3月26日、ついに2021年のプロ野球が開幕する。開幕に先立って1.02ではDELTAアナリストに順位予想を依頼した。予想を行う手法は各自自由に選んでもらい、簡単なコメントをもらい掲載している。アナリストによっては機械的に成績を予測する
プロジェクションという手法を採用している。その機械的な予測の中でも意見が割れているが、これは予測の要素に何をどれだけ織り込むかの差である。今回はセ・リーグ編。パ・リーグ編は
こちらから。
機械的な予測による優勝予想は読売(予想者:岡田友輔)
1位 読売
2位 阪神
3位 広島
4位 中日
5位 DeNA
6位 ヤクルト
例年同様に過去データから機械的に今季の成績を予測するプロジェクションという手法を採用。各選手の成績を予測し、そのデータをもとにチーム順位を予想した。新規加入選手についても貢献を見込んでいる。
不在外国人選手の欠場分を見込んで順位を予想(予想者:道作)
1位 読売
2位 阪神
3位 DeNA
4位 広島
5位 中日
6位 ヤクルト
選手の過去3年成績を加重平均したものを2021年の予測成績としてチーム別成績を集計。さらに選手の移動による得失点変動を加減して順位予想を行った。
昨季に引き続き外国人枠選手の動向が難しいシーズンとなってしまった。一応3月15日の時点で合流できていないと考えられる選手については最初の30試合を欠場するものと仮定したが、これとて想像の域を出るものではなく、非常に心もとない。現時点で合流できている選手が多いチームは、編成の準備が良好だったにしろ単なる幸運であったにしろアドバンテージを持っていることになる。
セ・リーグは、攻守両面で力のある読売が1位。失点阻止能力改善に目途の立っていないヤクルトを最下位とした。2位から5位の想定得失点差はちょっとした結果のブレの範囲内の差であるため、入れ替わりも大いにありそうだ。阪神については昨季の結果はやや上振れしたと考えている。ただ今季は外国人枠選手がいち早く出揃いそうで、運に関係なくやや有利と考えた。
広島は過去3年の失点阻止力がリーグ下位に沈んでいる。今季さらなる悪化を見るようなら長期的な低迷のおそれも出てきそうだ。
成績予測システムから順位を予想(予想者:蛭川皓平 @bbconcrete)
1位 読売
2位 広島
3位 ヤクルト
4位 阪神
5位 中日
6位 DeNA
佐藤氏によるセ・リーグ順位予想
順位 |
球団 |
予測得点 |
予測失点 |
ピタゴラス勝率 |
1 |
読売 |
637 |
572 |
.553 |
2 |
広島 |
610 |
568 |
.536 |
3 |
阪神 |
596 |
571 |
.522 |
4 |
中日 |
593 |
569 |
.521 |
5 |
DeNA |
578 |
557 |
.518 |
6 |
ヤクルト |
585 |
588 |
.497 |
今年は成績予測システムを使って順位予想を行いました。選手の成績予測は、①年齢、②2020年の成績、③2019年の成績の3つの要素から行っています。
得点はWAR(Wins Above Replacement)の構成要素であるOffence値、失点は野手の守備貢献を表すDefense値に加え、投手についてもWARの構成要素である先発RAR、救援RARの値をそれぞれ予測し、これを合計し得失点を求めています。
結果、読売が1位予想となりました。
外国人選手の貢献は減少見込み。日本人選手の底上げが重要(予想者:水島仁)
1位 読売
2位 中日
3位 阪神
4位 DeNA
5位 広島
6位 ヤクルト
新型コロナウィルスの影響が未だに残る2021年シーズンは外国人選手関連で未知数のことが多い。特に新外国人選手の入国がいまだに実現せず(3/10現在)、戦力化の目処が立っていない球団が多い。
また、東京五輪に先駆けて行われるであろう米大陸予選参加でキューバ勢は離脱することが必至であり、キューバ人選手を保有している中日は戦力ダウンを余儀無くされるだろう。昨季に限れば1961年以来の両リーグで外国人選手のベストナイン選手がいなかったように外国人選手のチームへの影響はあまり大きくなかったという意見もあるかもしれないが、やはり気になるところだ。となると、日本人選手の底上げが期待できるチームが開幕から安定した成績を残しそうだ。個人的には、DeNAの若き大砲・細川成也のブレイクに期待している。
セ・リーグの注目球団は中日だ。投手有利のバンテリンドームを本拠地とすることで、安定した投手力に守られて、根尾昂、石川昂弥、岡林勇希のような若手野手が積極的に起用され、花開く可能性を秘めている。
DeNAは外国人選手の来日遅れで大きなダメージ(予想者:市川博久 @89yodan)
1位 読売
2位 中日
3位 広島
4位 阪神
5位 ヤクルト
6位 DeNA
過去3年の成績をもとに、2021年の選手成績を予測した結果から、故障情報、外国人選手の来日情報を加味して予測を行った。新人選手、NPBに在籍経験のない外国人選手はリプレイスメント・レベルで評価を行っている。このため、こうした選手の出場が多くなるチームについては、この予想よりも成績が上振れする可能性が高い。
選手の移籍が例年と比べても少なかったことで、昨季終了時点からの戦力変化は大きくない。戦力としては読売がやや抜けており、中日から阪神までがリーグ平均をやや上回る戦力で2番手から4番手。そこからだいぶ離れてヤクルト、DeNAと続く。
読売は坂本勇人、丸佳浩、岡本和真らをはじめとした野手の能力で他球団に大きな差をつけている。ここに梶谷隆幸が加わることで、他球団との差はさらに開くことが予想される。一方で投手陣は 田口麗斗が抜け、C・C・メルセデスの来日も遅れていることで、菅野智之、
戸郷翔征に続く先発投手の確保が難しく、井納翔一の加入をもってしても、リーグ平均程度の戦力にとどまる。
中日は他球団のレギュラーと比較しても優秀な野手を多数抱えており、昨季に続き上位進出が見込まれる。野手については穴が少なく、多少の故障離脱選手が出た程度では大崩れはしないだろう。投手陣についてもリーグ平均からするとやや劣っているといえるが、一昨年から見ると大きく改善している。
広島は3連覇した当時から比べると野手陣の力がリーグ平均程度まで落ちている。鈴木誠也はリーグを代表する打者だが、 菊池涼介、 田中広輔、會澤翼らが年齢相応に成績を落としていることから、野手の貢献は大きくなりづらい。投手陣は先発・救援ともに、優秀な選手が揃っている。昨季は大瀬良大地が途中離脱しながらも投手陣は大崩れしておらず、今季も安定して活躍を期待できる。
阪神は野手に弱点となるポジションが多かったことが長年の懸念だったが、近本光司や大山悠輔といった若い選手の台頭で、リーグ平均には及ばないものの問題を大きく改善した。投手はリーグでもトップクラスの貢献が期待できる。藤川球児や能見篤史といった長年チームを支えてきた投手が抜けたものの、特にその穴は感じさせない。新人選手はリプレイスメント・レベルで計算をしているため、オープン戦で活躍している佐藤輝明の貢献も低く見積もられている。もし佐藤が開幕後も他球団のレギュラーを上回る活躍を見せれば、Aクラスは確実で、優勝にも手が届く計算になる。
ヤクルトは弱点となるポジションが多数存在する。野手は山田哲人、村上宗隆、青木宣親らがリーグでも屈指の貢献をあげているが、これら選手が守る以外のポジションで他球団に大きな差をつけられている。投手陣は、突出した投手の数が他球団に劣っており、田口が加入したことを加味しても、大きな弱点となっている(ただし、得点換算した場合のリーグ平均との差は野手陣の方が大きい)。上位進出は容易ではない。
DeNAもヤクルトと同様に弱点となるポジションが多数存在するため、野手陣の貢献では他球団に比べて大きな差をつけられている。投手陣は貢献が突出して大きい投手こそ少ないものの、一定の水準以上の投手を多数抱えており、井納が抜けてもリーグ平均を上回る貢献を維持している。ただし、外国人選手が来日できていないことの影響は大きい。不透明ながら、外国人選手については、隔離期間、調整期間も踏まえて、シーズンの5分の1を出場できない前提で計算をしたが、優秀な外国人選手の多いDeNAはこの影響が最も大きかった。
阪神は読売に匹敵か。新人・佐藤輝明は優勝のキーマン(予想者:八代久通 @saber_metmh)
過去3年分の成績に年齢を考慮した選手成績予測から、2021年に見込まれる各チームのWARおよび勝率を算出した。算出過程から、前年(2020年)にWARが急上昇した選手は控えめに、急降下した選手は高めに推定される傾向がある。また、年齢曲線から30代の選手はWARの低下を織り込んでいる。特に前年にベテランが活躍したチーム、若手の急成長に支えられたチームは低く見積もられることになる。新人選手や外国人選手、MLBからの復帰組についても予測WARの中に含まれている。
八代氏による2021年セ・リーグ予想順位/WAR/勝率
順位 |
球団 |
予測 投手WAR |
予測 野手WAR |
予測 WAR |
予測勝率 |
1 |
読売 |
21.9 |
26.3 |
48.2 |
.561 |
2 |
阪神 |
25.6 |
19.8 |
45.3 |
.541 |
3 |
広島 |
23.7 |
14.9 |
38.6 |
.494 |
4 |
DeNA |
27.0 |
10.1 |
37.1 |
.483 |
5 |
中日 |
19.3 |
16.0 |
35.3 |
.471 |
6 |
ヤクルト |
21.5 |
2.9 |
24.4 |
.395 |
予測された2021年のセ・リーグは、投手WARよりも、野手WARで大きな差が付いている。投手WARの予測1位と6位の差が7.7であるのに対して、野手WARの予測1位と6位の差は23.4。野手WAR1位と2位の差が6.5という状況で、各チームとも野手の調子がカギを握るシーズンとなりそうだ。
読売
1位予想は、野手WARで大きなアドバンテージを獲得した読売となった。ただ野手WARで2位以下に大差をつけている一方、投手WARについては低調な予測である。エース・菅野のWARは、不調だった2019年に近い3.8と予測された。毎年一定以上の結果を残していた田口の移籍も手伝い、投手力でアドバンテージを作るのは難しい。それを補って余りある野手力が優勝候補筆頭の動力源となっている。特に2021年に33歳を迎える坂本勇人、32歳の丸佳浩はすでにベテランの年齢へと差し掛かっているが、圧倒的な実績から両者ともWAR5.0前後の好値が予測されている。
阪神
2021年の阪神は投手・野手ともに優れた予測が出ており、読売に匹敵する戦力が予想される。控え選手の戦力で読売に後れをとっているが、近本光司や大山悠輔を筆頭としたレギュラークラスに加え、レギュラーに近いランクの選手層が最大の強みである。オープン戦でルーキー離れした結果を残している佐藤が即戦力となった場合、優勝の可能性は大きく上昇する。
広島
広島の戦力は投手・野手ともに平均レベルと予測されているが、それぞれの内訳はやや偏りのある戦力構成である。主力選手の戦力は読売や阪神と遜色ないが、控え選手の層が薄く、全体の戦力が伸び悩んだ格好だ。レギュラーの活躍を前提として、控え選手の調子を上手く見極めた起用法がチーム浮上のカギとなる。
DeNA
DeNAはリーグトップの投手WARが予測されているが、野手WARはリーグ下位のウィークポイントとなる見込みだ。圧倒的に投手優位の傾向は近年におけるDeNAの特徴である。今回の予測では2021年にWAR2.0を超える野手は神里和毅のみ(WAR2.5)と、他球団と比較して強力な野手が少ない戦力に甘んじている。DeNAにとって毎年の課題だが、チームをけん引する野手の台頭が優勝の絶対条件だ。
中日
2021年の中日はDeNAとは反対に、優れた野手WARとリーグ下位の投手WARが予測されている。野手はやや高齢化が進んでいるが、高橋周平、京田陽太ら20代後半の選手はまだ十分主力として活躍する見込みである。一方、投手は特に先発に大きな不安を抱えた陣容だ。個々のポテンシャルは高いものの、稼働率の低さがネックとなっている。先発ローテーションの構築次第でダークホースになり得るチームと評価できる。
ヤクルト
2021年のヤクルトは一定の投手WARと、大穴を空けた野手WARが予測された。WARがマイナスと予測されたベテラン野手が多く、ベテランのコンディション管理や積極的な若手起用が直近の課題となる。田口と引き換えに廣岡大志を放出したが、これはチーム全体の野手起用を難儀にした可能性が否めない。田口の獲得はチームにとってプラスとなる公算が大きいが、難易度の高い野手起用はベンチワークの見せ所である。
1位 読売
2位 広島
3位 中日
4位 阪神
5位 DeNA
6位 ヤクルト
読売が頭一つ抜け出ているのと、ヤクルトが他に比べて大幅に後れをとっているが、2位から5位はどう転んでもおかしくない。特に今季は、外国人選手がいつ来日できるかが大きなカギになる。ヤクルトの場合、 ドミンゴ・サンタナとホセ・オスナがシーズンの早い段階で来日して期待通りの実力を発揮し、山田が2020年の不振から立ち直ればAクラス入りもありえる。
プロジェクション・システム"NPB版PECOTA"による予測(予想者:二階堂智志 @PennantSpirits)
1位 読売
2位 阪神
3位 DeNA
4位 広島
5位 中日
6位 ヤクルト
今回の成績予測に際して、自前の簡易なプロジェクション・システムであるNPB版PECOTAを応用する。これを使って昨季までNPBに所属していた選手の成績を予測し、それらを合算してチームごとのWARを算出。その値をもとに順位予想を行った。なお、守備に関しては守備位置の違いやサンプルの問題で精巧な予測モデルを作成するのが難しいため、簡単な年齢曲線を作成し適用している。
またこの手法で扱いが難しいのが新規入団選手の扱いである。既存のプロジェクションでは予測が難しく、不確定な要素が多い。そのため今回は暫定的に該当選手のWARを0として計算した。この部分は改善の余地がある。
広島は選手運用がポイント。ヤクルトの廣岡トレードは大きな決断(予想者:大南淳 @ominami_j)
1位 読売
2位 阪神
3位 広島
4位 中日
5位 DeNA
6位 ヤクルト
セ・リーグは読売の圧勝と見る。昨季弱点になったポジションに着実に補強を打っており、優勝チームの隙がさらに小さくなった。主力1人が長期離脱となっても耐えうるほどの抜けた戦力になっているのではないだろうか。
広島は昨季も戦力としては上位に食いつくポテンシャルをもっていたが、運用面がうまくいかなかった。チーム有数の実力者である會澤翼と坂倉将吾が出場を分け合う状況は非常にもったいない。今季も事情は同様で、適切な選手を適切なポジションで起用し、チームとしてパフォーマンスを最大化できるかが上位進出のポイントとなる。
DeNAは 今永昇太、東克樹 といった故障明けの主力投手が、どのレベルのパフォーマンスで、いつごろ復帰できるかがチームの浮沈を左右するだろう。ヤクルトはさすがに高齢化が限界を迎えており、山田が好調なシーズンを送っても上位進出は難しいのではないだろうか。山田の復調に、遊撃・廣岡の急成長も重なれば上位進出もありえたように思うが、球団は大きな決断を下した。
パ・リーグ編はこちらから。
過去の順位予想
・2020年 セ パ
・2019年 セ パ
・2018年 セ パ
・2017年 セ パ