NPBの若手有望株“プロスペクト”をランキングする本企画。
今季開幕前以来の更新となる。2018年レギュラーシーズンを終え、ドラフト直前となる現在、12球団最高の若手有望株と評価されたのは誰だろうか。
対象となる選手
・2018年中で24歳以下
・投手は一軍通算100イニング未満かつ50試合登板未満
・野手は一軍通算300打席未満
・外国人枠の対象となる選手は除く
ランキング作成のプロセス
ランキング作成のプロセスを説明したい。まず、今回から私、山崎とDELTAのデータ入力に備わるビデオ班に加え、日本のプロスペクトに詳しいDean Steinman氏にランキング作成に協力していただいた。この3名が上記の対象となる候補選手リストから各々トップ60人の選手をランク付けし、ポイントを集計。仮のランキングを作成する。その後、お互いの間で大きく意見の食い違う選手について議論し、最終的なランキングが完成する、という手順だ。
今回はドラフト前であることに加え、当サイトが定めるプロスペクトの資格を喪失した選手が続出したため、候補選手のリストも薄くなった。こういった事情を踏まえ、今後は50位ではなく30位までのランキングとすることにした。
ランキング選手の寸評
上位5人はいずれも近い将来に各チームの主力となれる実力と可能性を秘めている。
1位となった村上宗隆(ヤクルト)はバットスピード、芯でとらえる能力共にNPB全体でトップ5に入るポテンシャルの持ち主。三塁の守備も将来的には少なくとも平均レベルまでに成長することが見込める。ただ、走塁面では二軍で16盗塁こそ決めているものの、まだまだ学ぶことは多そうだ。
清宮幸太郎(日本ハム)は3位となった。打席での対応力に加え、プロ入り後に挑戦した左翼の守備も、将来的に大きなマイナスを作らない程度にはこなせそうだ。2~3年後には紛れもないチームの中心選手に成長しているだろう。
この2人に坂倉将吾(広島)を加えた3選手は、選考メンバー3名の中で順番こそ違えど全員が1~3位の順位を与えた。今回のリストの中では飛び抜けた3人と言っていい。
8位の畠世周(読売)は本来ならこのリストに載っていてはならない投手だ。来季は怪我から完全復帰し、2017年後半の投球を取り戻すことが期待される。
種市篤暉(ロッテ)、今井達也(西武)、伊藤翔(西武)の同学年トリオは10位から12位に固まった。それぞれ一軍でポテンシャルの片鱗を見せたものの、絶対的なエースクラスの投手に成長するためには速球の球威、細かい制球力などもう一皮むける必要がある。ただ、いずれも絶対的な武器となるボールを持っているので、最低でもクローザーもしくはセットアップに活躍の場を見出せるだろう。
22位の西川愛也(西武)は高卒1年目ながら二軍で非凡なバットコントロールを見せたが、当てているだけという印象を覚えた。高校時代に痛めた大胸筋がどこまで回復するかも気がかりだ。ただシーズン終盤に、春先に見られた不自然なヒッチが消えていた点はプラスと考える。
育成契約の高卒ルーキーでありながら二軍で優秀な打撃成績を残したのが高木渉(西武)だ。私が実際にプレーを見た際も決してプロのレベルに圧倒されている様子はなかった。ただ「高卒1年目にしては」という部分を除けば、そこまでずば抜けているという印象もない。
また、育成選手としてプロ入りし、一軍通算で1000打席以上を記録した選手は岡田幸文(ロッテ)、亀澤恭平(中日)、松本哲也(読売)の3人しかおらず、成功例が少ない。またこの3人のいずれも20-80スケールで45以上と評価できる選手ではない。いまやソフトバンクの不動のレギュラー捕手に成長した甲斐拓也は2019年中に通算1000打席に到達する可能性が高いが、彼にしても55がいいところだろう。このように、育成出身の野手の実績はあまり芳しくない。高木と26位の八百板卓丸(楽天)はこの壁を打ち破らなければならない。
田中正義(ソフトバンク)のプロ2年間は期待外れといわざるを得ない。彼に関しては選考班でも評価が分かれたが、大学3年時の圧倒的な投球を目の当たりにした私からすると、そう簡単に諦められる才能ではない。