軍を支える投手陣の整備。次いで一軍と二軍の垣根を超えたポジション争いが望まれます。


2週間の個人成績の振り返り


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セ・リーグの野手では、リーグ2位の出塁率.512を記録しながら守備貢献も高い大島洋平選手(中日)がWAR(Wins Above Replacement)でトップ。開幕から4本塁打で読売のスタートダッシュに貢献した阿部選手続きます。他にOffence(wRAA+走塁評価)での貢献度が高かったのは丸佳浩選手(広島)、梶谷隆幸選手(DeNA)、糸井選手らです。打順上位の選手や好調なチームに在籍する選手ほどチャンスと打席機会が回り、高ポイントを叩き出しました。


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パ・リーグでは、打線の中にあって孤軍奮闘ともいえる活躍だった鈴木大地選手(ロッテ)がWAR、Offence貢献ともにトップに立ちました。攻撃力だけならペゲーロ選手が肩を並べ、早くも4本塁打の内川聖一選手(ソフトバンク)も上位に食い込みました。大谷投手の離脱は、攻撃面でも相当なマイナスとなりそうです。また、茂木栄五郎選手(楽天)はOffenceとDefense(UZR+守備位置補正)両面で高いポイントを稼いでおり、チームの勝利に大きなインパクトを与える活躍が最も期待出来る選手といって良いでしょう。

Defense貢献についてはLeadersを確認しながら見ていただきたい部分ですが、平田良介選手(中日)や鈴木誠也選手(広島)、浅村栄斗選手(西武)ら好守の常連が並ぶ中、中村剛也選手(西武)のランクインが目を引きます。2015年に三塁UZR+9.1を記録するなど三塁手としての能力は証明済みです。今季は走塁面でも非常に良い動きを見せており、健康状態はかなり良さそうです。


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投手成績を見ていきます。イニング最多を記録したのは、セがマイルズ・マイコラス投手(読売)、パは西勇輝投手(オリックス)でした。おおよそ二度の先発機会で7~8回を投げ切ったことになります。

登板数はリリーフの稼働具合を計る数字です。両リーグトップを記録した投手はいずれも6試合に登板しましたが、楽天の3投手はいずれもリードもしくは同点の場面で登板し、3連投は記録していません。また、三ツ間卓也投手(中日)と須田幸太投手、三上朋也投手(DeNA)は3日連続してマウンドに上りましたが、延長戦を戦った関係でやむを得ない事情がありました。連勝が続いたり、延長戦が増えるとブルペン稼働が激しくなることは確かですが、最低限の運用はなされていたと理解して良さそうです。


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失点率は防御率と比較すると失策による失点をも考慮する厳しい視点となりますが、責任イニングでの失点を明確にすることでより勝ち星に近い貢献を示すものです。その点で、すでに2勝を挙げている九里亜蓮投手(広島)と和田毅投手(ソフトバンク)が上位に並んでいるのは順当な結果ともいえます。奪三振は、力強いパフォーマンスを示した投手が並んでいます。

投手で注目の存在は、4月4日の楽天戦でプロ初登板を飾った石川投手。今季でプロ4年目ですが、昨年7月に育成枠から支配下枠に昇格したばかりで、ファームでの実績は2016年に33、今季は3イニングと計36イニングの経験しか持っていません。プロ入り以来、右肩や右肘の故障に苦しんでいた石川投手は、昨季になってようやく出てきた逸材でした。

その石川投手が、4月8日の西武戦0-5とリードされた4回から登板し、8回までの5イニングを投げ切りました。エルネスト・メヒア選手に一発を浴びたものの、許した走者は同じくメヒア選手に四球を与えたのみで、他の8人の打者に対する計15打席をパーフェクトに抑えるピッチング。縦に大きく割れるカーブとフォークが精度良く決まり、この日のストレートは平均147.9km/hを記録しました。球数50球を超えたあたりからスピードはやや落ちましたが、この登板最後の打者木村文紀選手への67球目は151km/hのストレートで空振り三振。ソフトバンクに将来性豊かな投手がまた一人誕生しました。



高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。
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