2021年のドラフト会議で中日から2位指名を受けた鵜飼航丞。長打力不足に苦しむ中日が上位で選択した大学球界屈指のパワーをもつとされるスラッガーだ。今回はDELTAアナリストの山崎和音氏が鵜飼について、20-80スケールでのリポートを作成した。各グレードにどの程度の選手が該当するかは以下の記事を参考にしてほしい。
選手評価の20-80スケールをNPB選手に当てはめるとどうなるか

選手プロフィール


名前:鵜飼航丞(うかい こうすけ)
生年月日:1999年5月30日
投/打:右/右
身長:182cm
体重:100kg
経歴:中京大中京高-駒澤大-中日(2021年ドラフト2巡目)
現地観戦日:2021年9月13日、16日、21日、27日、10月4日、10月25日



体格


現在公式に記載されている身長と体重は182cm、100kg。これは鈴木誠也(181cm、98㎞)とほぼ同じだ。ただ鵜飼の身体能力は鈴木には及ばない。しかしスラッガータイプの多くの選手のように機動力に欠けるということも鵜飼の場合はない。



打撃及びメカニクス


スタンスはほぼイーブンで、両脚は肩幅よりやや広めに構える。両手はユニフォームの胸の文字の高さで体から離れたところにあり、リラックスした状態でわずかにバットを揺らしながら投手が投球動作に入るのを待つ。タイミングの取り方は比較的複雑で、1度ヒッチしてから両手を頭の高さまで引き上げる。バットの軌道は長めでそのために140km/h台中盤より速い速球には振り遅れる場面も多い。バットスピード自体はプロでもトップクラスに入るため、将来的にこの点は修正できる可能性はある。ただ、そのシナリオが起こることに多大な期待をかけることは禁物だ。

また、スイングの動作を通して硬さが見られ、バットコントロールは一軍平均をかなり下回る。上半身と下半身の動きがずれてしまう場面も多い。現状では、変化球やチェンジアップなどの抜いた球を認識する能力が一軍レベルにあるとは言い難い。結果としてボール球をスイングすることも非常に多くなってしまっている。前述したスイングしはじめる前における手の動作も簡単にタイミングを狂わせる原因となるだろう。一軍である程度の貢献度を残すにはこのような欠点を克服する必要があるが、私は投球の認識能力が一軍平均レベルにまで成長する可能性は低いとみる。場合によってはまったく成長しないということもありうる。


将来のグレード:30

パワー


前述した驚異的なバットスピードによって、投球を捉えた際の打球速度と伸びは群を抜いている。比較的低い角度の打球でもバックスクリーンまで到達する場合もある。純粋なパワーだけなら一軍トップクラスのスラッガーと比較しても遜色ない。ただ、前述したようにそのパワーをどれだけ試合において一軍レベルの投手相手に発揮できるかは打撃ツールの成長に左右される。最も可能性の高いシナリオとしては、ISOや1本塁打あたりの打数といった指標では一軍平均程度に落ち着くのではないだろうか。


将来のグレード:50


走塁


鵜飼は右打者であるが、一塁到達タイムは振り切ってから走り出した場合は4.5秒、スイングを完全にフィニッシュせずにスタートした際で4.2秒ほどとなっている。身体のサイズを考えると、純粋なスピードはかなり速いと言っていいだろう。ただ大柄な選手だけに、ほかの選手より早い段階で加齢による衰えが出る可能性は高い。走塁面でのコース取りは悪くはなく、塁上でチームの足を大きく引っ張るということはなさそうだ。


将来の評価:45

守備・肩


私が現地観戦した秋季リーグの5試合ではいずれも指名打者でも出場だったので、守備・肩ともにグレードをつけることはできない。唯一の判断材料はスピードだが、これにしては前述したようにそれほど悪いわけではない。総合的な守備力は上手くいけば左翼手としては問題ない程度にはなる可能性はある。ただ、全体的な選手像を考えると求められているのはあくまで打力で、守備力が平均レベルかそれを下回るかはそこまで重要な要素ではない。




総合評価


大学からドラフトされた選手だが、穴が多く即戦力とは言い難い。前述したように、どのような成長曲線をたどるかは打撃ツールの成長にかかってくる。ただ私は2巡目という高い順位の期待値ほどの伸びしろはないのではないかと見ている。誕生日が2週間半違いのリチャード(ソフトバンク)も同じタイプの選手だが、鵜飼のコンタクト技術や投球の認識能力は現時点でリチャードをも下回っている。守備、走塁面での大きな貢献が見込めないのもマイナスだ。代打の切り札もしくはレギュラーに故障者が出た時の穴埋めに落ち着く可能性が高いのではないだろうか。

パワーが最大の武器のほかの右打者の例を見ると杉本裕太郎(オリックス)や福田永将(中日)、畠山和洋(元ヤクルト)のように、うまく成長しても一軍定着するころには20代後半から30歳近くになり、全盛期が数年間ほどしか続かない場合が多い。たしかにパワーは魅力的で、すべてがうまくいけば先ほど挙げた3名のようなキャリアを送るシナリオも考えられる。ただ、繰り返し述べているように、打撃ツールは完成からは程遠く、その成長に賭けるというのはリスクが大きいギャンブルだ。


現実的なシナリオ:30(ファーム本塁打王争いの常連)
OFP:50(平均的なコーナーポジションのレギュラー)
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