この度、1.02ではデータ集計ロジックのアップデート(ver.2.5.0)を行いました。アップデートにより過去年度含め掲載中の値に変動が起こっています。今回の記事では、どういった点でアップデートが行われたかを紹介します。
パークファクター補正式を変更
これまで1.02ではパークファクターで各指標を補正する際、シーズンの打席に占める本拠地打席割合をベースに計算を行っていました。具体的には以下のような計算です。
PF補正値(wOBAから減算)=(本拠地球場での打席数÷総打席数)×(本拠地試合での両軍合わせたwOBA-それ以外の試合での両軍合わせたwOBA)
ただこの方式では補正がやや過剰に施される問題がありました。例えば打撃成績を残しやすい神宮球場を本拠地とするヤクルトの打者には、基本的に下向きの補正が掛かりますが、それが必要以上に下がってしまっていたのです。
今回のアップデートではこの計算を見直し、1打席単位で各球場のパークファクター補正を施す方式に変更しました。例えば村上宗隆選手(ヤクルト)が東京ドームで立った打席には、東京ドームのパークファクターが施されます。
このアップデートにより、例えばwRC+については以下のように変動が生まれています。これまで過剰だった補正がより適切に施されるようになりました。
“捕逸回避rPB”に代えて、総合ブロッキング指標“rBlk”を追加
これまで1.02では、捕手の守備指標として、捕逸を回避することで平均的な捕手に比べどれだけ失点を防いだかを表す“rPB”を掲載していました。ただrPBが対象とする捕逸はプロ野球のレベルとなるとそれほど発生せず、捕手の総合的なブロッキング貢献度を示すに十分ではありませんでした。
今回のアップデートではこのrPBに代わり、捕逸だけでなく暴投も対象とした“rBlk(Blocking Saved runs above average)”を掲載指標として追加しています。rBlkではより頻度が多く捕手のスキルも問われやすい、ワンバウンド処理含めた全体的な進塁抑止貢献を測ることができます。
具体的には、以下に示した投球条件別に暴投or捕逸期待値を算出。その期待値に比べ実際にどれだけ暴投を防いだかを求め、それを得点の単位に換算することで、ブロッキングでどれだけ失点を防いだかを表すrBlkが算出されます。
- ・球種グループ(速球系、曲がる系、落ちる系)
- ・球速グループ(5km/h単位)
- ・投手・打者左右
- ・捕手の構えのコース
- ・投球コース
- ・ワンバウンドしたかどうか
このアップデートにより、新旧のブロッキング指標で以下のような差分が生まれています。
その他の不具合修正
・外野手UZRの集計に、本来集計対象外である柵越え本塁打が一部含まれてしまっていた不具合を修正しました。
ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。
DELTAでは今後もアナリストの意見を広く取り入れ、定期的にロジックのアップデートを行っていく予定です。今後とも1.02をよろしくお願いいたします。