• 1.02 Column


NPBの若手有望株“プロスペクト”をランキングする本企画。今回は昨年10月以来の更新となる。12球団最高の若手有望株と評価されたのは誰だろうか。前回のランキングはこちらから。

対象となる選手


・2020年中で25歳以下
・投手は一軍通算100イニング未満かつ50試合登板未満
・野手は一軍通算300打席未満
・外国人枠の対象となる選手は除く
・新人選手は26歳以上でも対象

今回より2019年のドラフト組もランキングの対象に加わった。昨春の時点で上位にランクインしていた村上宗隆(ヤクルト)、清宮幸太郎(日本ハム)、廣岡大志(ヤクルト)、辰己涼介(楽天)、種市篤暉(ロッテ)らは打席やイニングの上限を超え、すでに対象外となっている。

また弓削隼人(楽天)、山野辺翔(西武)ら大卒社会人2年目の選手も、早生まれの選手以外は2020年中に26歳以上となるため対象から外れている。


注目の佐々木、奥川、石川昂は何位に? ランキング1~10位


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まず1~3位については順位を先に述べたい。1位は小園海斗(広島)、2位は佐々木朗希(ロッテ)、3位に奥川恭伸(ヤクルト)とした。

1位の小園は、今後リーグを代表する選手になる可能性が極めて高い選手だ。遊撃手として破格の長打力を備えながら、守備面でも高いポテンシャルを示している。かなり早い段階でプロに順応し完全に遊撃のレギュラーをつかむのではないだろうか。佐々木や奥川が投手として歴史的な逸材であることは間違いないが、小園に関しても遊撃手として歴代最高を争える逸材だ。少なくとも1年目終了時点では、歴代最高とされる松井稼頭央(元西武など)や坂本勇人(読売)の先を行っている。

2位には佐々木を推した。投手としては間違いなくNPB史上最高レベルの逸材である。ポテンシャルを最大限引き出せれば、MLB最高レベルの投手にもなるだろう。奥川に比べると伸びしろを残した素材型の投手ではあるが、1年目の大谷翔平(現エンゼルス)と比べると、球威もボールを制御する力も佐々木が上をいっているように見える。NPBでは投手として未完成の段階でエースクラスになるのではないだろうか。どれほどの投手になるか、現状ではまったく天井が見えない。

もう1人の高校生投手の目玉・奥川は3位とした。昨年の甲子園での登板は、高校生の中に1人、プロのローテーション上位の投手が混ざっているように見えるほどハイレベルなものであった。高確率でストライクからボールに変化する決め球のスライダーにはプロの打者も手を焼くはずだ。コンディションが良好ならばルーキーイヤーからかなりの成績を残せるだろう。順調にいけば田中将大(現ヤンキース)級のキャリアも期待できる。佐々木に隠れがちではあるが、こちらも歴史的な逸材だ。ただ佐々木、奥川ともに投手ゆえに故障リスクは高い。安定した貢献が見込みづらいと考えこのような順位とした。

4位の坂倉将吾(広島)はランキング上位常連の強打の捕手だ。オープン戦の起用を見る限り、今季は2番手捕手としての立場が確立できるのではないだろうか。ただ會澤翼の契約延長により、正捕手定着の時期はさらに遅れることになりそうだ。外野などほかのポジションで通用するだけの打力があるのは間違いないが、ここではあくまでも捕手として評価している。

昨年の野手のドラフトの目玉・石川昂弥(中日)は5位とした。最大の武器はもちろんパワーだ。プロの世界広しと言えども、軽くスイングしてこれだけ飛ばせる打者はなかなかいない。スラッガーにしては三振もそれほど多くないタイプではないだろうか。投手有利のナゴヤドームでも問題なく本塁打を量産できるポテンシャルを感じる。フィールディングにも長けており、外野よりも内野で育てたい選手だ。

6位・7位はオリックスのプロスペクトが並んだ。6位の頓宮裕真は昨夏、プロ入り後に転向した三塁からアマチュア時代の捕手に、自らの希望で再コンバートとなったようだ。ビデオ班としては三塁手の時点で打撃に極めて高い評価を下していたが、捕手に専念したことでよりランクを上げたかたちだ。捕手転向後の試合もかなりチェックしたが、守備能力が破綻しているようには見えない。打撃で差をつくる會澤のようなキャリアを送ることができるのではないだろうか。長打面のポテンシャルについては會澤以上のものがある。

7位の太田椋(オリックス)は昨年秋のランキングでも2位に挙げた2年目の遊撃手だ。昨季はファームで263打席に立ち、打率/出塁率/長打率で.258/.331/.412。高卒ルーキーとしては傑出した数字を残した。打撃面のポテンシャルは小園にも劣っていない。ただ小園に比べると将来的に遊撃にとどまることができるか不透明な部分が大きく、順位に差をつけた。ただ内野のほかのポジションでも通用するだけの打力があることは間違いない。オリックスでは同じく高卒2年目の宜保翔もオープン戦で結果を残したが、ポテンシャルで見た場合、太田との差は大きい。太田と頓宮が順調に成長すれば、オリックスは数年後センターラインで圧倒的な差をつくるチームになるかもしれない。

8位は読売の山下航汰。昨季は育成選手としてのスタートだったが、ファームで.332/.378/.489と高卒選手としては破格の成績を残した。山下が守る両翼、一塁は主力不在のポジション。2年目ながら早速レギュラー獲得のチャンスがありそうだ。今季はどれだけ長打面に進歩が見られるかに注目したい。ただやはりコーナーポジションしか守れない点は野手としては弱点である。

9位は戸郷翔征(読売)。昨季はファームで42イニングを投げK% 26.0%、BB% 4.7%と1年目から圧倒的な成績を残した。K%(奪三振/打者)からBB%(与四球/打者)を減じたK-BB%は21.3%。これは1年目ファームでの山本由伸(オリックス)の22.4%に匹敵する(33 2/3イニングを投げ、K% 24.1%、BB% 1.7%)。今季いきなりローテーションの軸となってもおかしくはない。読売の次期エース最有力候補だ。

10位は中日の郡司裕也。捕手としての守備技術に秀でているわけではないが、とにかく打撃、特に選球眼が素晴らしい。慶応大の4年秋には出塁率.592を記録。これは01年以降の東京六大学野球でシーズン30打席以上に立った打者の中で、鳥谷敬(当時早稲田大)らをも上回る歴代2位の記録だ。捕手の打撃に弱点を抱えるチーム状況にもフィットしており、1年目からチーム浮沈のカギを握ることになる。ここまでですでに打力のある捕手が3名ランクイン。捕手に攻撃力のある素材が次々と現れている。


高卒ルーキー野手が2名ランクイン ランキング11~20位


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広島のドラフト1位・森下暢仁は11位とした。現時点で投手としてほぼ完成されており、先発ローテーション上位に定着する可能性が非常に高い。セ・リーグ新人王最有力候補で間違いないだろう。順調にシーズンを送れば、WAR 3.0以上も期待できそうだ。広島は昨季で連覇がストップ。今後は小園、坂倉ら新世代を中心にしたチームをつくるサイクルに入る。その中で投手でその中心になるのがこの森下だ。

12位は藤原恭大(ロッテ)。現時点での最大の武器は中堅手としての守備力だ。1歩目の反応、加速力、ルートどりと外野守備の重要な要素がいずれも優秀。将来的にはコンスタントにUZRで+10以上を毎年記録するような中堅手になることが期待できる。飛ばす力は現時点ではそのオプションというイメージが適切だ。打撃でも差をつくる選手になるにはゴロが多いスイングの改良は必須。もしそれが叶えばこのランキングでもトップクラスの選手になる。

13位は杉山一樹(ソフトバンク)。投げるボールの威力だけを見れば、候補選手の中では佐々木に次ぐレベルのポテンシャルをもつ投手だ。昨季の一軍登板ではフォームの再現性に欠け投球がバラつく場面が多かったが、その修正ができればいきなり球界を代表するレベルの投手になってもおかしくはない。ぜひとも先発で育成したい投手だ。

14位は梅津晃大(中日)。昨季は34 2/3イニングを投げ、K% 24.3%、BB% 7.9%とイニングが少ないながら好成績を残した。強いストレートに加え、曲がる球、落ちる球の変化球2種類ともがウイニングショットになる点はほかの投手にはない大きな強みだ。先発適性も高く、コンディションが順調であれば今季いきなりエースクラスのはたらきを見せても不思議ではない。

石橋康太(中日)は15位。10代とは思えぬ高い守備力を有する捕手だ。ディフェンス面だけでなく、昨季はファームで非常に得点が入りにくいナゴヤ球場を本拠地としながら、ISO .144と優れた値を記録。守備だけでなく長打を放つ才能も見せた。ただ本ランキングでも10位に挙げた郡司が昨年のドラフトで中日に入団。同球団にレベルの高い若手捕手が登場したことで、石橋のキャリアの見通しは悪くなっている。

2年目の万波中正(日本ハム)は16位。昨季ファームで、SwStr%(空振り/投球数)18.2%、K% 36.3%とコンタクトに大きな課題を抱えている一方、長打力を示すISOは.188。これは05年以降のファームで200打席以上に立った高卒ルーキーの中では、筒香嘉智(当時横浜)、中田翔(日本ハム)、村上宗隆(ヤクルト)に次ぐ4番目の記録だ。パワーは石川昂にも劣っていない。順調に成長すれば30本塁打以上も期待できる素材だ。

高卒ルーキーながら、一軍帯同が話題になった黒川史陽(楽天)は17位とした。NPBでは山田哲人(ヤクルト)、浅村栄斗(楽天)、外崎修汰(西武)ら打力のある二塁手が増えてきたが、この黒川もその系譜を継ぐ攻撃的な二塁手だ。182cm86kgと二塁手としてはかなり大型で、ミートセンスと飛ばす力を兼ね備えている。プロのボールに大きな問題なく対応できており、高卒ルーキーながら成熟度が高い。打者としての完成図は秋山翔吾(現レッズ)のようなイメージだろうか。

太田光(楽天)は18位。ランキング上位に入った捕手に比べると、打撃の魅力に劣るが、フレーミングはじめ守備能力が高い点に特徴がある。楽天は昨オフ、大補強を行ったが捕手だけは現有戦力のレベルアップに賭けるしかない状況になっている。太田がどれだけ成長できるかはチームの命運を握っていると言っても過言ではない。

19位はヤクルトのドラフト6巡目ルーキー・武岡龍世。昨夏のU-18W杯にも選ばれた非常に身体能力の高い遊撃手だ。遊撃手はアマチュアで優秀な守備を見せていても、プロレベルでは十分でなく、コンバートされるケースも多い。ただ武岡はかなりの高確率で遊撃手としてのキャリアが期待できそうだ。京田陽太(中日)のように守備で差をつくる遊撃手になれるかもしれない。打撃については、飛ばす力はあるものの荒かった昨夏から、この春に格段の進歩を見せている。もしコンタクトの課題が解消されるのであれば、より上位にランクアップする。ファームで我慢して遊撃に固定する価値のある選手だ。

20位の林晃汰(広島)は高卒2年目ながらすでに二軍で4番を任されるスラッガーだ。高校時代は大振りが目立ち、プロではかなり三振が増えるかと思われたが、昨季はファーム348打席でK% 19.3%、ISO .159。1年目ながら三振を抑えながら長打力も発揮した。ここ数年の間にウエスタンの本塁打王争いに絡んでくるのではないだろうか。


スラッガータイプの野手が続々登場 ランキング21~30位


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安田尚憲は21位。こちらも飛ばす力が素晴らしいスラッガーだ。昨季はファームで本塁打、打点、安打と多くのタイトルを獲得し、今季はレギュラー確保を狙うシーズンとなる。ただタイトルホルダーとはいえ、昨季ファームでの打率/出塁率/長打率は.258/.365/.439。下のカテゴリでも圧倒的な成績を残せているわけではないほか、守備での課題も多い。もう少しファームで経験を積む必要がありそうだ。

22位の細川成也(DeNA)もここまでランキングで挙げた強打者に劣らぬ、飛ばせる打者だ。昨季はファームで.293/.367/.537の好成績。細川はルーキーイヤーからファームで1071打席に立ち、BABIPが.351と右打者としては極めて高い値をキープしている。こうした値をキープできるのか、今後の成績推移も気になる選手だ。今季ファームでの練習試合では中堅での出場も増加。順応できればさらに価値は増す。

23位は野村佑希(日本ハム)。高卒1年目の昨季はファームで.245/.318/.363と特筆するほどの成績を残せていないが、昨秋から今春に目覚ましい成長を見せている。今季は17位の万波とファームでクリーンアップを組むことになりそうだ。日本ハムは一軍が長打力不足で苦しむ一方、若手は清宮幸太郎、万波、そしてこの野村とスラッガーが揃ってきている。数年後強力な打線が組める見込みが高まってきた。

24位は大卒2年目のシーズンを迎える佐藤龍世(西武)。打力に秀でた選手が多く集まる三塁手ではあるが、特徴は高い守備力にある。三塁手としては非常に俊敏で、捕球やスローイングのレベルもすでに非常に高い。もしシーズンを通して三塁で出場することができれば、1.02 FIELDING AWARDS三塁手部門の有力候補になるのではないだろうか。昨季一軍では175 2/3イニング三塁を守り、UZR 4.9を記録。イニングが少なく参考程度ではあるが、出場機会が増えればUZRもさらに好値が期待できると見ている。源田壮亮とコンビを組めばかなりハイレベルな三遊間になるのではないだろうか。松田宣浩(ソフトバンク)のように長年三塁守備で差をつくりつづけられる素材だ。

25位の栗原陵矢(ソフトバンク)は、現時点においては候補選手内で最高レベルの打力をもっている。出場機会さえ与えれば高確率で成果を残すだろう。ただ問題は守備だ。捕手、一塁、外野と現時点ではどこを守っても十分ではない。守備の損失覚悟で捕手として出場させるという選択肢もあるが、チームの状況的に可能性は低そうだ。ただ一塁や指名打者に入っても十分な打力を見せられるのではないだろうか。

26位は遠藤淳志(広島)。昨季はシーズン途中から救援で一軍に定着。終盤にはセットアッパーを担うこともあったが、今季は先発に挑戦している。救援時はストレートの力で押し切ることも可能だったが、先発となるとストレート以外に強力なウイニングショットが欲しいところだ。14位に挙げた梅津と比べると遠藤にはこれが欠けており、劣る評価とした。

27位は勝俣翔貴(オリックス)。ルーキーながら現時点で完成度が非常に高い打者だ。オープン戦では2本塁打、うち1本を菅野智之(読売)から放ち注目を集めた。今季ルーキーの中では、郡司とこの勝俣の打撃はすでにかなりのレベルに達しているように見える。オープン戦では18打席で四球が0だったが、選球眼が悪いようにも見えない。ただ守備面で大きな貢献は見込めないため、上位へのランクインは避けた。

28位はリチャード(ソフトバンク)。本ランキングでは石川昂、頓宮、万波、林、安田、細川などスラッガーを多く紹介してきたが、単純に飛ばす力だけで見るならこのリチャードが1番ではないだろうか。ただほかの選手に比べまだ荒削りであることは否めない。能力をうまく試合で活かせることができるように、あと数年ファームで経験を積む必要がある。ただ可能性に満ちた選手であることは間違いない。

29位、30位の髙橋純平(ソフトバンク)、平良海馬(西武)は昨季すでに救援で成果を残した投手だ。ともに今季は先発転向を目指していたが、平良は失敗しすでに今季の救援専念が決定。髙橋についてもオープン戦では3登板とも救援でのショートイニングの登板に終わった。2人とも現時点で救援として優れた投手であるのは間違いないが、先発転向の見込みが薄くなっているため、秋からランキングを大きく下げている。

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