【ver.2.0.0】1.02データ集計ロジックのアップデートについて

岡田 友輔

2024.03.15


この度、1.02では先日アップデートを行ったver.1.9.0に続き、データ集計ロジックの大幅なアップデート(ver.2.0.0)を行いました。アップデートにより過去年度も含め、値に変動が起こっています。今回の記事では、どういった点にアップデートが行われたかを紹介します。

投手リプレイスメント・レベルの変更

DELTAでは2021年に公開したver.1.0.0以来、投手WAR算出時のリプレイスメント・レベルについて、以下の基準を設けていました。

先発:リーグ失点率×1.37+0.35
救援:リーグ失点率×1.37+0.35-0.92

ただ『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート6』の「投手リプレイスメント・レベルの再検討」において、DELTAアナリスト二階堂智志氏が、下記の新たな投手リプレイスメント・レベルの提案を行いました。DELTAでは協議の末これが適切と考え、今回二階堂氏提案の値を採用するように変更しています。

先発:リーグtRA×1.19+0.30
救援:リーグtRA×1.19-0.55

下の図は投手のWARがリプレイスメント・レベルの変更によりWARがどのように変動するかをイメージしたものです。昨季の山本由伸投手の成績をもとに描画しています。赤い部分が山本投手のWARです。下に向かうほど優れたtRA(防御率のように低くなるほど優秀)を残していると考えてください。

ver.2.0.0へのアップデートにより破線の位置が下がっています。これは基準となるtRAが低下している、つまりリプレイスメント・レベルが引き上がったのです。赤い部分が縮小しているのがわかるかと思います。

こうしたリプレイスメント・レベルの変動により、投手WAR全体で大きな縮小が起こっています。2023年のWARランキングでその変動具合を見ていきましょう。

昨季投手WARでトップだったのは山本投手。バージョン1.9.0での山本投手の投手WARは6.7でした。これがバージョン2.0.0へのアップデートで5.3まで縮小。その他にも、どの投手においてもリプレイスメント・レベルの変更によりWARが小さくなっています。

チームレベルで見ると、昨季投手WARトップだったオリックスの値は27.2でした。これがアップデートにより、17.0まで低下しています。

今後もリプレイスメント・レベルについては、アナリストと協議を重ねながら調整を検討していきます。

なお今回1.02では、旧ロジックのリプレイスメント・レベルを採用した投手WARを「WAR v1」として、アップデートされたWARと併記する対応をとっております。

掲載指標の変更

・投手の被本塁打の頻度を表す指標として「HR/9」を採用していたが、「HR%」に変更

DELTAでは今後もアナリストの意見を広く取り入れ、定期的にロジックのアップデートを行っていく予定です。今後とも1.02をよろしくお願いいたします。

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