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6月19日に終了したセ・パ交流戦はソフトバンクが優勝。交流戦MVPは柳田悠岐が受賞した。セ・リーグでは読売が大型連敗をストップ。山口俊、陽岱鋼の復帰でようやく光明が見えてきた。前回は こちらから。(データはすべて6月19日時点)

セ・パ両リーグの順位おさらい


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19日をもって交流戦が終了。今年度もパ・リーグが56勝51敗1分と勝ち越しを決めましたが、リーグ間の決定的な差はあまり感じられず、最後まで緊迫したゲームを楽しむことができたように思います。セ・リーグ負け越しの要因を作ってしまった読売は、球団ワーストを更新する13連敗を記録。途中、外国人選手の入れ替え策で連敗脱出を図ろうとしましたが、ブルペンが手薄になったことでかえって傷口を広げてしまい、球団幹部の更迭にまで発展してしまいました。その後、球団は新体制を発表。チームも、山口俊らの戦列復帰によって借金を返し始め、最終的には6勝12敗まで持ち直しました。

ヤクルトも交流戦に入ってから引き分けをはさんで10連敗を記録。投手、野手ともに故障者を多く抱えてしまい、先発ローテーションやスタメン起用にも支障をきたす状態。連敗はデビッド・ブキャナンを中4日で起用することで何とか食い止め、先週は楽天と日本ハムを相手に勝ち越しを決めたものの、5勝12敗1分の成績で交流戦最下位が決定。今後は、何よりも故障者の復帰と投手陣のコマ不足を解消しないことには上位進出の見込みも立ちません。

広島は交流戦でも好調を維持。直接対決の結果によりソフトバンクに優勝は譲ったものの、12勝6敗は堂々たる成績です。チームはこの間、クリス・ジョンソンの復帰に伴い九里亜蓮を救援に配置転換と、やや手薄なブルペンの整備に着手。ここが盤石の体制になれば、他球団の追い上げを振り切る勝算が立ってきます。阪神も交流戦では10勝8敗と勝ち越し。開幕から不調だった岩貞祐太がここに来て復調。昨季はこの時期から打線がスランプに陥り、交流戦を通じて3本しか記録できなかった本塁打も今季は10本。チームは投打ともに1つの山を越えたといって良いでしょう。

9勝9敗で終えたDeNAは、2014年以来3年ぶりに交流戦勝率5割以上を達成。打線では、自身初の規定打席に到達した宮﨑敏郎が打線を牽引。9日の西武戦で勝利を呼び込む逆転2ランを放つと、15日のロッテ戦では逆転満塁弾。現在も打率.342でセ・リーグのトップを走っています。中日も交流戦は9勝9敗で終え、開幕から苦しんでいたチームの立て直しに成功。戦力も絞り込みが図られ、捕手は松井雅人と木下拓哉を併用。先発陣も、小笠原慎之介や柳裕也らが定着しそうな状況にあります。


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パ・リーグは交流戦では動きが見られたものの、5月30日からリーグ内の順位変動が一切ありませんでした。12勝6敗で戦い終え、同率の広島との直接対決の結果により交流戦の優勝を決めたソフトバンクは、野手では内川聖一やアルフレド・デスパイネ、投手も千賀滉大が故障で離脱しましたが、残った戦力でチームの危機を突破。成績を見れば主力離脱の影響はなかったようにも見えますが、リーグ公式戦再開後も同じように戦えるかが重要なポイント。デスパイネ離脱後の6試合で、本塁打が4本しか出ていないのはやや気がかりです。

ソフトバンクは、またしても主力選手が故障でチームを離脱。2日のDeNA戦で内川聖一がスイング中に首を痛め、翌日には一軍登録を抹消。4番の穴はアルフレド・デスパイネが埋めています。投手陣は依然として苦しいやりくりを続けていますが、31日の中日戦に先発として起用された石川柊太、3日のDeNA戦で松本裕樹がそれぞれプロ初勝利をマーク。家族の事情で帰国していたデニス・サファテも無事復帰を果たし、チームはこの間守護神不在の影響を受けず、順調に貯金を増やしたことは大きなプラスでした。

楽天は調子をやや落としたものの、交流戦10勝8敗と勝ち越しには成功。連続2ケタ奪三振記録を更新した則本昂大、交流戦2勝の美馬学らの個の力で勝つ試合が見られました。しかし一度は先発ローテに返り咲いた塩見貴洋に腰痛が再発、攻守の要だった茂木栄五郎も右肘痛により一軍登録を外れるなど怪我人も多発しており、チームの状況は悪くなっています。西武はソフトバンク、広島に次ぐ10勝7敗で交流戦を終え、今でも優勝を狙える位置につけています。弱点となっていた両翼に関しても、左翼に栗山巧、右翼に金子侑司が起用されることで改善の芽が出てきました。

オリックスは交流戦6連勝と好スタートを切りながら、最終的には10勝8敗と苦戦の展開に。勝っても負けても僅差の試合が多く、それによって主要リリーフが激しく稼働。16日のDeNA戦では、中継ぎエースとして信頼を集めていた黒木優太が救援失敗。翌17日の同カードでも、ブルペン4人で10失点と傷口を広げてしまいました。一軍と二軍の入れ替えを見る限り、多くの戦力を試したい意思は感じられるものの、実戦では起用に不安を覚えるのか一部の投手ばかり起用してしまう状況 。反対に、野手は固定されていないメンバーは左右の相性を重視した日替わりオーダーになり、チームにはレギュラーと控え、一軍と二軍の壁がまだまだ厚いという印象を受けます。

5月以降は調子を取り戻したかに見えた日本ハムも、交流戦は8勝10敗で負け越し。読売から移籍の大田泰示がレギュラーをほぼ手中に収める活躍をしましたが、右ハムストリングを痛めて登録を外れた近藤健介の穴は非常に大きく、一発に頼りがちな攻撃パターンだったのは否めません。また、ブルペンも救援失敗を繰り返し交流戦では4敗を数えましたが、これには先発陣のイニング消化不足も影響を与えました。6勝12敗で交流戦を終えたロッテは、14日のDeNA戦から5連敗で借金も増加。打線は一時復調していたかのように見えましたが、得点力を裏付ける理由には欠けており、対戦相手によってムラが見られました。


一・二軍デプスチャート(6月19日時点)



交流戦の終了とほぼ同時に多くの入れ替えがあり、登録抹消を受けた選手は二軍のデプスチャートにて整理しています。

画像にマウスをのせる(スマートフォンの場合タップする)と一・二軍が切り替わります。

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日本ハムは、開幕から3番手捕手として一軍に帯同していた清水優心選手が8日付にて一軍登録を外れましたが、ファームでは積極的に起用され、16日からのイースタン楽天戦では、出場2試合で2失点と投手陣を好リード。チーム内には同世代のライバルが多いものの、次代のレギュラー獲得に向け二軍で力をつけている状態です。ソフトバンクは、キューバから育成枠で獲得したリバン・モイネロとオスカー・コラスを既に戦力化し、21歳のモイネロは16日付で支配下選手に昇格。そのまま一軍登録されました。19歳のコラスは投打二刀流として育てる方針のようで、三軍の試合では野手として5試合、投手としても1試合に出場し、才能豊かなプレーがコーチ陣の間で評判となっています。


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ロッテは今後の課題として、途中獲得したウィリー・モー・ペーニャとその他外国人選手との起用方針が頭に浮かんできますが、ロエル・サントスに出場機会を奪われた岡田幸文と柴田講平らもファームでは好調で、これを機に野手全体の競争力を高め、層を厚くしたいところでしょう。西武は、ファームで抜群の長打力を見せつけていた2年目の愛斗が一軍初昇格。今回は経験を積ませるための抜擢でしょうが、先発ローテ下位の投手を登録するまであと何試合かは余裕があり、今週末のソフトバンク3連戦までは一軍での出場チャンスが得られそうです。それまでにプロ初安打を記録させ、自信をつけた上でファームに送り返すというのが首脳陣の狙いでしょう。


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楽天は、開幕から健闘してきた森原康平、菅原秀のルーキーコンビを一軍登録から外しました。休養と調整に当てることが狙いのようです。また、茂木の穴埋めには三好匠を起用。打席数は少ないものの.364の高打率で首脳陣の信頼も厚くなっています。本人としてはこれをきっかけにレギュラー奪取といきたいところでしょう。オリックスは、途中入団のクリス・マレーロを含めた外国人野手3人の起用法に注目。9日からの中日3連戦では、ブレント・モレルを二塁で起用する攻撃的なオーダーも見られましたが、相手投手によって目まぐるしく変わる現状の起用法では、選手の調子が安定感を欠いてしまうのも仕方ないかもしれません。


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広島の課題は一にも二にも救援陣。これまでは難なく乗り切ってきましたが、これは故障者が非常に少なかったためです。現在も登録中の今村猛、ジェイ・ジャクソン、中田廉、九里亜蓮の4人は開幕から一軍で投げ続け、今後も同じ成績を計算できれば良いですが、手堅い戦法をとるなら今から新しい顔ぶれを加える必要があります。その1番手として期待したいのが、ドラフト1位ルーキーの加藤拓也。先発陣に余裕がある今だからこそ、こうした配置を試すこともできます。読売は新しいローテーションがまずは成功を収めており、6月からチームに合流した陽岱鋼と山口俊が計算通りの働きをすればかなり有望です。人材を欠いている二塁も、2年目の山本泰寛と5年目の辻東倫とのポジション争いで競争力を高め、層を厚くしたいところでしょう。


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DeNAは、交流戦の雨天振替となった19日のオリックス戦で3年目の飯塚悟史がプロ初先発。5回無失点の好投も勝ち投手にはなれませんでしたが、次に繋がる感触は十分得ることができたのではないでしょうか。一方野手では、開幕からフルイニング出場を続けている倉本寿彦が攻守で精彩を欠き、チームとしては弱点を埋めたいところですが代役が見当たりません。守備だけを取っても勝利貢献の高いポジションなだけに、アレックス・ラミレス監督も起用には悩んでいることでしょう。阪神は外国人選手獲得の話題が浮上。元広島のエクトル・ルナやライネル・ロサリオといった日本球界経験者を中心に名前が上がっています。優勝を狙うには補強の手を緩めないことが重要。原口文仁や中谷将大らは相当な刺激を受けているに違いないでしょう。


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ヤクルトは何よりも故障者の復帰が重要ですが、それまでの間は将来的に戦力になりそうな選手を見極め優先して使うべきでしょう。これまでにも、苦しい台所事情から藤井亮太が三塁に定着。2年目の原樹里も、先発として一皮剥けたピッチングを披露するようになりました。一軍の戦いと育成は切り離して考える必要はあるものの、両者を溶け込ませる時期とタイミングを見落とさないためにも、真中満監督の判断は今以上に重要になってきます。中日もブルペンの固定、ファーム戦力の整理と課題は多く残されていますが、より勝利に貢献できる選手を見極めることが順位上昇の鍵になってくるでしょう。


2週間の個人成績ランキング


OffenceはwRAA(weighted Runs Above Average)+走塁評価、DefenseはUZR(Ultimate Zone Rating)+守備位置補正

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16日のソフトバンク戦で3打席連続本塁打を記録した丸佳浩(広島)が、WAR(weighted Runs Above Average)をはじめ多数の部門でトップ。交流戦期間を通しても打率.411と中心f打者としての責任を十分果たしました。


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ランキングにはそれほど顔を出していませんが、勝負強さをとことん発揮したのがステフェン・ロメロ(オリックス)。9日の中日戦でサヨナラ本塁打を放ち勝利に貢献すると、14日の広島戦では来日初の1試合2発。同19日のDeNA戦でも逆転2ランを放ち、出場33試合ながら11本塁打を記録しています。同僚となったマレーロは、来日初出場となった9日の中日戦で左中間に特大の一発を放ちながら、なんとベース踏み忘れで三塁打に訂正。翌日、正真正銘の来日1号を記録して面目を保ちました。また、交流戦開始と同時にチーム合流を果たした金子侑司(西武)も高い貢献度。打っては1番に定着し打率.308に4盗塁。守りでも、広い守備範囲と強肩でDefenseリーグ2位の高ポイントを記録しました。


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セ・リーグの先発投手で光ったのはブキャナン(ヤクルト)。チームが連敗に苦しむ中、11日のロッテ戦に中4日で先発し7回2失点で勝利投手に。続いて、中5日空けた同17日の日本ハム戦では4安打完封勝利を果たし、今やチームのエースと呼んでも差し支えない存在に。ブキャナン本人は、日本での生活が相当気に入っているようで、それがチームへの忠誠心へと繋がっているのも心強い点でしょう。同じくチームの連敗をストップさせたマイルズ・マイコラス(読売)はFIP(Fielding Independent Pitching)、WARの両方でリーグトップ。セ・リーグ新人投手の中で、開幕から唯一ローテーションに定着している濵口遥大(DeNA)も、依然として質の高いピッチングを続けています。


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則本昂大(楽天)は、15日のヤクルト戦で連続2ケタ奪三振の記録が途絶えるも、2試合で16イニングはリーグトップ。菊池雄星(西武)もイニング数で則本と並び、最近の5試合で8イニング以上を4度も記録し、イニングイーターの評価をすっかり定着させました。救援投手では、岩嵜翔(ソフトバンク)が17日の広島戦で丸佳浩に決勝本塁打を許し、吉田一将(オリックス)も同日のDeNA戦で戸柱恭孝に逆転満塁弾を浴びてしまいました。岩嵜はこの日が3連投目、吉田一は4連投目と登板が重なっていた点が気になります。



高多 薪吾 @hausmlb
個人サイトにて独自で考案したスタッツなどを紹介するほか、DELTAが配信するメールマガジンで記事を執筆。 投手の運用に関する考察を積極的に行っている。ファンタジーベースボールフリーク。
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